新しい贈与論は、特定非営利活動法人ギブミーベジタブルに83万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「ブリコラージュ」をテーマに推薦を募集し、「特定非営利活動法人ギブミーベジタブル」「株式会社 ReBuilding Center JAPAN」「一般社団法人シブヤフォント」の3候補があがり、金子遥洵、榎本大貴の推薦した特定非営利活動法人ギブミーベジタブルが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
https://www.givemevegetable.com/
「私に野菜をください」直訳するとこんな意味になるNPO法人を今回の推薦先に選びました。
テーマのブリコラージュの意味合いの一つとして「ありあわせの材料や道具を使って何かを作り出すこと」ということが挙げられます。
推薦先の特定非営利活動法人ギブミーベジタブルは、野菜をテーマにした食と音楽のフェス型イベントを全国各地で開催しています。
入場料として参加者はお金ではなく、野菜を支払います。野菜だけではなく、野菜に限らず肉、魚、米、酒、フルーツなど食材であればどんなものでも持ち込みOKだそうです。入場料を忘れた来場者はイベント会場で野菜を買って、入場料とすることができます。説明を書いていて、自分がどの貨幣を使って暮らしているかわからなくなるようですが、とにかく野菜(や食材)がないとこのイベントには入れないようです。
支払った野菜はその場で調理され食事として振る舞われ、参加者は音楽家達の演奏を聴きながら食事を楽しみます。持ち寄りパーティーと異なるのは、調理はプロの料理人が行い、さらに演奏もつくということです。そして、イベントを盛り上げる料理人、音楽家の報酬はイベント余った食材です。
偶発的な人々の集まりが持ち寄ったありあわせのもので作り出される空間がこのイベントの特色です。貨幣ではなく、その場にやってきた同じ食料をみんなで分け合い、来場者と料理人、ミュージシャンが一緒に作り上げるという場の性質を考えると、即興的な創造性は一品一品、一曲一曲の即興性を超えて会場全体に広がっていくことでしょう。
また、代表の池田義文氏はイベントを始めたきっかけをこのように語っています。
「『音楽で飯を食う』や『絵で飯を食う』と、よく言います。これは音楽を演奏したり、絵を描いたりすることでお金をもらって生計を立てることを意味します。いっそのこと『音楽で飯を食う』の文字通り、音楽を演奏してお金のやりとりはせず直接食べ物をいただけばいいのではないかと、実験のつもりで始めました」
ここまで読まれた方は、貨幣を必要としないなら、贈与論からお金を渡さなくてよいのでは、と感じられるかもしれません。
ただし運営自体には広報や、団体の目的である普及啓発等の活動に費用がかかっています。ギブミーベジタブルが多くの場所に広がって、「飯を食える」人が増えていく姿を想像して楽しそう、と思った方はこの団体にぜひ投票をお願いいたします。
参考リンク
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
贈与をめぐる冒険を読んでいて、貨幣なしの贈与に興味があった所、まさにドンピシャだった。活動としても精力的にされていて信頼できそう。 (日吉良太)
ハロウィーンのように「ギブミーベジタブル!」と聞こえてきそうな面白い試みだと思う。実際に運営するには野菜だけでは心もとない。今回の寄付が継続的な活動の一助になれば幸いである。(泉宏明)
貨幣以外の価値交換としてユニークで参加したくなるユーモアを感じたため(齊藤涼太郎)
意味は分かるけど意味が分からない、そう思ったと同時にすごくワクワクしました。こんな世界・取り組みがあるんだと思いましたし、もっと多くの人に知ってほしいと思い、選びます。(鈴木健人)
産業化・市場化の流れに抗い、一期一会の場を作り出すという取り組みが非常に面白く、ギブミーベジタブルさんに投票いたします。(上西雄太)
今回はギブミーベジタブルを推します。野菜と音楽が入り乱れるこの風変わりなイベントが、全国に広がって行くのを見てみたいです。(清水康裕)
あり合わせで何かを作る即興性のワクワクを一番感じました!地域のコミュニティ活性化のためのコミュニティ作りではなく、地元の色んな人がワクワクしながら自然と集まる絵が浮かびました。色んな地域で活動が広がることを期待したいです。(古賀翔子)
『音楽で飯を食う』や『絵で飯を食う』を実際やってみるのは、すばらしい発想ですね!野菜だけでなくタンパク質も大事なので、今回の寄付金ではそこも補っていただければ・・・(藤岡達也)
「ブリコラージュ」をテーマにいろいろな理路がよぎったのですが、手元にあるものだけを使い回して、これまで誰もしなかったことをやる、これもまた究極のブリコラージュだと思います。
先日、日本民藝館ツアーに参加したのですが、民藝運動を起こした人たちは、田舎暮らしがしたいとか、古い道具を買いたいとかではなくて、暮らしを自分たちの手に取り戻したい、取り戻さなければいけないという気持ちから運動を起こしたのかもと思いました。暮らしが消費行為に置き換えられ、その暮らしが他者に商品として消費されるようになってしまったいま、“特定非営利活動法人ギブミーベジタブル“の活動は支援に値すると考えます。(前田ひろし)体験に対して物(野菜)で払うという仕組みがおもしろくて選びました。物々(?)交換なんて、ずいぶん長いことやっていません。野菜が入場料になることで「元を取ろう」といった損得勘定が無くなるというのが、どんな感覚なのか体験してみたいです。それに、自分の持っていった野菜がおいしく使われていたら、それだけで嬉しい気持ちにもなりそうです。とはいえ、野菜を持ってこなかった場合は野菜を買って参加することができるというのも、良い点だなと思いました。野菜を作っていない身にはありがたいです🥬(内藤万裕)
ありあわせや即興性はどこかよいものとして称揚されることがある。私たちの規範や秩序からずれて寄せ集めてなされる実践が、普段の私たちにはないクリエイティヴィティの源泉にもなりうることに対してだろうか。でも、それだけではない。素材や道具をよく観察し、その潜在性を引き出すことこそが素人仕事において必要である。大事なのは素人流、素人風に仕事をすることではないのだ。このことにおいて、仕事を感じさせる団体にこそ寄付先にふさわしいと考えました。(土田亮)
持ち寄るという文化を体現しているから(水田芳裕)
ギブミーベジタブル、なんて不確実で大変そうなイベントだろう!と驚き、ふと地元の田舎を思い出して、いや、自然な姿かもしれない、と混乱しました。いっけん計画だらけに見える社会のなか、こういった取り組みが成り立ちうる、ということを目のあたりにすることで、社会の本来についての気づきをいただけるような気がします。(加藤めぐみ)
植物を貨幣代わりに扱うという発想がいいなと思いました!
ギブミーベジタブルこんな取り組みがあったのか!と心をうばわれました。実験的に始めた取り組みが何年も続いているのも「○○で飯を食う」をストレートに体現しているからかなと思います。もっといろいろな人に知ってもらいたく応援したいです。(石田篤史)
寄合に参加して、皆さんの思いを聞き、推薦先(ギブミーベジタブル)の自分では発見できなかった魅力に気づくことができたのは「収穫」でした。(金子遥洵)
貨幣経済ではないコミュニティが非常に良いなと感じました。オンラインが進む世の中でオフラインで人と出会うという経験は非常に貴重なものだと思います。また、ありあわせの材料で料理を作る野菜との一期一会やイベントという他人との一期一会の部分に惹かれました。(佐藤みちたけ)
悩みに悩み。お金を渡すのがいいのか全然わからないし、なにか間違っている気もするけれど、こういうアイディアに賛同するという意味をこめて、一票を投じます。(桂大介)
野菜が入場料、という発想に驚かされました!自分自身が「行ってみたい!」と思えるイベントなので、もっと多くの人にその存在を知って欲しい、そのためのPR費用として私たちからの寄付を使って欲しい、と思い、推薦先に選びました!
ちなみに、今日の私の晩ご飯は、冷蔵庫に残っていたナスビ、大根、にんじん、しょうが、もやし、めんつゆ、豚バラ肉を適当にブリコラージュして、野菜炒めとめんつゆ煮を作って食べました。美味しかったです!(坂本治也)「音楽で飯を食う」を実践する姿勢に心動かされました。一過性かもしれないけれど何に使ってくれるのかが一番楽しみなので選びました。(漢那宗泰)
ギブミーベジタブルの取り組みが、ちょっと愉快で魅力的で、味わい深く感じました。春キャベツのように軽やかに、アスパラガスのようにまっすぐに、オクラのように粘り強く活動を続けてほしいと思います。(小澤 啓一)
コミューン的な、良い意味ですごく変わった人がたくさん集まりそうな、目的ありきでない雰囲気にすごく贈与論らしさを感じました。こういうところからきっと何かが生まれる気がします。ウェブサイトの野菜のビジュアルも妙な中毒性があって気に入りました。
野菜を介して生まれ育まれる出会いや関係性が、新しい贈与の形を考えるヒントを与えてくれるかもしれないと思いました。テーマ「ブリコラージュ」の観点でいうと、”ありあわせ”の材料で何かを作り出し、イベントで奏でられる一曲一曲や持ち寄られた野菜で造られる一品一品に即興性と、そしてそれを超えたバイブズが生まれていくと思います。寄付がお金でいいのか、はたまた、野菜がよいのかはわかりませんが。(榎本大貴)
個人的にみんなでご飯を持ち寄る集まりなどが好きなのですが,こんな素敵な会があるなんて目から鱗です!いつかぜひ参加してみたいです。(原拓海)
もう10年以上もやっているということに、確かなニーズと価値を感じた。応援したい。(中村雅之)
実験のつもり、とても良い言葉ですね。日々の仕事をライスワークと揶揄する言い方もなんだか定着してきていますが、技能の対価に、美味しいものを楽しく食べる、というのは生きていくための仕事とはちょっと違う、でもそこまで遠くない行為としてとても素敵だなと思いました。(渡辺麗斗)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。