新しい贈与論は、特定非営利活動法人 こども哲学・おとな哲学 アーダコーダに89万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「鏡」をテーマに推薦を募集し、「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」「特定非営利活動法人 こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」「Moche Le Cendrillon(モチェ・レ・サンドリヨン)」の3候補があがり中村雅之、小柴優子の推薦した特定非営利活動法人 こども哲学・おとな哲学 アーダコーダが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
「子は親の鏡」といいます。
その意味は、よく知られた通り、子どもは親から大きな影響を受けて育つということ。自分の経験を考えても、子どもの狭い世界では、一緒に暮らす親との関係の中で人間性や社会性が作られる、確かにそういう面があります。
しかし、いま推薦人Aは一人の親として、親子だけの対話に、ときに限界を感じます。子どもに考えてほしい価値観を伝えても、二者の関係では「受け入れるか否か」になってしまいがちで、「なぜそうなのか」という姿勢で消化してもらいにくいから。子が成長するには、自ら考え始めるきっかけが必要です。鏡のままではいけない。
そんな小さい鏡たちに、自ら考え、他者と対話を重ねることで、自分自身の光を見つけるための場を提供している団体があります。NPO法人 こども哲学・おとな哲学 アーダコーダです。
正解のない問いを立て、参加者と一緒に考える対話を「哲学対話」、特に子ども相手の対話を「こども哲学」といいます。こども哲学は、一つの「問い」をめぐって考えたこと・感じたことを述べあい、聞きあうことで、それを通して子供たちは、自分の考えを深め、お互いを理解できるようになるそうです。アーダコーダは、この「こども哲学」の普及に取り組む団体として、恐らく最も精力的に活動していて、学校へ出張して授業をしたり、教員の養成講座を開催しています。
推薦人は、同団体の創設者の方が記事で語っていたことが印象的でした。
「いろいろな意見が出たまま終わって、何が正解か分からなくなる不安定さがいい」
「何が正解か分からなくなると、子供たちは自分の価値観を選び直せる」
「揺さぶられると、余計なものが振り落とされる。人は人と会って、揺らされて、選択をしていく」
これを聞いてハッとします。これはアレだと。贈与論の投票日そのものではないかと。
私たちは、投票日の価値を知っています。これだと思っていた考えの槍が、ポキッと折れる感覚を知っています。お題に向き合って考えていたようで、実は自分自身に向き合っていたことに気付く、その良さを知っています。そんなフラットな対話体験を、多様な価値観や新しい視点を、もっと子どもたちに感じてもらいたい。
そうした機会を提供する活動を、私たち「ろ組」は敬意を持って推薦したいと思います。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
「これはアレだと。贈与論の投票日そのものではないかと。」同じこと思いながら読んでました。答えが出ないものを深く考え続ける体験を子ども達に。良い取り組みですね。(熊谷友幸)
以前読んだ本(「僕らの世界を作りかえる哲学の授業」)の中で、今回の推薦団体の「こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」のことが取り上げられていて、気になっていたNPOでした。
推薦文を読んで、あらためて、こども哲学の価値から、新しい贈与論の価値との相似までつながって、面白いなと思いました。「これだと思っていた考えの槍が、ポキッと折れる感覚を知っています。」という一文がいいですね。ということで、あらためて「こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」に出会わせてくれた機会を提供してくれた推薦に敬意を持って投票したいと思います。(山田泰久)
「答えのない対話」を作る機会は非常に価値の高いことだと思うが、体験するまでその必要性に気がつく人が少ないのではないかと思う。寄付によって対話の場を作る機会が増えたら良いと思う。
これまでキャリア支援を仕事にしてきて、クライアントが抱えるしこりの多くが、幼いころの家庭環境や親との関係性に起因することに気づかされます。小さな世界では当たり前が偏りがち。様々な人と対話し思考回路をシェアできる機会は、あると思い込んでいた境界を溶かす取り組みになると思います。創設者の方の「何が正解か分からなくなると、子供たちは自分の価値観を選び直せる」というコメントは本当にその通りだと思います。
多様で複雑であいまいな時代だからこそ、自分自身も、子ども達にも自らが良いと思うものを選ぶ力が必要だと思います。今回アーダコーダさんの推薦文を読んで、今世の中に必要なのは哲学なのかもしれない、と感じました。哲学的な対話体験を通して、自分自身の考えが浮き上がり、その輪郭が見えてくる。まさに自分を映す鏡を得られそうな気がします。(浅井美絵)
「こども哲学」だけでなく「おとな哲学」も団体名に入っているところに好感が持てました。(栖原志歩)
とくに正解などないちょっとしたやり取りのなかで、相手に対する理解が深まることがときどきあります。そしてそれは、誰もが語る大きな問題について、同様に議論するよりも相手に肉薄できるのではないか。川辺さんのインタビューでの率直さも、たいへん好ましく感じました。(清水康裕)
こども哲学はじめて知りましたが、とても賛同する取り組みです!(中島真)
大人ってドンナモンダと斜に構えながら見上げていた遥か昔。コンナモンダやソンナモンカを行き来しながら、ナンダカンダで年齢だけはすっかり大人になりました。ソンナコンナで「アーダコーダ」。団体の活動も推薦文もコレダコレダの素晴らしさ!いつの日か「一人ひとりを尊重し、自由に考え、対話できる社会をつくる」ことに貢献できる大人になりたいと思います。(小澤啓一)
人生や考え事、これからとか、もっとイージーに生きられたら。そう思うこともある、でもそれを叶えるために必要なのは多分「イージーな生き方」と検索したり人づてに聞いて実践する力とかじゃなくて、どう生きるかとじっと考える力。それは真っ当な大人でも難しくって、でも意外と今の困難な時代を生きる子たちの方が斜め上の存在の人たちや時代を見つめてずっと大人でシビアで考えることが得意なこともある。口喧嘩とか棚上げな批判とか論破とか、そういう風潮に晒されながらも、それぞれがネガティヴ・ケイパビリティを持って考え抜く力を育むことができるのなら、喜んで支援したいなと思います。(土田亮)
個人的な思想で社会に哲学カフェは必要だと感じているので迷わずアーダコーダに投票しました。情報社会の中で、じっくり考えて、意見を伝え合う機会は少ないのではないと感じる中で、哲学カフェのような取り組みは大事だと思いました。
哲学対話、結論の無い対話の時間は、どんどんすり減っている感覚があります。一方それ故に求めてる人もすごい多いのでは無いかと思います。自ら機会を作る事が難しい人々に、対話の時間を提供出来る活動を支援したいと考えました。(東原大輔)
アーダ―コーダの推薦者であります!(小柴優子)
哲学対話は自分自身の中に存在する固定概念を崩すことを通じて、他者に対する関心や共感のきっかけをつかむ場にもなると感じます。最近の選挙などを見ていても社会的な分断が広がる中で、他者へ想像力を広げるきっかけとなる重要な取り組みだと共感して投票します(また久しぶりに自分も哲学対話に参加してみようと思います!)(松井俊祐)
対話が苦手な日本人において有意義な活動だと思った(高城晃一)
普段の仕事ではどうしても明確な答えを出すことに意識が向きがちで、それだけでいいんだろうか?と感じていたところだったので、推薦文を読んで、新しい贈与論に参加した理由を改めて思い出しました。わからないことをそのまま抱えることの不安定さを楽しむことがもっと広がればいいなと思ったので、アーダコーダに投票したいと思います。(広井健一郎)
推薦文の「自ら考え、他者と対話を重ねることで、自分自身の光を見つける」に、ノックアウトです。人々の分断は、アメリカだけではないことが、兵庫県知事選で露呈しました。フィルターバブルの島宇宙から出られなくなるまえに、異なる意見を持つ他者との対話がいかに大切か、私たちは小さい頃から知っておくべきかもしれません。こちらの団体の挑戦を応援したいです。(藤岡達也)
シェアハウスに住んでから何度も参加したことのある哲学対話ですが、もし子供の頃に経験できていたらさぞよかっただろうなと思います。数日前に、学校で生徒も先生も親御さんも交えて哲学対話の実践をされているという高校教師の方と知り合って話を伺う中で、その思いが強くなりアーダコーダを第一希望にしました。ちなみに確か5年前に参加したこともある気がします。寮やシェアハウスという環境は対話の絶好の場所で、私自身は近しい住人との対話のおかげで自分の考えが育まれていったような気がします。けれど普段の立場や特権性や、授業のような安心のハコの中を離れて考えてみる機会は学生時代は意外と持てないと思うので、こちらの取り組みは貴重な取り組みだと感じました。(市村彩)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。