特定非営利活動法人ピッコラーレへ寄付を行ないました

共同贈与コミュニティ「新しい贈与論」は、特定非営利活動法人ピッコラーレに対し75万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2021年09月は「生命」をテーマに推薦を募集。一般社団法人END ALS、公益財団法人日本自然保護協会、特定非営利活動法人ピッコラーレの3候補があがり、泰松美衣子、海野慧の推薦した特定非営利活動法人ピッコラーレが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

「特定非営利活動法人ピッコラーレ」を推薦します。

今回のテーマ、「生命」を考えたとき、たくさんの言葉が浮かびました。生きる、死ぬ、出産、循環する、生態系、エコシステム、、、。生命と言っても誰の命を思い浮かべるか、人間、動物、植物、、。生命をどこからとらえるか悩みましたが、今回はわたしたち人間の生命の始まりにフォーカスし推薦先を探しました。

そんな中、特定非営利活動法人ピッコラーレさんが、新しい贈与論にご連絡をくださいました。

新しい贈与論が発足し2年と少し経ちますが、こういったご連絡は初めてのことであり新しい贈与論としての活動が少しずつ認知されてきたということかと思いとてもうれし感じましたし、今回推薦先として探していた団体そのものだと思いました。

★ピッコラーレさんの活動について

団体HP:https://piccolare.org/
活動内容は主に4つで
・妊娠葛藤相談
・居場所づくり
・研修・啓発
・調査・政策提言
を行っています。

■団体として目指すこと

多くの方々にそもそも妊婦にまつわる課題を知ってもらう必要があると考えており、お取り組みをされています。妊婦さんによっては居場所がなく、行き詰まってしまうケースもあります。
そうではなく、「にんしんをきっかけに誰もが孤立することなく自由に幸せに生きていける社会へ」となるようにチャレンジされていらっしゃいます。そして、生む生まないも含めて、「セクシャルリプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康・権利)をしっかりと当事者が持てるよう支援されています。

■妊婦にまつわる課題について

・中絶や自殺、虐待など
6.5人に1人が中絶
中絶件数15.6万人
10代の妊娠の中絶が最多で、
10代が最多で40代後半にもピークとなります。

そして驚いたのは、周産期の死亡原因は自殺が最多となっていることです。産後うつなどは話を聞くことがあれど、妊婦の自殺では妊娠に気が付く2ヶ月目での自殺が多いと伺い驚きました。

そして赤ちゃんの虐待死も年間52人発生。そしてその中でも0ヶ月0日死亡が最多となっています。この数値は病院以外での出産のみが対象となっております。
居場所がない妊婦さん
それ故仕事が続けられない
その結果寮にいられない、など。
様々な理由で病院にかかれない妊婦さんが1人で出産し結果として悲しい状況に繋がることがあるそうです。

・出産に対する社会の見方

1番の課題は妊娠中絶出産は自己責任と捉えられていることだとおっしゃっていたのが印象的でした。法律や行政の課題よりも、我々の眼差しが1番の課題と捉えていらっしゃいました。そもそも「母乳」という表現は近年出てきたものだそうです。元々は「乳」と呼ばれており、泣いている子供がいれば乳が出る人が与える、という共有財産的な考え方があったそうです。

それが、核家族化が進んできたことにより、子育てそのものが共同で行うものではなく、自己責任化してきたことが課題であり、それ故に眼差しが厳しい状況です。「セクシャルリプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康・権利)の通り、生むも生まないも権利として当たり前なことが認知されていないことが課題になります。

■展開事業

・妊娠葛藤相談について

にんしんSOS東京、にんしんSOS埼玉、にんしんSOSちばという、妊娠をだれにも相談できず一人で抱え込み社会から孤立することを防ぐための、相談・支援窓口の運営。さまざまな状況にある相談者に対応できるよう、医療・福祉系国家資格保有者で構成されたチームが365日体制で相談を受け、関係機関と連携し、自立に向けてサポートしています。

・居場所づくり

居場所のない妊婦が安心安全な場所で信頼できる誰かと出会える場所としてのproject HOMEの運営。第1号は豊島区内の一戸建てで、医、食・職、住を提供しています。

シェルターではなく、地域にひらかれた場所として運営されており、自宅でもあるが、人との出会いなどが生まれていく場所としています。ピッコラーレだけではない頼る先ができる。出身者が戻ってきてまた担い手になっていく。そんな場作りをされています。
特設サイト:https://home.piccolare.org/

・研修・啓発

支援者養成のための研修や、セミナー・講演会などの開催。東京・神奈川・埼玉の小学校・中学校・高校で性教育出前授業の実施などを行っています。

・調査・政策提言

妊娠葛藤相談窓口から見える社会課題解決のために、研究者との共同研究、行政府のヒアリング協力、要望書提出、政策提言等を行っています。また、2021年4月にはこれまで相談窓口に寄せられて声を集めた「妊娠葛藤白書」が発行されました。

ピッコラーレさんは、新しいいのちに向き合いながら悩みを抱えたり葛藤したりしている人々に寄り添い、支えている団体であり、今回寄附というかたちで応援したいと思い推薦します。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 新しい贈与論を通じて、いつも「限られた選択肢から選ぶ」ということの難しさと葛藤を感じています。コロナでも命の選択が迫られたケースがあると聞きます。選んだものしか救えない。そんな社会自体をどうにかしたい。良くしたい。変えたい。そう思わざるを得ません。今月も選ぶことの難しさを強く感じる3つの選択肢でした。(武井浩三)

  • 生命というテーマと出産というテーマに非常に強い繋がりを感じております。命のはじまりである出産を、良い形で迎えられる方ばかりではなく、病院にすら行けていない方々がいることを伺いました。少しでも新しい命が良い流れで育まれるように、ピッコラーレさんを推薦致します。またこの度ピッコラーレさんはタイミング良く、初めて当団体宛にご連絡を頂きました。新しい贈与論が少しずつ社会に認知されてきたことであり、そのご縁も嬉しく感じております。(海野慧)

  • 推薦人の皆様のコメントを拝見し、各団体の活動の意義の大きさについて良く理解できました。素晴らしい要約をしてくださりありがとうございました。今回はその中でも特に共感した、特定非営利活動法人ピッコラーレさんの活動を支持します。包摂的な社会の実現に向けて、妊娠を望む夫婦や妊婦の支援、老若男女問わず性教育水準の向上は、特にジェンダー問題に遅れを取っている日本国内において重要課題の一つであり、かつ、本団体の取組は事業を通じた解決が難しい領域であると考えているためです。目の前の課題解決に取組ながら調査・政策提言を通じて構造改革を目指す姿勢や透明性の高い開示からは、非営利団体の模範となるような運営体制がうかがえました。今回の候補の中から支持を決めた理由の一因です。本寄付が当団体の周知拡大と事業発展に寄与することを願っています。(菅井夏樹)

  • 少子化で、出産・子育て支援についてとりだたされる中で、自殺する妊婦さん、産んですぐ死ぬ赤ちゃんがいることに、矛盾や怒りを覚えます。支援の必要のない人はどんどん産んでください。そんな感じ。自分の妊娠や胎児に対して嫌悪感を覚える、そういう事情での妊娠もあると思います。でも、妊婦さん自身も、赤ちゃんも、大切な命で、存在するだけで素晴らしいということを、ピッコラーレの取り組みで感じてもらえるのではないか。そう希望を持てました。妊娠=自己責任という考え方に対して一石を投じている点も惹かれました。妊娠~育児に限らず、病気療養や介護も、単一の家族だけで取り組む、と考えるのではなく、社会で見守ることが理想です。ソーシャルファミリーという考え方がじんわりと広がるうえで注目すべき団体と感じました。(宮崎あおな)

  • ピッコラーレさんが取り組む領域はとても重要だと思います。この手のニュースで特に子供が死ぬケースを見るたびに悲しさを通り越して、怒りを感じる事がよくあります。かなり悩みましたが、ピッコラーレさんを推したいと思います。この課題は、生活環境の改善としての社会全体としての、社会保障、所得の上昇、仕事の機会の提供、シングルマザー、ファーザー、妊婦に対する考え、などに対する理解など、多くの課題を有していると思います。そのそれぞれに、政策、啓蒙、マインドセット、自己努力の全てが必要でタフなアジェンダだと思います。その点だけでも支援したいという気持ちになります。ピッコラーレさんの日々の活動にリスペクトしつつも、より政策提言や、啓蒙活動、教育活動に力をいれていただきたいという思いを込めて、応援したいと思いました。(福原寛重)

  • 現代が生んでしまった「孤独」に対してサポートをしている団体を支援したいと考えました。(細野真悟)

  • 「母親が新生児を・・・」というニュースが定期的に報道されます。子どもを持つ身になってその事件の重みが痛切にわかるようになりました。主な原因としては妊婦(産後含め)のおかれている社会的状況が大きいと思います。ピッコラーレさんの活動で少しでもhappyな妊婦さん、そして子供が増えるといいと思います。(老木悠人)

  • 身近に流産や中絶を経験を経験した事のある方を存じ上げており、とても身近な課題と感じたため(黒澤剛)

  • “「にんしん」をきっかけに、誰もが孤立することなく…”とHPに記載されていますが、いま実際に孤立している状況の具体を知るにショックを覚えました。ピッコラーレさんが掲げるビジョンが実現され孤立のない世界に近づくことを願ってます。(中島真)

  • 今回も各組様々な方向から生命をとらえ、推薦先を決めていることにこの「新しい贈与論」のおもしろさを感じます。わたしはピッコラーレさんを推薦しましたが、お話を聞いたなかであった「妊娠出産は自己責任という社会の空気感を変えたい」という思いにとても共感しています。(泰松美衣子)

  • 今回の3つを見ながら、いのちは言葉にならないコトバを持っているのだと感じました。いのちのコトバを受け止めていくことが大切だとおもいました。いのちの始まりは、祝福と葛藤がセットだと思います。生の現場に人間社会の表も裏もギュッと詰まっています。「いのちの葛藤」に目を向けていくことが、何かを動かしていくように感じました。キャラクタのなかにあらゆる生が込められているのがとても印象的です。これ見るだけでも優しくなれる!(阿曽祐子)

  • 毎回勉強になる推薦文ですね。ここまでまとめてくださる推薦者のみなさんに感謝です。また、どの団体を推薦するのか、推薦者の葛藤やご苦労、本当にお疲れ様です。さて、今回はNPO法人ピッコラーレを第1希望に選びました。推薦文をじっくり読んでいる中で「人間の生命の始まりにフォーカスし」という箇所が強く印象に残りしました。生命の始まりといえば本来祝福されるべきことですが、その場面で葛藤している方、悩まれている方が日本にはたくさんいらっしゃるという事実があります。その問題に積極的に取り組んでいる団体がいるというのは希望だと感じました。ピッコラーレはもともとよく知っている団体ですが、推薦者の第三者の言葉で語られると、あらためて団体や活動の価値を再認識することができます。(山田泰久)

  • 少子化の日本において、妊娠しやすい環境づくり、妊婦のサポートが何よりも大事だと感じたから。(前田健志)

  • HPの最初の言葉に感銘をうけました「ピッコラーレは、「にんしん」をきっかけに、誰もが孤立することなく、自由に幸せに生きることができる社会の実現を目指します。」私は「にんしん」に関与できても(おそらく生きている間は)、その当事者になれない生物学的性を持っています。生命がいまこうしてある非対称(オスとメス)が、まず、ある。それもまた生命のワンダーの一つです。けれどその非対称を男社会が無自覚に援用し、妊娠をめぐる諸問題についてはそこから「男」がすっぽりと抜け落ちたまま語られる構造がある。二重に間違っている。性という仕組みへの驚きを忘れた点において、そして、その上で妊娠を個人に閉じ込めてしまう点において。当事者でないから言えるお気軽な言葉なのかもしれませんが、本来、妊娠・出産とは生命(蔓延るもの)にとって、最大級の贈り物であるはずです。妊娠された方が健やかに生きることと、新しい命の誕生を皆で祝福することと、その双方が<常に><ともに>出来る社会を、これは生きているうちにつくりたいです。(本間盛行)

  • ピッコラーレについて、妊娠に関わる問題は従来「10代の妊娠」という点に焦点が当たりがちであるが、それにとどまらない範囲で様々な妊娠に関する問題に取り組んでいる部分が今の社会で必要と感じた。(今田公基)

  • 子育てをしていて核家族で育てるのはかなり大変だと感じていて、これからの家族について考える良いテーマであると感じました。自己責任論が強くなりすぎている今の社会よりも、もっと出産と子育てを社会でカバーできる方向になると良いなと思いました。(宮本涼輔)

  • 虐待死は0ヶ月0日死亡が最多、というのは知らなかったですがなかなか辛いですね。ピッコラーレさんのサイトに相談事例が掲載されているのですが、どれも当事者の心苦しい気持ちが伝わってくる内容。https://nsost.jp/cases 一方なぜ世知辛いかというと、「孤立していること助けてと言えないこと自己決定できないことこそが問題だと考えます。」と書かれているように相談先や同じ境遇の人がいなく孤立してしまっているのも理由なのかなあと思われました。
    (主語が大きいのですが)インターネットメディアはその成立以来、孤独孤立に手を差し伸べていたと思うのですが、いざTwitterで10代の妊娠アカウントを見つけようと思ったら結構難しい。(ただしシンママは結構見つかる。点か線かの違いがあるんでしょうね)。Twitterにすら書けない悩みに対してNPOがどうリーチできるか、なかなか難しいように思われますが、だからこそ。(河原塚有希彦)

  • 少子化が社会にとっても経済にとっても大きな影響を与えている中、出産にまつわるセーフティーネットの脆弱さを補う活動として、非常に意義を感じました。(上西雄太)

  • 必要な活動を、地に足がついた形でしっかりされている団体だという印象を受けました。正直なところ、ピッコラーレさんから新しい贈与論に連絡が来たと聞いたときは、「受け取る側が求めてしまったら、贈与ではなくなるのでは?」などと思ってしまいました。が、ビジョンの実現にむけて、できることは何でもするという姿勢が素晴らしいと感じ、一票入れさせていただきます。私も子供がいますので、個人的にも思い入れが強い分野でもあります。(鈴木亜香里)

  • 10代の望まない妊娠。二人の娘を持つ父親として他人事ではありません。うちの娘がもしもそんな状況になってしまった時、きっと父親には相談しないでしょう。母親にだって相談できないかもしれない。そんな時に相談できる場所があること、頼れる場所があることはどんなに心強いことでしょうか。社会にそんな場所を作ってくれている団体があることで、娘たちには安心をしてほしいし、いざという時には大切な命が守られてほしい。年頃の娘を持つ父親からこの活動があることへの感謝を込めて、寄付先の第一希望とさせていただきます。(宮本聡)

  • 寄付への逆アプローチと、そのタイミングの絶妙さに可能性を感じたい。困ってるときは素直に助けてと言えるような社会になれば良いなぁ。(藤井宏二)

  • 新しい命との向き合いを支えるお仕事は本当に必要なことだと思いますし、何より団体さん自らが新しい贈与論にアプローチしてきてくださったという積極性が素晴らしいと思いました!(浅井美絵)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。