新しい贈与論は、NPO法人プラス・アーツに88万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「鬼」をテーマに推薦を募集し、「認定特定非営利活動法人育て上げネット」「特定非営利活動法人日本行方不明者捜索・地域安全支援協会(MPS)」「NPO法人プラス・アーツ」の3候補があがり、原拓海、古川哲の推薦したNPO法人プラス・アーツに決定しました。
推薦文は以下の通りです。
特定非営利活動法人プラス・アーツ ホームページ:
https://plus-arts.net/「イザ!カエルキャラバン」ホームページ:
https://kaeru-caravan.jp/地名に「鬼」が入っている地域は、自然災害が多い場所であることがあります。例えば、関東平野東部を流れる鬼怒川は、所説ありますが、鬼が怒るように荒々しい流れであることからその名になったとも言われます。
日本は自然災害の多い国であり、防災訓練は、多くの人にとって「つまらない」ものかもしれません。そうした防災に対して「防災は、楽しい」という言葉を掲げ、子供たちや地域の人々が楽しみながら防災の知識を身に着けるイベントの普及を中心に活動している「特定非営利活動法人プラス・アーツ」を推薦します。
代表的な活動に 「イザ!カエルキャラバン!」という、子ども向けのおもちゃの交換会と地域の防災訓練プログラムを組み合わせることで、地域の人が集まり楽しみながら防災の知識を身に着けることができるイベントがあります。
きっかけは阪神淡路大震災。代表の永田宏和さんは、ご自身も震災を経験し、被災者から教わった災害時の教訓や知恵を全国の子どもたちに伝えたいという思いから、「思いきり楽しくすること、楽しみの中に学びがあること」をベースに活動を始めました。
当初は「防災は遊びじゃない」と周囲の反発もありましたが、永田さんは「真面目にやっても誰も来なかったら伝わらない」と言って活動を続け、今では日本各地に加えて世界16ヵ国で開催されています。
実は、推薦人も小学生の頃にプラス・アーツが企画した「イザ!カエルキャラバン!」に参加した一人でした。最初はおもちゃがもらえるところに惹かれて参加しましたが、ボードゲームやまるで運動会のようにデザインされた防災体験にどんどんと引き込まれていきました。40キロ程の人形を毛布を使って運ぶタイムトライアルでは、毛布が安定せず苦労しましたが、毛布の端を丸めることで持ちやすくなるといった具体的な知恵も学びました。この推薦文を書きながら、今でもその教訓を覚えていることに驚いています。
代表の永田さんはこう語ります。
「震災に直面したとき、防災袋やヘルメットよりも、隣人との毎日のあいさつが一番の防災になる。(中略)防災は「モシモ」のためではなく「イツモ」のなかにある」
鬼という存在も、いつか起こりうる「モシモ」を外部から思い出させてくれるものなのかもしれません。そして、防災対策は、まだみぬ「他者」とも言える未来のわたしたちへの贈与とも言えるでしょう。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
プラス・アーツという、一目では防災NPOとは分からない名前に興味を惹かれました。神戸の地を拠点に、これまでの防災訓練のイメージを変えるような"楽しい"プロジェクトを続々と生み出す活動は、一つ一つが誰かの命を救う素晴らしい活動だと思います。いつの時代も変わらず重要な"防災"をテーマに、これからもますます精力的に活動してほしいと思い、寄付先に選びました。(朝野椋太)
向き合う課題やトピックスの深刻さを受け止めながらも「正しいことより、楽しいことを。」というプラス・アーツさんのアプローチや、実際のクリエイティビティに惹かれました。また、推薦文の「防災は未来の自分への贈与」という視点もヒザウチでした。(小澤啓一)
各団体の順位などつけられないほどに興味ある3団体でした。その中で順位をつけなければならないという投票の暴力性を思いながら、投票しました。投票の理由を私の中では言語化できません。直感だけに従って投票することをお許しください。(泉宏明)
「防災は、楽しい。」というキャッチコピーにやられました。非日常時に必要なことを、楽しみながら日常に染み込ませていく感じ、応援したくなります。(熊谷友幸)
昨日、豪雨で新幹線が運休し、出張の予定が大きく乱れたこともあり、この推薦先がタイムリーに感じられました。自然災害がこれからさらに増えると考えると、不安が募ります。また、『鬼』という字が地名に入っている場所は自然災害が多いことがあるという点も、推薦文を通じて新たに気づかされた発見でした。(横山詩歩)
また悩ましい選択でした。プラス・アーツを選んだのは(少々おかしな理由なのですが)防災訓練を子供たちだけで行っている写真ばかりが並んでいたためです。日常生活の中で大人が守らなければならない子どもが、非常時に自分たちだけで生き抜く(ちょっと古くて。ですが)漂流教室的ビジョンが浮かんだのです。団体の趣旨と照らし合わせたわけではなく、すみません。もとに戻すことさえ想像できないような大災害(天災だけではなく)のあと、Re-viveするのは大人ではなく子どもなのだろう。たとえばそれが蠅の王みたいな帰結だったとしても。以上、直感でしかありませんが。今回はこの団体に(本間盛行)
いまや日本列島、いつどこが被災地になるかわからない時代。防災の備えは絶対に必要、と思いながらもついつい後回しにしてしまう自分もいます。各家庭や会社などの単位で備えているところは多いと思いますが、地域で人と人とのつながりを備えるというのは重要な視点だと思いました。いつ来るか、来ないか分からないことだからこそ、楽しい体験から知恵や教訓を学ぶという仕掛けもとても素晴らしいと思い、このような取り組みが各地で増えることを願ってプラス・アーツさんに一票。(浅井美絵)
地名、地図など見ていると結構意味深なものも残っていますよね。防災活動の展開を応援する意味でプラス・アーツさんにしました。(金子遥洵)
いい意味で「不真面目」に社会課題に取り組むことも大事だと思い、プラスアーツさんを希望します!(上西雄太)
地震だけではなく、異常気象により、今までにないような規模での気象災害が起きる中、防災は誰もがどこかで「取り組まねば」と思いながらもなんとなく対応しきれていないもののように感じます。こういった取り組みの中で防災意識が育つことが、先々多くの命を救うのではと考え、この団体に票を投じます。(志賀響子)
「鬼」というテーマが弱者に繋がる、その捉え方がおもしろかった。(大谷菜月)
推薦人が仰るとおり、人智の及ばぬ隣人を鬼や神として私たちは畏れてきたんだと思います。特に今は南海トラフで起こるされる大地震が身近な鬼なのではないでしょうか。震災が起こる前の寄付ももっとあって良いと思います。ということで、プラスアーツさんに一票投じたいと思います。(中村祥眼)
鬼から地名の連想は面白いですね。プラス・アーツの取り組みも意義深く、応援したいと思いました。(森康臣)
面白くないものを面白くする工夫に共感します(杉山大樹)
割と消去法です。プラスアーツさんはノウハウを海外展開していて国内だけでない実績がすばらしいと思いました。
近年、防災への備えの必要性を感じさせる出来事が多いですね。ともすると無関心、退屈といった対象になり得る防災を、興味あるイベントへと仕上げた活動に、団体の創意工夫と努力を感じ投票します。(守屋まゆみ)
その団体の活動を支援することによってネガティブな影響をもたらす度合いが低そうな順で選びました。「プラス・アーツ」の活動は主に防災に関するものであり、第一希望になりました。
(栖原志歩)悩んだ結果、プラス・アーツを第一希望にしました。今回の寄合では、日常と非日常の線引きの難しさについて、個人的には考えさせられました。私たちを問答無用で日常から非日常へと連れ出してしまうのが災害であるのに対して、日常に寄り添った防災支援(「訓練」じゃない防災)をしようというコンセプトに惹かれました。(中川瞬希)
推薦人を務めさせていただきました。『鬼』という難しいテーマの中で、さまざまな団体や活動を調べていたところ、偶然にも自分が何度も参加していたイベントを行っていたプラス・アーツさんを発見し、運命を感じました。小学生の頃の私は、NPOが運営を手伝っていることなど考えもせず、まさに、楽しみながら防災を学んでいました。しかし、今振り返ると、それも一つの贈与だったと感じています。当時は本当にありがとうございました。またいつか、参加したいと思います。(原拓海)
私自身、熊本地震を被災した身であり、その経験からも日頃から何よりも防災意識を持っておくことは重要だと感じているため。災害が起こると身の回りの環境が一変したり、将来の見通しが全く立たなくなったり、ほとんどが大変なことになってしまうため、災害が起きたときの「大変なこと」を少しでも減らす活動が活発になればよいなと思いプラス・アーツさんに投票しました。(佐藤みちたけ)
正直「防災は楽しい」は、わたしの中では、違和感がありました。楽しいもので良いのかと・・・矛盾はしてしまうのですが、楽しいものの中で実際、被災した際に役立つことが得られることは良いことなのではないかと。(せたゆうか)
地元にカジュアルに災害シミュレーションができる防災センターがあり、子どもたちがよく遊びに行っていました。ライトに体験はできるものの災害の恐ろしさや防災の重要性が子供ながらにわかるものであったので、同じようなコンテンツが増える重要性を感じて投票させていただきました。(閏間絵里加)
ここ最近の災害への備えで気を張り詰めがちな世相の中、「たのしい防災体験」というのはおもしろいコンセプトだと思いました。(佐々木優)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。