新しい贈与論は、一般社団法人のと復耕ラボに86.5万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「門」をテーマに推薦を募集し、「NPO法人ウルシネクスト」「西陣工房」「一般社団法人のと復耕ラボ」の3候補があがり、金子遥洵、栖原志歩の推薦した一般社団法人のと復耕ラボが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
https://sites.google.com/view/noto-fukko-labo/about
文学作品における「避けがたい通過点」の表象としての門は「外と内との往来を阻む境界」でもあります。
門を司る団体を考えた時、「門戸を開く」という言葉から、外から来た者を受け入れるイメージが浮かびました。
そこで今回は、推薦者二人が関心を抱いている被災地復興に関わる団体のうち、多くのボランティアを受け入れ、地域に根差した災害復旧・復興活動を行う「のと復耕ラボ」を推薦先に選びました。
民間ボランティアセンター運営団体として発足した推薦先は、輪島市三井地区に拠点を設け、輪島市街地を含む周辺地域の復旧を支援しています。
ボランティア受け入れのため、コーディネート人員の確保、滞在に必要な宿泊拠点の提供(団体が用意したテントやキャンピングカー等)などを行っています。
最短半日からのボランティア活動受け入れといったハードルの低さもボランティア活動への参画の間口を広げています。
代表の山本亮さんは大学時代に訪れた能登半島で里山風景とそれをつくりだす地域の暮らしの豊かさに惹かれ、輪島市に移住し、古民家レストランや宿泊施設等を営んできました。
運営者の里山に対する関心や能登の地域性から、団体の活動の軸には「自然との共生」があります。
例えば、地震で倒壊した家屋から活用できる木材を救出する「古材レスキュー」活動を行い、家具や写真フレームへの加工、建具の修繕・活用を通して、思い出や記憶を残すことにも力を注いできました。
(古材レスキュー URL: https://x.gd/ss7NB)加えて、地域の水活用に関する「小さな水プロジェクト」への協力、や里山保全のための森づくりを行う展望があり、未来に向けた価値創造を目指しています。
(小さな水プロジェクトhttps://x.gd/ATHWR)現在能登半島では引き続き多くの団体の皆さんが地域の方と力を合わせながら復旧・復興にあたっています。
推薦人の一人は同団体のボランティア活動に複数回参加しましたが、推薦先に限らず現地で活動する皆さんはひたむきに取り組んでおり、限りある公助を辛抱強く共助でカバーしようとしています。
地域の方が復旧の先の未来を思い描くためにも継続的な支援が必要だと感じました。
他団体・支援団体・企業等と連携しつつ、自団体のアイデンティティも持ち合わせている様は「復耕」という名前からも窺えます。
自然や人々の営み豊かな土地でありながら地震と豪雨の二重の被害にあわれた奥能登の方々を応援し続けるという気持ちで、検討を頂ければと思います。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
推薦人の「復旧の先の未来を思い描く」という言葉に共感しました。また、設立して間もない点もサポートしたいポイントになりました。(熊谷友幸)
災害が及んだ地域とそうでないところの分断がどうしても起こってしまう中、のと復耕ラボのように外とつなぐ団体の意義は非常に大きいと感じました。実際の復興のみならず、外部の方々の関心を薄れさせないこと、人々の分断を少しずつ埋めていくことがさらに進めばと思い、投票させていただきます。(上西雄太)
やはり震災から復興フェーズに入ったところでの豪雨災害には心を寄せずにはいられません。ボランティア向けの滞在拠点も実施されているということで、まさに復旧・復興期にあっても奥能登への門戸を開いてくれている団体だと感じました。ぜひボランティアに伺った際に滞在したいです。(松井俊祐)
緊急性が高い被災地での復興支援でありながら、里山らしい復興を掲げているところが素晴らしいと感じ、選ばせて頂きました。また、被災地以外においても、里山復興のモデルケースとして展開出来る可能性を感じました。(東原大輔)
土地柄、支援の緊急性を感じるため。(茂木成美)
団体の活動の軸である「自然との共生」に惹かれました。共生の先にある景色を見るには、今私たちが通ることができていない何らかの門があるのではないかなと想像が膨らむような素敵な団体だと思いました。また、現在、能登ではボランティアスタッフが足りていないと聞きます。テーマから連想したドラマで選ぶ寄付も素敵ですが、そのような時代の流れにのった寄付もたまには良いのではという気持ちです。そんな社会の流れもあり一般社団法人のと復耕ラボを選びます。(佐藤真陽)
能登でのボランティア不足を伺っておりました。労働力以外でも、ボランティアは必要ととわれており、希望が持てる未来づくりこそ重要なのだと再認識させられました。まさにこういった取り組みこそが必要だと感じ投票させて頂きます。また現地にも伺いたいと思います。(海野慧)
ウェブサイトに「ボランティア参加者と地域住民とが互いに語り合いながら、能登の復興について語り合う「いろり会」を毎晩開催している」とあって、ただボランティアを受け入れる以上に大変なことでしょうが、とても大事にしたい営みだと思いました。起きてよかった災害なんて一つもないのでしょうが、それがなければ生まれなかった何がそこにあるのならば、すこし救われる思いです。(吉見新)
X等のSNSでくり返し発信される復興が遅れている・いない論争、8月末日で自衛隊も撤収し、なにより能登地方に比較的近い地域に住みながら、年初以来何の行動も起こしていない自分。少なくない人たちがこうして支援活動を続けておられることに頭が下がります。(清水康裕)
必要性とタイミングから考えて「のと復耕ラボ」を選びました。(渡辺健堂)
未だに震災の爪痕残る能登に。(稲田遼太)
いずれも価値のある活動だと思ったが、能登の震災が日々忘れ去られていく中で、今でも現地には元の生活を取り戻せていない人が多数いて生活の困難に直面していると思う。少しでも支援になればと思い、一票。(高城晃一)
“彼は門を通る人ではなかった。また門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ちすくんで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。“(夏目漱石『門』)
門とはとても残酷な存在で、通ることが出来ない人をこそ、集めてしまいます。ふと東京を歩いてみれば、しゃぶり尽くしたマンモスの骨のような立派な門が、次々と新しく立っています。開かれているからといって、くぐることは出来ない門が。
いま能登の前には、門が立っているように感じます。ガザの前にも、しっかりとした門が立っています。その門の前でわたしは、日の暮れるのを待つことしか出来ず、誰かが門を閉じるのをどこか待っているようにすら感じます。わたしがこの『新しい贈与論』に参加しているのは、そんな自分に「破門」を言い渡してくれるかも、と期待しているからかもしれません。
今回この復耕ラボを推すことで、くぐることは難しくても、門にぶら下がるくらいできないかな、と思うのです。あわよくば、そのまま門が壊れてくれたらなと思います。(前田浩史)「複耕」というネーミングに心を掴まれました!
ずっと活動を拝見していて、能登関連のニュースが下火になっていくなかで、心が折れそうになることもあるかと思います。ぜひこれを機に無関心な人ばかりではない、活動を見ている、応援している人がいるということが届くと嬉しいなと思ったので。(東詩歩)
現在の世界をみまわすと、門が閉ざされて壁化した地域とその周辺で悲惨なことが起きています。そんななかで、締め出すためではなく受け入れるための門、公権力ではなく市民団体が「ゲートキーパー」をつとめることの意義を改めて見直すきっかけをいただきました。(中嶋愛)
推薦人として推薦先を1位にしました。寄合の中でも紹介してくださった方がいましたがほぼ毎日活動報告がSNSにアップされるのも、応援を継続したくなるポイントの一つです。特に復旧期の活動のため「これが解決した、片付いた」というのがよくわかります。私が推薦人をしたのは今回で3回目でした。貴重な機会を与えてくださりありがとうございました。(金子遥洵)
伝統や歴史について考えさせられましたが、今回はそういったものとは関係なく、いま困っているひとを助けることを優先したいと思いました。(中川瞬希)
のと復耕ラボさんが資金が足りてる・足りてないに関わらず、まだまだ能登に入れるべきだと思いました。新しい贈与論として入れるべきなのかな?など色々と考えたのですが、推薦人が二人とも能登に関心を抱いたていたという縁もあるな、と思えてきてのと復耕ラボさんに決めました。(中村祥眼)
過疎地域であり辺境の地でもある能登へ人手を流すために、寄付金がポンプの役目になったらと思います。(市村彩)
個人的な思い入れの強さ(のと復耕ラボ推薦人のため)に加えて、寄合の中で出たご意見の「お金を上手く活用してくれそう」という判断基準で順位をつけました。能登の復興に関わる団体は他にも多数存在しますが、ボランティアの受け入れや古材レスキューなど自団体の軸が定まった活動を行い、里山など能登の自然にも関心を抱いているこちらの団体であれば、きっと寄付をうまく活用してくださるのではないかと思っています。(栖原志歩)
能登復興を支援したいと思います。また、活動内容も改めてよく見てみると共感するところが多く、ボランティアにも参加してみたいと思いました。(石田智子)
門を司ってる感を感じた。(佐々木優)
拠点をつくってボランティアの方の受け入れ・継続的な活動のしやすさといった点をしっかりとカバーされつつも、古材レスキューといったユニークな活動をされている点に惹かれました。 能登の古民家の古材であれば漆塗りなど美しい、貴重な、思い出のつまった家財などもあるでしょうし、人から人へ想いが繋がっていけば素敵だなと思います。(日吉良太)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。