新しい贈与論は、一般社団法人We are Buddiesに85万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「籤」をテーマに推薦を募集し、「一般社団法人We are Buddies」「NPO法人親子の未来を支える会」「NPO法人プロジェクトサンタ(ガチャガチャプロジェクト)」の3候補があがり古賀翔子、綿貫美紀の推薦した一般社団法人We are Buddiesが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
今回のテーマである「籤(くじ)」と言えば、「親ガチャ」という言葉をよく耳にするようになった。それは、核家族化や人との関係の希薄化により、親だけが子育てを担う今の環境の厳しさから生まれた言葉かもしれない。でも、本来子育ては親だけで抱え込むものではないはず。
「保護者の方だけが子育てを頑張るのではなく、多くの大人が関わり、登場人物みんなが力を抜いて優しい気持ちになれる社会を目指したい。」We are Buddiesは、そんな思いから始まった「こどもとおとなのバディプログラム」だ。第三者のおとなが、月に2回、1年以上かけて、じっくりと一人のこどもに寄り添い、時間を共有しながら、二人でフラットな信頼関係を育む。
実はこのプログラムは、オランダで47年もの実績がある。団体代表が現地で目にしたのは、驚くほどシンプルでありながら、確かな社会のセーフティーネットとして機能している姿だった。こどもが孤立してからの対処ではなく、予防的な考え方で、シングルマザーのこどもや、障がいをもったこどもの兄弟など、環境的に少しでも心配がある家庭のこどもたちが参加している。「これを日本でも」と自然と決意に至ったという。
おとなバディの参加は、完全「紹介制」である。コーディネーターがおとなバディと入念な面談や研修を行い、バディ決定後も、二人の信頼関係構築をサポートしている。また、バディズのマッチングはおとな1人につき、こども1人だけ。活動期間終了後に別のこどもとバディになることはNGではないが、今の所そのケースはないらしい。
人との出会いは、時として「籤(くじ)」のような偶然に見える。しかし、その背景には確かな因果の糸が通っている。振り返ってみると、誰にも「あの人に出会えて良かった」という温かな経験があるはず。We are Buddiesは、そんな出会いを、意図的に、でも自然に私たちに贈っている。フラットで継続的なバディの関係性を紡ぎ、互いの人生を豊かにするこの活動を、心から応援したい。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
今回はテーマもあり、籤により選びました。推薦先を選ぶ方々への信頼があるから成立することですが、それ以上に、贈与を贈与として意識しないことを突き詰めると籤になるのかもしれません。贈与は喪失なのです。(泉宏明)
以前、We are Buddiesの活動についてお話をお伺いすることがありました。その時、おとなバディとこどもの関係性が面白いなと思いました。あらためてサイトで事例を拝見すると、豊かな時間を過ごすことができる関係性が生まれているんだなということを知ることができました。人と人との出会いとその関係はまさに籤のようなものだと思いました。この活動がより広がっていくきっかけになればと思い、We are Buddiesに一票を投じます。(山田泰久)
親や先生以外の大人と関わるきっかけを作るということに賛同したため
今回はテーマにフィットしてる感があったのでWe are Buddiesに投票しました!(三上遼)
この活動は子どもたちへのある種の「呪い」を和らげる働きをしていると感じました。(古川哲)
子供が生まれたばかりの中で子育ての難しさを感じる中、オランダのこのプログラムは将来の不安を少し和らげるような発見でした。日本でもこんなプログラムあればなとピュアに思えました。(鈴木健人)
核家族化が進む中でコミュニティが希薄化する昨今、このような取り組みが家族をより家族らしくさせることに繋がるのではないかと思い、投じさせて頂きました(海野慧)
今回の寄付先候補を見て、We are Buddiesの独創的な取り組みがまず目に留まりました。普通であれば、ケアが必要な子どもとそれを支える大人の関係は「ケアする側/される側」と捉えられるものだと思いますが、この取り組みでは大人と子どものフラットな人間関係に主眼が置かれています。精神的な安定のために「依存先を増やす」ことの大事さが説かれることがありますが、このおとなバディ/こどもバディの関係も、子どもにとって大事な「依存先」になってくれるものだと思います。(朝野椋太)
私自身親になることを考える年齢になり、その時に「一緒に親になれる」人がいかに貴重かを実感しています。子供が家庭だけではなく社会に開かれて育っていけるような環境がもっと広がることを願っています。(上西雄太)
社会的孤立が問題視されているのに、どちらかというと今の世の中は、むしろそれらを助長する方向に動いているのではと感じます。お知らせの中にある、母子家庭の住まい探しを支援するNPOとのコラボには、なるほどと思わされました。(清水康裕)
子どもの生まれる環境、育つ環境はまさにくじのようであると感じる。しかし社会的にはくじの「外れ」とみなされてしまう親も、その親自身が悪いわけでなく同じようにくじの結果として不遇な環境に追いやられてしまっているのだと思う。親や学校以外の第三者とのつながり(Buddies)が広まっていくことで、子ども達が固定的なくじに人生が左右されない、また新しい可能性に出会える社会になることを願ってWe are Buddiesに投票します。(松井俊祐)
初めて知った活動(団体)を第一希望にしました。(佐々木優)
緊急性が高そうな順に選びましたが、今回はテーマが「籤」ということで3団体とも子供に関わることを行っており、またどの推薦文も説得力があって「なるほど」と思えるものだったので、とても悩みました。僅差で順序こそ付けましたが、それぞれの推薦文の中で印象に残る言葉があり、推薦する団体も文章も素敵だなと感じました。(栖原志歩)
3つの候補がいずれも子供に関わる団体。自身の育児にまつわるあれこれと重ねて共感しましたが、なかでもWe are Buddiesの活動がいちばん響きました。
「親ガチャ」に似たフレーズで私がずっと引っ掛かっているのが「毒親」です。いずれも子の立場から対象化したもので、たしかに絶対的支配者である親を精神的に殺すうえでは意義のある概念でしょう。
他方で、私たちやその子供たちもいずれは親になる。いつまでも子供のままではいられず、「親ガチャ」「毒親」といった刃物を振り回わすことを止めなければいけない時がやってきます。
私自身、親になってみてはじめて気付いたのですが、刃物を置いた自分が、自分の子供に刃物を向けられないためには、「親ガチャ」とか「毒親」に取って代わる概念があるだけではまるで足りないということでした。
要するに親に必要なのは物理的な支援(依存先)なのです。保育園や学童があるにせよ、子供を夫婦ふたりで育てるなんてホント無理ゲー。子供はできるだけたくさんの大人が関わって育てた方がいいに決まってます。
かといって、私たち夫婦は元来コミュ弱。友人のネットワークも貧弱です。ナナメの関係が重要とはよく言われるし心底そう思いますが、現実問題どうしたもんかなあと。
そこいくとバディ制度という方法論はとても良いなと思いました。応援したいし、利用してみたい。良きアイデアをありがとうございます!(森康臣)自分と真剣に向き合ってくれる大人がいるかいないかは、人が成長する過程での大きな財産、セーフティネットとなると強く感じています。そうした観点から、We are buddiesの取組みはとても価値があると思いましたので、投票しました。(小崎亜依子)
籤っぽいケアを普段何気なく感じては、出会ってしまっているように思える時がある。血のつながりも、そうでないつながりも分け隔てなくケアだし、贈与かもしれない。籤には物語が込められる。今私たちは物語を見ようとしている。そうした物語を心から見守ることもまたやっぱり贈与だと思う、応援したい。(土田亮)
子どもにとって親や学校の先生という身近な大人は大きな影響があります。相性が良く、学びを得られる関係性もあれば、中には辛い関係性もあるでしょう。そんなときに、家庭や学校以外に、なんでも話せる大人、会うことが楽しみな大人の存在がいたら、どんなに心強いかと思います。今は残念ながら、地域でそんなつながりがどんどん減っている社会。だからこそ、We are Buddiesさんの活動のようにあえてそのつながりを作ることが大事なのだと思います。子どもたちが素敵なバディに出会えますように。(浅井美絵)
自分に子供ができる前から考えていたことは、子供と友達(のよう)になること。なんとなく親は「子供の教育者である事?」が強くなり、気づくと上から目線での話し方になっている多くの人を見聞きする。子供にとってそれがどう感じられるのか。大人の世界でも同じことが言える。
上司と部下の関係。先輩と後輩との関係。相手をお互いに思いやることで築けるなんでも言い合える関係。相談し合える関係。尊敬し合える関係。これ生きている年数や生きている間の経験値は関係あるのだろうか。このようなステキなバディを築ける環境があることに大変感銘を受けた。私も小さい時、親というよりは隣の家の大きなお兄さんや、親の友人のおじさんに色々多くを学ばせてもらった。私も子供たちにとって多くを学べる大人でありたい。(赤熊純)🤔(猪木俊宏)
推薦者です。推薦文の通り、くじ引きをしたような巡り合わせをもたらしてくれると思ったからです!(綿貫美紀)
We are Buddiesと親子の未来を支える会で非常に迷いましたが、We are Buddiesを選びました。理由は既に存在している人間だからです。その逆で選ぶ選択もありましたが、心の支えを必要としている既に存在している命に支援をしたいと思いました。あまりに対極なので、今回選ばれなかった団体はまた推薦して欲しいです。(茂木成美)
代表が中学時代からの友達なので、今回はノールックで選びます!(横山詩歩)
親子の未来と悩みました。なぜなら、いつか、私自身がそのような立場を迫られる可能性があり、非常に近しい問題として考えやすかったからです。ただ、なんとなく、生まれてしまった命を祝福するという軸で一票を投じたいと思いました。「生まれてきてよかった」という環境を作っていけば、自ずと、障害や困難を抱えていても、産む選択をすることができるようになるのではないかと思い、今回は、その環境づくりをされていると感じた「We are Buddies」さんに一票を投じます。(東詩歩)
“こういうことは、する、こういうことは、しない、ということがあるものだ。
しなければならぬ、してはならない、というのと違っている。“
〜福原麟太郎『する、しない』
「義務は愛にまさる」。ある介護経験者の言葉です。人間の自由意思は、自由意思を嗤う別の意思があって、はじめて自由なのかもしれません。
“We are Buddies“の取り組みを知ったとき、思い浮かんだのは、寅さんでした。「しなければならぬ」と言っているうちは、人の道は学べない。あんな寅さんのような人がもっといたら、きっと楽しいだろうなと思います。
「ザマ見ろぃ。人間はね、理屈なんかじゃ動かねえんだよ。」
『男はつらいよ』(1969年)(前田浩史)自分の課題意識に一番ビビッときました。様々な意見交換もありましたが未来の可能性を感じますので一位にさせていただきます。(日吉良太)
バディ文化を広めるという意味で、今後の展開可能性に大きな魅力を感じました!リスク対応もあるのですぐには難しいかもしれませんが「ちょっと変わった考え方を持つ大人」との出会いをマッチするような仕組みを設けてくださると、より有意義な活動になると思いました!寄付金は現行プログラム維持のための資金というよりも、将来的な新展開のための資金として役立ててもらえると嬉しいです!(坂本治也)
こどもにとって、自分を育てる人との出会いはたくさんあるべき。この活動が広がり、多様な出会いが溢れる未来を信じて、応援します!(古賀翔子)
自分の実体験から見ず知らずの大人と出会うナナメの関係は非常に重要であると思っていること、この団体がどのようなエンドゲームを迎えるのかに興味が出てきたため。(佐藤碩建)
私たちは生まれ落ちた共同体に人生選択の方針を支配されがちだと思います。相対的貧困化が進んでいる現在では、文化資本の格差や体験格差が大人から子供へと再生産されていきます。こういった垂直的な"可能性の収斂"を、ナナメの関係こそが断ち切れるのではないでしょうか。私も、自分が子供の頃に少し距離のある大人がそばにいて欲しかったです。応援しています!(中村祥眼)
地縁と血縁が消えつつあるこの世界で、必要としている人が確かにいるのだろうと思い、一票を投じます。(桂大介)
子どもが、自分の生活の中では出会わないような人と出会って関係を築く機会をつくれるこのプログラムに魅力を感じました。この活動が広がったら、どんな社会になるのか見てみたいです。(内藤万裕)
1人の大人が1人のこどもにじっくり寄り添う。これは大家族や密なコミュニティを前提とした子育てが崩壊した時代ならではの子育て支援の試みといえる。「バディズのマッチングはおとな1人につき、こども1人」というのは疑似親戚的な関係のようでもある。慎重なバディ選別・マッチングプロセス、保険加入などによってリスクを最小限にする措置はある種のGated Communityを想起させるところもあるが、地縁血縁なき時代のひとつのモデルを示したことに意義がある。こうした活動に光があたることにより、それぞれの地域のニーズ沿ったモデルが生れる可能性も広がると思う。(中嶋愛)
前提として、ありがたくもわたしは、とても、しあわせな環境で生まれ育ちいろいろな方と出逢い、今日にいたっているので『親ガチャ』と言う言葉が出はじめた当初、衝撃を覚えたのと、今でも『寄付』※という言葉同様あまり、『親ガチャ』という言葉が好きではありません。※『贈与』は好き✨
なので、推薦文の時点で大変申し訳ないのですが、拒絶反応を示してしまいました。が、子供の時出逢う大人って、どんな大人であっても、運命となってしまう。【籤】【ガチャ】なのか・・・😭💔お話の中で『条件』という言葉がひっかかりもしましたが、それも含め、子供なりに考えて判断、大人という理不尽さを理解していくのではないでしょうか。良い大人か、悪い大人かも、誰が決めるのか、判断基準価値観の問題、受け止める子供達にとって変わってくるかとも存じますが、出逢える機会という点で選びました。(せたゆうか)
We are Buddiesの取り組みがぜひ広がってほしいと思います。子供の頃の私がこの活動を知ったら、「大人とフラットに話してもいいんだ」とびっくりしたと思います。習い事もさせてもらっていたけれど、自身の幼少期はいとこなどの身近な親族の大人がいなかったこともあってかどこまでも距離のある関係しか築いたことがなかったためです。投票日の議論で、マッチングする人数の少なさ(閉鎖性)や一人当たりにかける金額の大きさやシステム的な出会いに対する危惧、スクールソーシャルワーカーとの連携の提案などさまざまな意見が出たことも興味深かったです。それでもバディという関係が当たり前になる未来を見たいです。(市村彩)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。