新しい贈与論は、全国学校・園芸ビオトープコンクールに85.5万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「庭」をテーマに推薦を募集し、「公益財団法人日本民藝館」「特定非営利活動法人植える美ing」「全国学校・園庭ビオトープコンクール」の3候補があがり、原拓海・菅野恒在の推薦した全国学校・園芸ビオトープコンクールが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
普段なら少しひねくれた視点で考えてしまうのですが、実のところ、今回ほどストレートにテーマである「庭」に沿った寄付先にしたいと思ったことはありません。
実は、ずっと「庭」がある家に憧れていました。テレビや映画のワンシーンで見る庭は決して主役になることはありませんが、その空間そのものがとても魅力的に映っていた記憶があります。でも、大人になって気づいたのは、多くの日本人が、ある意味「庭」と呼べる場所を持っていたということです。それは「校庭」です。
だからこそ、今回私が支援したいと考えたのは、日本生態系協会が主催する「全国学校・園庭ビオトープコンクール」です。
■公益財団法人 日本生態系協会
https://ecosys.or.jp/
■全国学校・園庭ビオトープコンクール
https://www.biotopcon.org/
このコンクールは、全国の学校や園で取り組まれているビオトープの創出と活用を評価・表彰するもので、単に自然を模倣するだけでなく、子どもたちが主役となって、生きもののための工夫や地域とのつながりを形にしていく点に特徴があります。
また、ビオトープ創出活動を後押しすることを通じて、生物多様性の保全と環境教育の推進に貢献し、実践的な保全活動と教育的価値という、二重の目的を明確に定義しているのですが、そんなことは子どもたちにはあまり関係ありません。難しいこと抜きに、ただただビオトープづくりを楽しむでしょう。池を作ったり、土をいじったり、エコトーンを作ったり、植物を植えたり。そして、そこに色々な生き物が遊びに来るのを見つける喜びもあります。
そして審査の期間が2年間という、子どもたちにとっては長く感じる時間、ビオトープを大切に守り、地域の人たちと一緒に活動する経験は、子どもたちにとっても、そして私たち大人にとっても、かけがえのない財産になるはずです。この経験から、多様な価値観を認めたり、白黒つけられない曖昧な部分も大切にできる、そんなことを大人になったときに気付いてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
推薦人のストレートな視線に共感しました。ビオトープってなんか惹かれるんですよね。近くの公園にもひっそりと小さな空間でビオトープがあったりして、そんなちょっとした自然に癒されたりするので、応援したいです。(熊谷友幸)
学校にビオトープをってめちゃくちゃいいですね!大賛成!(中島真)
ビオトープコンクールが目指していることに共感しました。都市では、人間社会が前提としている自然との共生関係や、私たち自身の生物性を巧妙にマスクします。本来自然が教えてくれるそういった前提や制約を知らないということは、自分たちが解釈できる「幸せ」の幅が減ってしまうことでもある気がしています。自然を通じて、より身体的な"知"を育めたらいいのかなと思いました。(中村祥眼)
校庭が庭であるという提案者の気付きに,私もハッとさせられました。私自身、小学校在学中に校庭にビオトープが新設された思い出があります。自然の少ない東京の小学校だったので、水性生物と出会える唯一の機会をビオトープからもらいました。私のような自然体験をする子供達が増えることを願います。(坂巻舞羽)
ビオトープのコンクールの審査期間が2年間だということが、とても興味深いと思いました。今、この瞬間だけでは計り得ない、時間をかけて楽しむ喜びを、たくさんの子どもたちに贈ってほしいです。(吉見新)
ストレートな推薦文に共感し、全国学校・園庭ビオトープコンクールに投票しました。本体の日本生態系協会はいろいろな活動をしているので、今回はぜひビオトープコンクールに活用していただきたいですね。(山田泰久)
とても良い取り組みだと思ったため。(高城晃一)
庭のある生活が始まってはや1年、単なる緑視率を越えて、土や生き物や水に触れる効果を日々感じています。園芸福祉と悩んだのですが、ビオトープにしました。
人の手が入らなくなって朽ちたビオトープを小学生の時に見かけて以来、循環による自立が基礎にある生態系には程遠いなと思っていたのですが、福岡の響灘ビオトープという素晴らしい事例に出合い考え方が大きく変わった経験があります。
管理と自立のあいだで良いバランスを取るビオトープという活動や、ある意味偶発性に任せなければいけない感じなど、真面目にビオトープに触れる人口が増えるととても良いなと。(渡辺麗斗)我々人間が生きる上で大事なことは結局、自然の中で学んだんだなと子供の頃の記憶を思いかえし感じる。大人になってもこの多様な環境の中で、自然に帰ると落ち着くのは1つの芯となるものなんだろうと感じる。子供の頃に感じた自然との触れ合いを大事にして、大人になっても多方面で活躍できる人になって欲しいという思いから。(赤熊純)
自然がどこにでもあふれる田舎に育った私にとっても、校庭はひときわ特別で、発見に満ちた場所でした。見つけた四つ葉のクローバーは摘んでもいい。木肌に薄い紙を貼って鉛筆でこすって、でこぼこを写し取ってもいい。花壇には入ってはいけないし、池の鯉やフナやザリガニを獲ってもいけない。違う学年の子らが手入れする畑が並ぶ。大げさに言えば「共」の感覚を養う場所だったと思います。そのこともあり、推薦文に深く共感しました。(加藤めぐみ)
庭にあこがれを持つ者として、推薦文に惹かれました。自分の庭を持つのは難しくても、たしかに校庭は、自分たちの庭になる可能性を持っていますね。私が通っていた学校は人工芝で、育てる庭という雰囲気はなかったので、「校庭」と「庭」との間には、ずっと隔たりがあり、いままで気がつきませんでした。
このコンクールを通じて、生徒たちだけでなく、近隣の住民も巻き込んだ庭(ビオトープ)できたら......ひとりの庭づくりをも超えた経験ができそうです。また、コンクールの開催期間が長いところも素敵だと思います。時間のかかる場所。(内藤万裕)実家の近くの小学校に緑豊かなビオトープがあったことを思い出し、今回は直感に従って選びました。子どもたちが、自分たちの手で生態系と触れ合う一歩となればいいなと思います。(広井健一郎)
ビオトープにした理由は、どんな子どもでも参加しやすそうで、広がりがある活動のように思えたからです。ビオトープ作りって、スクールカーストによらず自分らしく取り組めそうですごく良いですね。教育現場でありながら、教条的にならず、一人ひとりが自分の心を耕せるような取り組みに惹かれました。(浅見晃子)
「全国学校・園庭ビオトープコンクール」を推薦人として挙げさせて頂きました。難しいことを考えずにビオトープを作るのは楽しいです。当然、いっぱい失敗もすると思いますが、そういった経験をたくさんの子どもたちにしてもらいたいなと思います。(菅野恒在)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。