新しい贈与論は、ひより保育園に90万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「ガストロノミー」をテーマに推薦を募集し、「首都圏青年ユニオン」「ひより保育園」「株式会社andew」の3候補があがり、高橋涼・本間盛行の推薦したひより保育園が最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
https://hiyorihoikuen.com/
料理経験ほぼゼロのおっさん(僕のことです)が、育児休業で「子どもに食べさせるご飯づくり」という難題に直面し、出会ったレシピ本が『「ひより食堂」へようこそ 小学校にあがるまでに身に付けたいお料理の基本』でした。
この本を生んだひより保育園(鹿児島県霧島市)は、「食べることは生きること」を掲げ、食を通して生きるための力を育む、として2017年に開園しました。
0歳から玉ねぎの皮をむき、2歳で包丁を使う、4歳で火を、5歳で魚を捌き、一通りの料理ができるようになると園は謳います。辿々しい手つきで、しかし、世のたいていのお父さんより料理ができる子どもたちの姿が、こちらの動画に収められています。
https://youtu.be/ISIKgb_M3Bk?feature=shared
これは遠足費用を稼ぐため園内にレストランをオープンし、園児たちを中心に近隣住民や食材の納入業者も巻き込んだイベントを記録したものですが、小さな子どもが“食事“をいい顔で作り、園の中に閉じることなく地域コミュニティーとつながっていきます。
代表の古川さんは、それを「ふつう」のことと言います。鹿児島市内の別園、地場の食材販売を行うレストランの開設、耕作放棄地の再生。さらには、近隣の廃校を買取って2027年に一条校の私立小学校を開校するプロジェクトまで起こしています。まるでレンガを積むように「ふつう」を経験できる子どもと世代を縦横に広げているのです。
僕は父親が単身赴任、母親も働きに出る鍵っ子でした。社会人になってから、駅の立ち食いそば屋の早飯から、一人数万円の料亭接待、たしかに数多くの“食事“を消化してきました。けれど記憶に残る“食事“を考えると、それは、母親と一緒に作ったケーキ、いつものお店で飲む旧友との酒肴、そして、わが子が初めておかわりしたかきたま汁が浮かびます。
しつらえられた祝祭性ではなく、ありふれた日常の中で人とつながる「ふつう」の時間。自分が子育てをする立場になり、家族でテーブルを囲む時間こそが人と人をつなぎ、心を育む貴重な時間だと実感します。こうした記憶と一緒になっている“食事“こそがガストロノミーなのではないでしょうか。
子供たちが日常の中で、”食事”を経験する場を作り続けている『ひより保育園』、豊かな経験と記憶を得た子どもがこれからも増えることを願い、推薦します。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
今回は熱量が高くて良かったですね(岡澤隆佑)
推薦文を読んでいて自然と応援したくなった。(泉宏明)
いつの頃からか、家庭では特定の役割を担う人だけが料理をつくるものとされている。そして、それを食べるときには、家族みんなで料理を囲むのが基本になっている。しかし、実際にはそれが必ずしも当たり前のことではない。つくりたい人がつくり、それを喜んで食べたい人が食べる。それでいいし、いつでもそうできるはずなのだ。私自身は、家族に料理好きで上手な人がいたこともあり、比較的早い時期からつくることや味わうこと、人に食べさせるためにつくることに関心をもっていた。キッチンに立つことや、素材に触れることへの抵抗や壁が少なかったのだと思う。小さな頃からそうしたまなざしを大人たちと一緒に囲み、育んでいくことが、いつかおいしく料理を食べられる日を夢見ることにつながるのだろう。そんな贈与の循環を、私は応援したい。(土田亮)
「日々の暮らしを大切にする」って良いな、って思います。情報発信が丁寧なホームページで好感をもてました。(熊谷友幸)
すごい!めちゃくちゃいいですね!つくるという行為を今一度取り戻すこと、とても大事だなって思います。(中島真)
難しかったです。ひより保育園の食育の活動が良いと思ったためです。寄付を受け付けているかは未知数ではありますが。
推薦文を読みつつ、推薦団体のWebサイトを見ていく中で、活動がいいなと思った、ひより保育園を第1位にしました。保育園で、こんな活動をされているところもあるんですね。Webサイトの情報発信もステキでした。(山田泰久)
食べることに関することがらを、年齢に応じた食育活動に落とし込んでいるのが、とても素晴らしいと思いました。園内の給食室がガラス張りで調理の様子が園児に丸見えなのもユニークですね。(清水康裕)
ひよりの推薦人です。(本間盛行)
ひより保育園の推薦文がすばらしい。動画の作り方も最高!こんな保育園がたくさんあればいいのに。「企業主導型保育事業」だからできるのか、霧島市という土地柄なのか。なにより、こんな保育園があることを、外の人にもっと知ってほしい。知った誰かがまた保育園をつくり、拡がっていく。そのためのお金として使ってほしいな。(藤岡達也)
こんなに小さなこどもでも丁寧に食事を作ることができる。特別な才能がなくても、誰もが実践できる豊かさを感じました。(古賀翔子)
“こいつの焼くパンはあまり美味くなかった。
もう食えないんだな。“
『葬送のフリーレン』71話(故郷の旧友が死んでしまった際のセリフ)
「食」が「美食」に変わるには、まずは「生き延びる」が「生きる」に変わる必要があると思います。「生き延びる」が「生きる」に変わるには、迂回や余白、つまりは贈与がさし挟まるような契機が必要です。
目に見えた贅沢はその場限りであって、そのときが美味しいから「美食」とは限りません。決して美味しい出来事でなくても、振り返ったときに、「ああ、あのとき出会えてよかった」といつか味わえること。これが本来の美食ではないでしょうか。
小さい子にとって、料理は決して一人で出来るものではありません。料理は必ず誰かのためにするものです。『ひより保育園』が見ているのは、「生き延びる」力ではなく、「生きることを味わう」力だと思います。
“本物の奢侈(しゃし(=ぜいたく))は富への完全な侮蔑を要求する。“
〜ジョルジュ・バタイユ 『呪われた部分』
(すき家で昼飯の牛丼を食べながら)(前田ひろし)子どもたちが、様々な「ふつう」を経験できる環境があるのは素敵だなと感じたので、ひより保育園に投票したいと思います。ガストロノミー(美食)が「食卓を囲む人との関係性」とも繋がるのは面白く感じました。(広井健一郎)
「ふつう」の時間という言葉がとても惹かれました。色々なことがすごいスピードで発展している社会において「ふつう」も変化してしまうのは当然ですが、それぞれの時代、人の「ふつう」というものを大切にする感覚はとても尊いことだと考えてきます。そんな「ふつう」を体験できる場所があることをとても嬉しく思ったので、ひより保育園に1票をいれさせていただきます。(M.S.)
純粋に応援したい順番で選びました。ひより保育園を寄付を受けてくれるのかという不安もありますが、こうした保育園が増えてほしいなという思いから選びました。(石田篤史)
遠足費用を稼ぐために園児がレストランをやるというのが素敵だなと思いました!
推薦人の言葉ひとつひとつから、園のストーリーや子どもたちの姿が想像でき、食べることが大好きな私には、とてもステキと感じました😋🥟🍴一人でおいしいものを食べるのも好きですが、やはり誰かと一緒に、あるいは愛する人が作ってくれた料理を味わう時間は、何にも代えがたいものだと思います😌💓『お袋の味』のように、時代がどれだけ変わっても、なくなってほしくない。時短便利も大切かもしれないけれど、そんな想いをも、あらためて考えさせてくれました。
今回の【ガストロノミー】というお題を通して、日常の「ふつう」の食事の尊さを感じさせてくれた、お題、推薦人、推薦文【ひより保育園】に、心から感謝いたします。
数多くの“食事“・・・記憶に残る“食事“ 泣くかと思いました😭💓😂✨✴どうもありがとうございます💖(せたゆうか)普段は料理をしないのですが、いつか自給自足のような暮らしをしたいと妄想しているので、食べることは生きること、に非常に共感しました(石田智子)
鹿児島県の団体が候補なのは珍しいと思った。(佐々木優)
ひとり暮らしで自炊をしている身としては、子どもたちが笑顔で手料理を振舞っているところに小さな感動を覚えました。(中川瞬希)
推薦人です。(高橋涼)
一人暮らしでコンビニ弁当という都会的な状況は人間の生活として貧しいものだと思う。日常の中にある食、その食を通して紡がれる人間的な豊かさ、その文化土壌を作り上げる食育のあり方としてひより保育園の考え方非常に共感し、応援したいと思いました。日常の些細な一コマの豊かさを大切にできるような日本であってほしいと思います。(村瀬昌礼)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。
