特定非営利活動法人山友会へ寄付を行ないました

新しい贈与論は、特定非営利活動法人山友会に86万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「草」をテーマに推薦を募集し、「特定非営利活動法人山友会」「パクチー銀行」「特定非営利活動法人NPOサポートセンター」の3候補があがり、杉山大樹、田中宏幸の推薦した特定非営利活動法人山友会が最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

https://www.sanyukai.or.jp/

今回推薦するのは、東京都台東区の通称「山谷地域」にて社会的に孤立しホームレス状態など生活に困窮した方々を支援する特定非営利活動法人山友会です。

今回のテーマは草。草→w→笑という連想から、社会に笑顔を届ける団体に寄付したいと考えました。山友会では「ひとりではないと感じ、笑顔を取り戻す」ことをミッションにしています。

一般的には“笑”はそこかしこに溢れています。TVのバラエティ番組、スマホでの動画、家族や友人との会話で人は簡単に笑うことができる。一方で、山谷でホームレスとなった方々は社会的に孤立され「自分は誰からも必要とされていない」という想いを抱かれ生きる意味などないと思われる方もいらっしゃるようです。

そのような方々に笑顔を取り戻してもらい居場所や生きがいを取り戻す活動を、40年にもわたって草の根のレベルで活動している山友会への寄付を提案します。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 自分は「たまたまプログラミングに出会えたことで今がある」という感覚が強いので、一歩間違えればホームレスであったかもしれないという気持ちを常に抱いています。ある人が生きていくのに充分な収入を得られるかどうかは運によるところも大きいと思っていますので、そこに恵まれなかったであろう人々を支援したいという気持ちで今回はこちらに投票させていただきました。(三上遼)

  • テーマである「草」の解釈について惹かれた順に希望順序を付けました。特に第一希望の山友会は初めから終わりまで身につまされる言葉が多く、1段落目の言葉が心に刺さり、寄付できるような立場にいる自分のことや自分自身の属性(性別、年代等)を改めて考えさせられました。寄付が集まりやすいものの特徴を並べられているのも印象的です。美しいもの、将来性のあるものに集まる寄付は、意識的・無意識的問わず、投資のような意味合いも持っているのかもしれないと考えてしまいました。(栖原志歩)

  • 島崎藤村の詩に、『椰子の実』という詩があります。この詩を読むと、わたしたちは誰もが波間を漂うヤシの実であったと感じますし、いまだにヤシの実かもしれないとも感じます。
    「たとえいまは根の張る暮らしは違えど、わたしたちはどこまでもヤシの実だ」
    山友会の活動は、そんな思いに根を張っているのではないでしょうか。わたしは寄付という意味ではなく、山友会を支援します。

    島崎藤村
    『椰子の実』

    「名も知らぬ遠き島より 
    流れ寄(よ)る椰子の実一つ  
    ふるさとの岸をはなれて 
    なれはそも波にいく月(つき) 

    もとの樹(き)は生(お)ひやしげれる 
    枝(えだ)はなほ影(かげ)をやなせる 
    われもまたなぎさをまくら 
    ひとり身のうきねの旅ぞ

    実をとりて胸(むね)にあつれば 
    新たなり流離(りゅうり)の憂(うれ)ひ 
    海の日のしづむを見れば 
    たぎり落つ異郷(いきょう)のなみだ 
    思ひやる八重(やえ)の潮々(しおじお) 
    いづれの日にか国に帰らん」

    【現代語訳】
    「名前も知らない遠い島から流れよってきた椰子の実が一つ。
    ふるさとの岸をはなれて、おまえはそもそも波に何ヶ月うかんでいたのか。
    実をつけていたもとの木は今も生いしげっているのだろうか。
    えだは今もなお、かげをつくっているのだろうか。
    わたしもまた、なぎさの波の音をまくらに一人さびしくふるさとから遠くはなれたところをさまよっている。

    この実を持ってむねにあてれば、あてもなくさまよう旅の不安がいっそうあざやかになる。
    海に日がしずむのを見ればはげしくあふれ落ちてくる、ふるさとを思うなみだ。
    椰子の実が流れてきたはるかな潮(しお)の流れを思うと、わが身の人生の遠い道のりも思いやられる。
    いつの日にかふるさとに帰ろう」(前田浩史)

  • 私は高齢者への福祉活動に対して葛藤があります、しかし、だからこそ山友会に一票を入れようと思いました。私は、地域のおじいちゃんおばあちゃんに世話を焼かれて忙しい家庭でも寂しいを思いをせずに生きてこられました。ご年配の方々のことが好きだし感謝しています。一方で高齢者への社会保障費が国の予算を圧迫し、私たち若年層への福祉も生活向上も劣後されている現状で、予算を奪っていく群としての高齢者に対して呪うような気持ちが無いとは言えません。自助が難しくなった彼らの生きる術は公助だけなのでしょうか。共助を取り組む山友会さんなどの取り組みを覗きながら、この問いには向き合っていきたいです。(中村祥眼)

  • 悩みました。わたしはいつも真面目に考えてしまうので、好奇心をくすぐられるようなところに投票するのもおもしろいなぁと思ったのですが、昨日猛暑のなかホームレスの方が物乞いをしていた光景がどうしても頭をよぎり、無視せざるを得ませんでした。ホームレス支援はさまざまありますが、地域に密着した高頻度な支援が、命の存続につながると思います。(姜花瑛)

  • 山谷に日本の様々な課題を解決するヒントが眠っているような気がするから。(HT)

  • テーマが「草」ということで、困窮する民草に支援を、と思いました。ホームレスになってしまったのは他の人よりも運が悪かっただけ。家のある私たちにとっても他人事ではありません。(溝口奈緒美)

  • 草とホームレス支援を結び付けたことが新鮮で第一希望にしました。(小柴優子)

  • 推薦文の「草のような寄付対象」すなわち、「友人づくりにも失敗し、稼ぐことにも失敗したおじさんたち」のワードに引き込まれました。「失敗したくない」若い世代にとって、失敗したおじさんはどう映っているのか。「もう終わった」存在ではなく、「まだ動いている」人間としておじさんに向き合い、将来を見つめる山友会の活動を支援したいです。(藤岡達也)

  • 山谷のことは『山谷─やられたらやりかえせ』で知りました。正確には、去年か一昨年の上映会のお知らせを見て知りました(なので映画は見たことがない)。だから、山谷は怖い町というイメージが強く、機会がなければ近寄らない場所という認識になっています。機会がないと知る由もない事象というものがあって、加えてそれが愛しえにくい対象であれば尚のこと寄付には至らない。今日、山友会を知ってしまったので、寄付先として投票したいです。草の根の運動は地域密着でしか成立しなくて、その地域密着の活動に僕らが寄付をアウトリーチで届けたいと思いました。(中垣智晴)

  • 長らく地道な活動を続けていることを知って、応援したくなりました。(秋山福生)

  • もっとも困ってそうで、かつ寄付されなそうな対象である山友会を第一希望にしたいと思います。(田中宏幸)

  • 切実に求めているところに、持てる者が分配する、能動的再分配が贈与の軸だと考えたので。(杉山大樹)

  • 再分配というとおこがましい感じがしますが、やはり困っている人に届けたいので

  • 今回本当に決められず、最初になんとなく決めた順位のまま投票します!(宮本聡)

  • 貧富や境遇の差などを乗り越えて、彼らが掲げるビジョン「ひとりひとりがその存在を認めあい、助け合うことのできるようなやさしさに満ちた、安心して暮らすことのできる社会」に近づくと、次の世代にも繋がると思います。(小澤啓一)

  • 推薦人の方の、一番困っているところに寄付したら良いじゃない、という言葉が、最終的に腑に落ちました。社会は、致命的とまでは言えない不運や困難から、なんらかの理由で立ち直らなかった(ように見える)人々に厳しいように見えます。考える機会をいただきありがとうございました。(加藤めぐみ)

新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。