NPO AYAへ寄付を行ないました

新しい贈与論は、NPO AYAに89万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「蛇」をテーマに推薦を募集し、「NPO AYA」「子ども食堂ネバーランド」「NPO法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)」の3候補があがり小澤啓一、泉宏明の推薦したNPO AYAが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

https://aya-npo.org/

今回のテーマ“蛇”が象徴する「再生」とは、新しいものに生まれ変わることを意味する。私たちが生きる社会の再生や発展は、次の世代であるこども達が育っていくことで可能となる。だから、推薦人の一人が定期的に通う総合病院でこどもを目にすると、少し心が痛むのだ。

調べてみると日本には約2万人の医療的ケア児、約60万人の障害児、約20万人の難病児が存在する。そして厚生労働省の調査(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000653544.pdf)によれば、96.8%の該当家族は「一緒に外出や旅行すること」を希望している一方で、問題なく行えている家族は17.2%に留まっているという。さまざまな理由で病気のこども達や家族は「普通のこと」がしづらい状況なのだ。
病気と戦うことも重要だが、その子たちは患者としてだけ生きているわけではない。家族と出かけたり、スポーツをしたり、映画館に行ったり、何気ないことができれば、こどもとしての時間が豊かになるだけでなく、彼らの世界観が広がり、人生の可能性に気づいたり成長のきっかけにもなるだろう。次の世代のために大人は何ができるだろうか。

推薦先のNPO AYAは「病気のこどもが参加するには少し難しいこと」の機会を支援することで、こども達やその家族の「日常や未来が広がるきっかけ」を提供する団体だ。
2023年にできたばかりの団体だが、既にForbes JAPANでも注目のNPO50選に取り上げられているのも、信頼性と将来性の一つの証左でもある。
一方で収支規模はまだ小さく、問い合わせたところ、運営は手弁当で行われているという。

団体代表は普段は医師として働いており、多くのメンバーも医療に携わっている。このような医療従事者がイベント現場にいることで、参加家族だけでなくイベント開催者も安心してその場を託せるそうだ。
家族たちには、それまで参加を諦めていたイベントを次々と実現する彼らが、魔法の杖を持っているように見えるかもしれない。ちなみにギリシア神話に登場する名医アスクレピオスは、“蛇”が巻き付いた杖を持っていたそうだ。
「医は算術」的な風潮の中でも、献身的な活動を続ける彼らの姿は、きっとこどもたちにも伝わっているだろう。

AYAの活動に賛意を示すとともに、分断と論争ばかりの今だからこそ、再生と次世代の可能性に繋がる寄付を提案したい。
なにより、メリークリスマスという言葉を添えて寄付を送る先としてはぴったりだと思う。クリスマスプレゼントを渡す相手はこどもたちと決まっているから。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • AYAの活動内容が1番支援したいと思ったため。(萩原大地)

  • 推薦人の一人としてNPO AYAを推薦した。12月の終わり、クリスマスに相応しい寄付先だと考えた。患者は患者としてだけ生きるのではなく、一人の人間としての人生がある。そして、子どもの一日の価値は高い。彼らの一助になれば幸いである。(泉宏明)

  • 新しい団体であることに加えて、スポーツ文化芸術活動を行われていることから、今後自分自身かかわる方法が見えてくるかもしれないと感じました。大変な状況にある子どもたちに対してだけれどもさまざまな素敵な体験をする権利は保障のための活動をされている団体に尊敬の念を持つとともに応援の気持ちを送ります。(金子遥洵)

  • 病気の子どもたちに対する支援として、医療面の支援は公的な枠組みなどでカバーされたとしても、文化面はどうしても支援の手が届きにくい領域だと思います。スポーツ・芸術・文化に特化した支援に取り組むNPO AYAを応援し、微力ながら支援の幅を広げるサポートができればと思い、この寄付先を選びました。(朝野椋太)

  • 当事者の苦しさはもちろん、周辺の方々の負担と影響範囲の大きさから(水田芳裕)

  • 【私は医師になり様々な経験を積んでいくうちに、本人やご家族に何の責任もなく、不可抗力で病気になってしまう患者を多く見てきました(中略)「病気になったからこそ素晴らしい出会いがあった」、子どもたちやご家族がそう思える社会こそ、わたしたちAYAが実現したい世界です。】HPの代表メッセージが素敵でした。活動を応援したいな、と思って第一候補に選定しました。(熊谷友幸)

  • 今回はほぼ直観で選びました。冬の贈与はやっぱりどこか、少しでもこの冬を越える力に繋がったらいいなと思うのかもしれません。(稲垣景子)

  • 病気の子ども達が世界観を広げられるのはもちろんのこと、子育ての当事者としても、親御さんへの救いも計り知れないものであると思います。クリスマスの投票として最もプレゼントらしい点にも共感して投票します。(松井俊祐)

  • テーマはあまり気にせず、子供の闘病に向き合うという活動に共感したのでAYAに投票させていただきました!(三上遼)

  • 活動内容を比較して順位付けするのは難しかったので、推薦文と各団体HPを見て、最も個人的に応援したいと感じたところを選ばせて頂いています。(東原大輔)

  • 普通のことが出来るように専門家がプロボノで活動する。素敵なことではありますが、第三者から認められる機会も少ないのかもしれません。そこで、今回、こうやって団体のことを知りましたので、お礼の気持ちをこめて、投票しました。(稲田遼太)

  • またまた難しい選択で、もう正直どこが一位になっても構いません!の気分ですが、ごくごく個人的な感傷(来年巳年で還暦定年退職となり一旦収入が途絶える)をよすがにNPO AYAを一位としました。他の候補もこの理由だと選ばれうるわけですが、自分のアクティビティをどこまで削るか日々考えておりまして。推薦人の皆さん12月にふさわしい候補をありがとうございました。(本間盛行)

  • AYAの取り組みは兼ねてから知っており、自身も子育てをする身として、「もし自分の子どもが当事者となったら親としてどう思うだろう」と思いを馳せてきた領域です。ただ、当事者になるまで、その状況に気づきにくい領域でもあると感じています。この寄付を通じて、認知が広まるきっかけとなったらといいなと思い、投票します。(七條晶子)

  • AYAの活動はとてもイメージがしやすく、かつ、効果的な活動だと感じました。(渡辺健堂)

  • こどもの頃の経験は大人に比べ何倍も貴重な、可能性を広げ、希望をもたらすものだと感じています。その機会がより多くのお子さんに行き渡ることを願い、NPO AYAさんに投票します。(上西雄太)

  • ちょうど「生きるってなんだろうな」と大人ながらぼんやり考えていた時があった。そして生きることにおいて、選択とケアが幾重にも折り重なっていることをアネマリー・モルが書いた本『ケアのロジック』から知る。推薦文から病を抱える子どもたち、医師・医療従事者や家族、さらには薬やテクノロジーに囲まれた環境のなかで、いかに選択を迫ろうとせず、何度も試行錯誤を重ねながら本人の意思を尊重した生活をケアできるか。この思考に気づかせてくれたプレゼントにこそ、最高のギフトをお返ししたい。(土田亮)

  • 非常に迷ったが、AYAはしっかり活動されていて寄付も有効活用してくれそうに感じた。(高城晃一)

  • 推薦文の「クリスマスプレゼントを渡す相手はこどもたちと決まっている」というフレーズに心を掴まれました!

  • 闘病生活で諦めなければならないことがひとつでも減るといいなと思い1票を投じます。(立花香澄)

  • 子供の頃、様々な場所に両親が連れて行ってくれました。それが今の自分を形成しているのは間違いなく、「普通のこと」が普通にできることの有り難さを改めて感じました。そんなクリスマスプレゼントが贈りたいなと思い、投票させていただきます。(原拓海)

  • AYAさんの活動によって、子どもたちに文化的体験をして欲しいという気持ちが一番強かったため。(中島智美)

  • たまに「NPOのやるべき仕事は、本当は国がやるべき仕事だ」という論調を聞くことがありますが、AYAさんのやられているような活動は国家によるのではなく市民が行なっていくことに、大きな意義があると思いました。純粋に支援したいと思わせてくれた団体でした。病気と闘う子どもたちへ、ささやかな気持ちを込めて一票を投じます。(桂大介)

  • 「継続性の担い手は、『見える化』された現実を知ったわれわれ」、「子どもたちの0を1にする取り組み。その基盤があれば、子どもたちは自分の力で1を2や3にしていける」、小澤さんの素晴らしいスピーチに感動しました。あとやはり、「どういう社会をつくっていくか」という思想的一貫性は大事にしたいと思いました。(嶋田暁文)

  • 病気で辛い思いをしている子どもたちが、色んな体験が出来る機会を造る活動をしているAYAさんを推薦します。(菅野恒在)

  • 映画館に行くこと、スポーツ観戦に行くこと、がこの子どもたちにとってどれだけ大きな希望の第一歩になるのか、きっとそれを一番熟知しているからこそ、忙しい医療関係者がNPOで活動をしているのではないかと思いました。そのような希望の第一歩をぜひ応援したいと思いました。私たちは医療者として命を救うことはできないけど、クリスマスシーズンに子どもたちにとって大きなギフトとなることを信じて、託したいです。(古賀翔子)

  • 寄合を通して全ての団体の魅力が伝わってきて、悩みに悩みましたが、同名の団体に期待です!(市村彩)

  • 個人的な共感の強さと寄合の中でのお話で残った印象の強さに基づいて順位を決めました。第一希望について特筆すると、自身の経験から「日常や未来が広がるきっかけ」を贈与すること/されることの大切さを感じたと共に、推薦人の方の「0を1にする」というお言葉が後押しとなりました。こどもたちの世界が広がるための種を蒔けるといいなと願っています。(栖原志歩)

  • 病気のこどもたちの可能性を拡げるために、またその家族を勇気づけ応援するために、まず《ゼロをイチにする》活動をしているNPO AYAの皆さんに敬意を表します。(小澤啓一)

  • 医療に携わっている方がやっているという点や、「日常や未来が広がる“きっかけ”」を提供する団体という点、0を1にする団体という言葉にも魅かれてしまいました。(せたゆうか)

  • 個人的に今年みた映画でダントツで沁みたのが、自分以外の家族4人が聾(耳が聞こえない)という家庭で育った主人公が歌を歌う物語「coda」でした。最初は主人公の夢をどうしても応援できない家族なのですが、主人公が歌うステージを目撃して周囲の人がうっとりする場面を目にしてから家族は主人公の夢を応援できるようになります。文化資本に触れられなかった人は人生を相対化する機会を逸してしまいますし、子供に対してもそのある種の貧困は再生産されてしまうと指摘されますね。困難な状況にある子供でも、文化に触れらる機会が少しでも与えられますように。(中村祥眼)

新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
メディアキット ダウンロード

 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。