殺人事件被害者遺族の会 宙の会へ寄付を行ないました

新しい贈与論は、殺人事件被害者遺族の会 宙の会に84.5万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「トラウマ」をテーマに推薦を募集し、「ながれる(社会福祉法人子供の家ゆずりは)」「きむらとしろうじんじんさんの活動「野点(のだて)」「殺人事件被害者遺族の会 宙の会」の3候補があがり、東原大輔・鈴木弘人の推薦した殺人事件被害者遺族の会 宙の会が最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

https://www.jikou74.com/

今回の寄付先に、殺人事件被害者遺族の会『宙(そら)の会』を推薦します。

トラウマは個人に属する問題であると同時に、制度や法律の不備が生み出す構造的な問題でもある。そのことを強く理解したのはある未解決事件の遺族の行動を知ったときでした。

『名古屋市西区主婦殺人事件』。

2025年10月、26年の時を経て犯人が逮捕されるに至ったこの事件は大きな驚きとともに今も耳目を集めています。 

被害者の夫である高羽悟さんが、事件現場となったアパートを20年以上借り続けていたということ。その行為は、まさにトラウマと真正面から向き合い続ける闘いそのものに思えたのです。

私たちはこの事件を少し前から知っていました。

きっかけは映像ディレクターの上出遼平氏が配信している音声ドキュメンタリー『UNCOVER 新章 未解決事件現地調査』という番組です。 

配信された取材は2023年に行われたものですが、借り続けた現場アパートで、一連の報道で伝えられる様子と同じく淡々と事件を振り返る高羽さん。 

自分が同じ立場になったとき、果たして同じ選択ができるだろうか。逃げ出さずにずっと向き合うことなど出来ないかもしれない。

番組を聞きながら、そんなことを思いました。

改めて高羽さんのことを調べると、彼が殺人事件遺族の会『宙の会』の代表であることを知りました。 

会は殺人事件の中でも未解決事件に光を当てて活動しています。

殺人事件被害者の遺族になった時点で、人生を狂わされ、大切な人を失ったという運命を背負わされる。

ましてや犯人が捕まっていないという事実は、煉獄に突き落とされるような事象ではないでしょうか。 

否応なく事件と向き合うことを強要される運命。それをトラウマと言わず、なんと言うのでしょう。

会の活動は粘り強く続けられており、制度を変える力を持っています。

殺人事件の時効撤廃を実現し、今ではDNA記録保存の法整備を強く主張しています。

究極の個人情報といわれるDNAの扱いについて確固たる決まりのない日本。

今回の事件もDNA保存の法整備が整っていればもっと早く解決したかもしれないとも言われています。

未解決事件遺族の傷を癒やすには、犯人逮捕がようやくスタートラインです。その後の道のりも決して平坦ではありません。

新しい贈与論の活動としては少しストレートな選択かもしれませんが、彼らは国の制度を変える力がある団体です。ぜひ今月はこの寄付先にお願いします。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 犯罪被害者支援の活動については、いくつか知っていましたが、「宙の会」のことは今回初めて知りました。推薦文をうなずきながら読み込んでしまいました。「新しい贈与論」の寄付が少しでもお役に立てばという思いで、選びました。(山田泰久)

  • 重いテーマなので、投票先として選びにくさは感じましたが、寄付も求めて活動をされている中、今回のテーマで支援するにふさわしい団体かと思いましたので、一票投じさせていただきます。(中村研太)

  • トラウマにもいろいろ程度があり、またその軽重について第三者が語ることはできないと思いますが、とはいえ殺人事件被害者のトラウマは想像を絶するものだと思いますし、自分の寄付が少しでも何かの力になればと思います。(瀧澤暁)

  • 社会的な意義の強さと推薦文のメッセージ性の強さで順序をつけました。個人的な経験であるトラウマを元に法整備など国の制度という個人に留まらない大きな活動をしているところも応援したいと感じました。(栖原志歩)

  • 多くの未解決事件が、少しでも、一つでも解決するように、願いを込めて選びました。(漢那宗泰)

  • 遺族の方々の気持ちは同じような境遇にならない限り理解することができないと思う。その思いがある中で、宙の会の設立趣意を見ていて感じたのは、武力に対して武力でしか解決できないのかということ。私が生きた短い期間で理解しているのは武力で武力を解決することは困難であるということだったため考えさせらた。
    決め手は「Connecting the dots」を感じされ身に染みる思いから。話題となった高羽さんの事件は多くのことがつながったことで結果が得られものだと記事等を目にして感じる。現場を残し続けるという決断。宙の会の運営。時効撤廃運動。刑事との出会い等まだまだあるのだろうが、これらが未来でつながることで得られるものがあったということだと感じる。我々も自らの生に対し「現在」に強い思いを持って行動し未来を変化させていきたい。そう改めて思わされた。
    前記したように理解できない部分や目を覆いたくなるような部分も多い問題ではあるが、その中でも強い思いで行動されている方がいるということを感じ微力ながらでも力になれればという思い。(赤熊純)

  • 殺人事件の被害者遺族というのは、トラウマと向き合う事を強要される人たちの最たる例だと思います。トラウマはDNAに刻まれ、遺伝するという話もあるぐらい関連の深いものですが、DNAは殺人事件の捜査に際しては犯人逮捕の糸口にもなり、トラウマ克服への道を切り開く可能性もある。 宙の会はDNA保存の法整備についてなど積極的な活動をされているので、現実を動かし、何かを変える事に繋がればと思い、寄付先として相応しいと考えました。(東原大輔)

  • 時効撤廃を実現した方と今回の事件の方が同じ方と知りませんでした。 社会を変えるアクション、素晴らしいとおもいました(日吉良太)

  • 殺人事件被害者遺族が自ら立ち上がり、理不尽を訴え、法制度の不備を訴える活動に心から共感しました!寄付金が少しでも活動の足しになれば嬉しいです!陰ながら応援しています!(坂本治也)

  • 誰もが当事者になり得る状況に対して活動していること、個人で大きなシステムに対して働きかけようとしていることに対して応援したいと思いました。(小山田那由他)

  • 宙の会の活動方針や、究極的な目標を読んで、どうしてもここを寄付先にしたいと思いました。事件に人生を変えられてしまった遺族の方々の活動の軌跡を目の当たりにして、どのように言葉にすればいいか分からないのですが、寄付して僅かでも力になりたいという思いが心のうちに強く存在しています。(佐伯ポインティ)

  • 推薦人の一人です。未解決事件に焦点を当てた活動を長年続けている会の趣旨に賛同します。殺人事件の被害者遺族は突然当事者となったあとも自分でコントロールしづらい状況に向き合うことを余儀なくされます。法整備化など明確な目的をもって活動している点にも賛同したいと考え投票します。(鈴木弘人)

  • 推薦団体の中で最も光が当たりにくく寄付が集まりづらい団体だと思い、このコミュニティが寄付する意義があると感じました。今回の第一希望とします。(宮本聡)

  • 設立趣意に記されていた憤りや無念さが、「(殺人事件に対する)時効撤廃」の実現や、「このような事件が一件でも減少すること」によって、わずかでも和らぐことを切に願います。(小澤啓一)

  • 向き合うのが辛い出来事だし、同じ問題に向き合ってる人はそう多くない。そんな問題だからこそ、代わりに向き合ってくれる団体の存在が必要だと感じました。(秋山福生)

  • この事件には個人的にとてもショックを受けたので投票したいと思いました

  • なかなか縁の生まれづらい団体だからこそ、こういうときに、少しだけでも、心を向けたいと思いました。(桂大介)

  • あまりにも、被害者、トラウマということを、「タブー」のように遠ざけてしまう社会において、改めて、話を聞く、話をするということを実践したいなと思いました。(東詩歩)

  • 未解決事件という語り得ないものに光を当てるような活動だと思います。応援させていただきます。(中川瞬希)

  • 宙の会さんが殺人事件の予防/解決に対して強硬な姿勢で臨んでいることは、それだけこの問題が私たち市井の民にとって不可逆で立ち直れない影響を与えるのだ、と思いました。厳罰化だけが殺人を予防するとは全く思いませんが、それでも、起きてしまった事件は解決されるべきです。(中村祥眼)

  • こういった機会がないと支援するチャンスがなかなか無いと思いました。自己主張をいつの間にか被害者的フレームワークにすり替えている団体を支援することには元来後ろ向きなのですが、殺人事件被害者という事実、その苦しみはきっとそこから最も遠いのだろうと想像します。

  • 当事者でない限り、いや、恐らく当事者であっても本当は触れたくない重たい問題。そこに向き合うことは精神を消耗するだろうし、終わりの見えない苦痛でだろうと思う。それでも、声をあげて向き合うことによってしか救われない人はいると思う。本当の意味で救われるということはあり得ないのかもしれないが、時に理不尽な社会に一石を投じる気持ちで、宙の会さんに一票入れさせていただきます。(村瀬昌礼)

  • 「トラウマ」というテーマでのコミット度で3つの中から選びました。いろいろ悩んだ末に、寄合前に考えた思い通りです。

    事件によって、被害者遺族の人生も大きく変わります。そして、残念ながら被害者遺族自身も誹謗中傷にあうケースも多々あります。世の中の事件や出来事のニュースをみたとき、その裏にはたくさんの人の人生が影響をうけていると改めて思いました。「宙の会」の活動についても一人一人感じ方は違うと思いますが、まずはこの団体を知ってほしいと思いました。

    今回の寄合は、色々な意見を自由に発信できる贈与論の素晴らしさを感じられる会でした。(石田篤史)

新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。