共同贈与コミュニティ新しい贈与論(代表:桂大介)は、認定NPO法人日本クリニクラウン協会に対し71万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2021年08月は「笑い」をテーマに推薦を募集。照天神社、特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・コンボ、認定NPO法人日本クリニクラウン協会の3候補があがり、西山裕子、河野淳平の推薦した日本クリニクラウン協会が最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
日本クリニクラウン協会は、赤い鼻がトレードマークのクリニクラウン (臨床道化師)を小児病棟に派遣し、入院している子ども達が、笑顔になれる環境をつくる活動をしています。
http://www.cliniclowns.jp/今月のテーマ「笑い」に関する寄付先として、私達は、芸人や喜劇に関する団体を考えました。連想を進めるうちに、ピエロが入院患者を訪問する団体の記事を思い出し、「子ども達に笑顔を届ける」という活動が、趣旨に合うと思いました。よりリアルな一次情報取得のために、2021年8月26日に協会を訪問し、事務局長の熊谷恵利子様と対面でお話ししました。
歴史
もともと、この活動はオランダの財団が行っており、オランダ総領事館の文化紹介で日本に紹介され、それを知った日本の医療関係者が、2005年から始めました。オランダでは有名な団体で、寄付だけで年間10億円集まります。欧米では、寄付をするのは当たり前で、野球チームを応援するように、どの人もひいきの団体があり、「私は動物保護に寄付している」「君は環境問題だね」「私はクリニクラウンを応援するわ」という会話が、日常的に成り立っているそうです。
日本クリニクラウン協会も、発足当初は寄付だけで運営していました。しかし、2008年のリーマンショックの際、寄付額が激減し、活動の継続が危ぶまれました。それでも、子ども達を定期的に訪問してほしいという病院からの要望があり、また、希望する病院も増えたためクリニクラウンの交通費や謝礼を払ってもらう自主事業を、一部提供しました。2019年度には48施設、のべ288回の訪問をし、9588名に関わりました。ところが、コロナの影響で2020年2月から訪問が制限され、病院の経営も悪化し、自主事業はほぼ中止となりました。
現状
コロナで病院への一般の人の面会は制限され、入院患者の子どもが遊ぶプレイルームも利用できなくなり、子どもが他者との交流を通じて得られる成長機会がほとんど失われています。厳しい環境に置かれた子どもと親のために、日本クリニクラウン協会は、2020年4月にWeb事業を立ち上げ、4つの取り組みを始めました。
・ YouTubeクリニクラウンチャンネル動画配信
・ インスタライブやYouTubeライブ配信
・ クリニクラウンWeb訪問(バーチャル訪問)
・ 新型コロナに負けない!小児病棟の療養環境を支えるプロジェクト(タブレットの貸し出し)2020年度のWeb訪問は18施設、訪問回数97回、自宅療養中の子ども達とも146回アクセスし、Webで出会った子どもは849名になりました。
Web訪問は、Zoomを使って双方向に話し合い、リアルと同じワクワク感をもたらします。Webならではの利点もあり、従来の活動では接することのできなかった移植前の患者が入る「クリーンルーム」にも、タブレットを一台置いて訪問できます。一般病棟にも一台、クリニクラウン側で一台、合計3台でコミュニケーションをとります。クリーンルームにいる手術前の子ども達は、辛い治療をしていることを、一般病棟の子ども達は知っています。普通は会えないのに、タブレットを通じて顔を見て、「あー、Aちゃん!」と大喜び。クリニクラウンと一緒に、歌って踊って、笑顔が生まれることで入院中の苦しみを一瞬でも忘れ、前向きな気持ちになることができるのです。
長期入院している子ども達は、単調な生活になりがちです。しかし、月2回のクリニクラウンの訪問は、子どもも親も、そして病院スタッフも励みや喜びとなります。昼からのWeb訪問なのに、「ピエロさんが来るよ!」と早起きして待つ子ども達もいます。
課題
コロナ禍で分かったのが、病院にはWeb訪問するための機材やWi-Fi環境が不足していることです。電子カルテなど、病院でパソコンが使われていますが、個人情報もあり、一般患者が使うことはできません。そこで日本クリニクラウン協会では、タブレットPCを貸し出し、通信費を負担するなども行っています。活動を継続するために、クラウドファンディングもしています。
https://readyfor.jp/projects/cliniclowns2021病院経営が厳しくなってきた昨今、Web訪問は無償で提供しています。協会は、一般の方に活動をもっと知ってもらい、継続的な寄付を募りたいとのことです。このタイミングだからこそ、私達も支援する価値があると思います。
長期入院する中で、クリニクラウンの訪問後、旅立ってしまうお子さんもいらっしゃいます。5歳で亡くなった女の子のお母さんから協会に手紙と似顔絵が届き、新聞記事ともなりました。
http://www.cliniclowns.jp/wp/medialist/20200627yomiurinews熊谷さんは、「多くのこどもに笑顔を届けたい」と1時間近く、熱く語ってくださいました。
「新しい贈与論」が目指す寄付文化の発展、「笑い」を病気の子どもたちに届けるという今月のテーマとの適合性、熱心に取り組む団体の活動を応援したいという3つの理由から、私達は、日本クリニクラウン協会を、寄付先として強く推薦いたします。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
世界の未来を作り上げていく子どもたちの笑顔を作っていく活動に共感したため。(前田健志)
3つとも魅力的な寄付先だなと感じました。ピックしてくださった方ありがとうございます。色んな活動をされている団体があるのを知れて、その人達の想いに少し触れられたように思います。子どもの孤独に向き合うというコンセプトが素敵だなと思い第一にさせてもらいました。(卜部宏樹)
どのチームも「笑い」を違う角度からとらえているところがおもしろいなと思いましたが、ストレートに笑顔を届ける活動をされているクリニクラウンさんを支援したいと思いました。
コロナ禍で病院の中はお見舞いに来られる方も減り、医療従事者の方々も慌ただしく、そこで過ごす子供たちにも余裕がなくなってしまっているのではないかと想像します。少しでもたくさんの方々に笑顔が届けれられるといいなと思います。(泰松美衣子)子供が入院したことがあるのですが、その間期間できるや、させてあげること少なく、子供も親としても気持ちが下がってしまう経験があったので、笑いが増える機会が増えるのは素晴らしいと思い、子供に笑いを届けるクリニクラウンの活動を応援したいともいました。(宮本涼輔)
推薦人でもありますが、日本クリニクラウン協会は、病気の子どもたちに笑顔を届けるために、熱心に活動されているので応援したいです。コロナ禍で、面会が制限され、病院からお金も取れない苦しい状況を、私たちで少しでも助けられれば幸いです。第二希望にした照天神社は、初めて知りましたが、確かに必要な活動ですね。頭が下がります。(西山裕子)
「すべての子どもに子ども時間を」この言葉が響いて、クリニクラウンを第一希望にしました。長期入院する子どもたちのことに想いを馳せた時、その親御さんのお気持ちを想像しました。
「自分に何ができるか。変わってあげたいけれどそれもできない。」悔しい、もどかしい、辛い。そんなお気持ちを想像しました。そしてこのコロナ禍。会いに行くことすら自由にできないのは、親としてとてもつらいと思います。そんななかクリニクラウンさんのWEB訪問の取り組みは親御さんにとっても、嬉しい・安心できるものだと思います。
また、従来の活動では接することのできなかった移植前の患者が入る「クリーンルーム」にも、WEB訪問なら会いに行けるというお話も、さらなる可能性を感じるすてきなものでした。ぜひこれからも、子どもが笑顔になる取り組みを続けてほしく、寄付という形で応援したいです。今回は、上記の気持ちと、直接事務局の方にお話を聞きにいかれた熱量も汲みたく、クリニクラウンを第一希望にいたしました。コンボ、照天神社も素晴らしい取り組みで、今後もアンテナを伸ばしていきたいと思いました。(宮崎あおな)闘病生活によって、自由を奪われ、辛い思いをしている子どもたちも少なくないと想像できます。そんな子どもたちに笑顔を届ける活動をしていると拝見し、寄付したいと思いました。
子どもの笑顔には平和な社会を作る力がある思っています。子どもの笑顔を見ていると元気でポジティブな気持ちになるのは私だけでは無いのではないでしょうか。頑張っている子どもたちのために、また闘病生活でストレスのたまっているご家族や、まわりの医療スタッフのためにも、活動を応援しております。(疋田裕二)今回の3つの推薦先を見て、いのちは言葉にならないコトバを持っているとを感じました。いのちのコトバを受け止めていきたい、強く思いました。いのちの始まりは、祝福と葛藤がセット。生の現場に人間社会の表も裏もギュッと詰まっています。ピッコラーレさんの「いのちの葛藤」に目を向けていく活動が、何かを動かしているよう。キャラクタのなかに、あらゆる生が込められているのもとても印象的です。これ見るだけでも優しくなれる!(阿曽祐子)
子どもの成長機会がコロナ禍で損なわれることは、大いなる損失だと考えました。子を持つ親として純粋に、共感したためこの順位にさせていただきました。(大前宏輔)
クリニクラウンの実施している内容にはとても共感できました。子供は大人と同じような感性を持ちながら、大人とは同じ時間感覚や経験を有していないので、日々の過ごし方も大きく異なるとおもいます。自分ではどうにもできない環境を変えてくれる力をクリニクラウンは提供していると思います。子供にはとにかく笑顔を提供してあげたいと思っています。(福原寛重)
今回もみなさんの推薦文をなるほどなあと思いながら読みました。「笑い」の解釈も三者三様ですね。その中で、「笑い」をストレートに捉えた認定NPO法人日本クリニクラウン協会に投票しました。
ちょうど昨日、NHKの朝のニュースで日本クリニクラウン協会の取り上げられていて視聴したのも何かのご縁です。ニュースでは、新型コロナ禍で病院に訪問できない中でオンラインでクリニクラウン活動をされている様子が映っていました。オンラインでも同じように笑顔を届けていましたが、参加しているお子さんの笑顔がとても印象的でした。その笑顔をもっと広げていただきたいと思い、日本クリニクラウン協会を応援します。(山田泰久)クラウンの写真を見ると、訳も分からず涙が出そうになります。コロナ禍でも、いろいろと工夫をされている姿勢に感銘を受けました。また、直接お話を聞きにいかれたという推薦者様の熱意にも胸をうたれました。(鈴木亜香里)
今月も悩みました・・・。クリニクラウンさんの活動はまさに「笑い」を届ける活動。コロナ禍で、待っている子どもたちに会いに行けない苦悩は察するに余りあり、さらにWeb訪問をしようにも病院のオンライン環境が整っていないという課題も乗り越える必要があるという点で資金ニーズがより強くあるということで第一希望に選びました。(浅井美絵)
笑顔を届ける活動は尊いです。(大政勇作)
支援団体の活動を通じて『笑い』が届けられているかどうかという観点で具体的に想像した時にクリニクラウンが最も適していると思ったから。笑いが起こることで子供達が生きる希望を昨日より今日持てることに社会的な意義を感じました。(河野淳平)
コロナ禍の今、必要なところにタイムリーにという思いで選びました。実際のところはわかりませんが、なるべく想像力を働かせて…という意識です。(前原祐作)
笑いというテーマがなければこの団体に出会わなかったのではないか。それくらいテーマにぴたりとあった、ユニークな団体だと思います。これぞ奇縁というものでしょう。そして奇縁に寄付を託していきたい、と思います。ぼくも笑うこと、楽しいことが大好きです。とても素晴らしい取り組みだと感じました。(桂大介)
3団体とも、とても社会的価値と意義のある取り組みを行っていると思いました。昨今の社会課題は、そもそも金銭的価値に換算しにくいものが多く、貨幣経済偏重の社会に憤りと無力感を覚えます。
今回第一推薦をさせて頂いたクリニクラウンさんは、そんな社会の鬱憤や滞りを、優しく軽やかに笑いに変えてくれる、素敵な印象を受けました。私自身3人の子育てを通じて、すべての子供の健やかな生活を心から望んでいます。クリニクラウンさんを通じてこの共同寄付がその活動の一助になれば嬉しいです。(武井浩三)テーマからの展開が素晴らしく、推薦人の方の発想の広がりに感嘆する月でした。全く異なる軸で選ばれた3つはどの活動も必要なシーンが浮かび、とても比較が難しいように感じました。
今回は金銭面で大きく活動が制限されていることが、明確に推薦文から伝わってきたクリニクラウンを第一希望に選びます。病児医療の世界にもたらされる笑顔は、医療とは別のアプローチで子どもたちの回復に大きく寄与しているのだろうと感じられました。(志賀響子)闘病をしている子供達は当然気が滅入りがちになるかと思いますが、そこで後ろ向きになってしまうことでどうしても悪いスパイラルに陥りがちなものと想像しております。少しでも明るく笑顔になれると、そのスパイラルを食い止め、プラスのスパイラルに変わるのではないか。そんな想いでクリニクラウンを推薦致します。(海野慧)
リーマンショック時における活動の危機に自主事業で対応し、今回のコロナ禍における難しい状況に対してもオンライン化で取り組みを止めない姿勢に感銘を受けました。これほどの困難に対して臨機応変にスピーディーに活動されている姿から、多くのNPOで取り組まれている課題の重さを再認識します。子どもには笑顔でいてほしいと心から思います。日本クリニクラウン協会さんへの寄付を希望します。(中島真)
コロナ禍であっても新しい取り組みに挑戦されるなど、前向きな姿勢に共感しました。時代が落ち着いたら、またこどもたちに直接笑顔が届けられるよう願っております。(碇和生)
コロナが広がり始めてからすぐに面会方法を変更したことなど、今後も柔軟に先進的な活動を進めていける団体だと感じました。推薦人の方々が実際に団体を訪問された推薦文の説得力も、日本クリニクラウン協会を選びたいと思う一因になりました。(広井健一郎)
この世を良い方向へ変える、時間が多い寄付者順に。生きてる間の幸せを最大化してあげたい。(山口公大)
今回クリニクラウン協会さんに決めたのは、推薦者さんの直接話を聞きに行かれた熱意、子供の支援という点もさることながら、多くの技術的選択肢はありながらも、病院に必要なリソースが行き届いてない現状を改めて痛感しました。医療という私たちの生活基盤を支えてくださるみなさんが、様々なかたちで奮闘されていることに改めて胸を打たれ、支援の一票を投じたいと思います。(森康臣)
病気を忘れてこどもたちが、ただただその場が楽しいと思える「笑顔」になる時間を過ごすことを通して、こどもたちの成長を支えることに共感したことと、そしてこどもたちだけでなく、御家族や医療従事者への配慮もあり、とても魅力的な活動で応援したく、人と人とがクリニクラウンさんを第一希望とさせていただきました。(古川哲)
現在は、病院職員が変わりの役をしてることも多く職員と患者の適度な距離を保つためにも外部からドンドン入る方が良いと思います。(藤井宏二)
医療がリーチできない領域に踏み込んでいて、かつ「機材やWi-Fi」という事業上の課題が明確であり、寄合のお金をご活用いただけそうなイメージがあったからです。(河原塚有希彦)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。