共同贈与コミュニティ新しい贈与論(代表:桂大介)は、NPO法人ぷるすあるはに対し65万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2021年07月は「言葉」をテーマに推薦を募集。NPO法人ぷるすあるは、公益社団法人3.11みらいサポート、映画作家・牧原依里氏の3候補があがり、横田龍欣、嶋田康平の推薦したぷるすあるはが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
★「言葉」とメンタルヘルス
「言葉」と聞いた時あなたはどのような言葉が浮かびますか。私たち推薦人2名が初めて話した時、多彩なテーマが候補として上がりました。アイヌ語の保護、AIの言語処理、国語教科書の改正、「言葉」にまつわる社会テーマは多種多様です。その中から私たちはメンタルヘルス、というテーマを選びました。実は過去に二人ともメンタルに不調を感じたことがある私達だからこそ、伝えられる「言葉」を今ここに書きました。
では「言葉」とメンタルヘルスとはどのような関係があるのでしょうか。私(推薦人1)は現在「より多くの人に希望を伝えたい」という想いでコーチングの勉強をしています。その中で一番に感じていることが今まで仕事社会を生き抜く中で「自分」の強さやスキルを磨くことばかりを考えていた自分が、コーチングを一緒に学ぶ「仲間」のために必死になり、今まで自分一人では越えられなかった壁を越えられていることです。「自分」から「仲間」、どのような言葉を使って私たちが自分の人生を語っているかは想像以上に私達のメンタルを形作っているのではないでしょうか(参考記事に裏付け研究もあります)。
「障害」という言葉には激しい二面性があります。それは病気という形で患者や家族が自責をしないで済む「救い」の側面もあれば、病気や障害という言葉に貼られたレッテルとしての「責め」の側面もあります。メンタルヘルスと言葉、この難しい関係性とどのように付き合うことができるでしょうか。簡単に答えを出すことはできないですが、メンタルヘルスに関わる感情と葛藤をもっと言語化する、言葉にして理解しようとする中で答えを模索し続けることはできます。
★なぜ「ぷるすあるは」なのか。
ご自身がうつ病になったら、子どもにどのように伝えますか。
「ぷるすあるは」は、絵本やウェブサイトなどのコンテンツを通して、精神障害を抱えた親とその子どもを応援する団体です。そして、子どもたちと家族が安心と希望をもって生活できる社会を目指しています。精神科の看護師や医師などが中心となり、うつ病に限らず、子育てや不登校など様々なテーマについて、かわいく親しみやすいコンテンツをつくっています。
コンテンツ一覧:https://kidsinfost.net/shop/
活動の始まりは『ボクのせいかも…─お母さんがうつ病になったの─』という1冊の絵本。うつ病でイライラしたり、元気がないお母さんに混乱する子どもに、「キミのせいじゃないんだよ」という言葉を届ける本です。そして、親のうつ病について、誰がどのように伝えるべきかを考えるきっかけとなる本です。
こころの問題で通院する人は約419万人(2017年)。しかし、親の心の病気について、子どもの65.8%が何の説明も受けていない。説明やケアがないことは、子どもに大きな影響を与えます。
自分のせいじゃないか・・・
周りの人に言っちゃいけない・・・
自分がもっとがんばらないといけない・・・
そんな時に「あなたのせいじゃないんだよ」と伝えられたら、子どもの心に安心が生まれていくかもしれません。
★いくつかの声
・当事者の声(事業報告書より)
とても辛くて、手がつかない時、どうにか堪えていた日に、ぷるすあるはさんに出会いました。片手を繋いでもらえた様に思います。大人になっても、頼っていいんですね。子供達のためにも、自分のためにも我慢せずに、でも頑張ります。 これからもぷるすあるはさんの活動がどんどん広がって長く続いていきます様に。
・支援者の声(推薦人2)
私は非行をした子ども(いわゆる非行少年)を支援する保護観察官でした。親が精神疾患を抱えている子どもにも会いました。その多くは、どうしたらいいか分からない状況の中で、必死に生きていました。自分も親のようになってしまうかもしれない、親を支えなくちゃいけない、将来はどうなってしまうんだろう。非行の奥には、そんな様々な思いが巡っていたのだと思います。私は、周りにいる大人の一人として、伝えられる言葉を持っていたのか、そして実際に伝えられていたのか。今でも考えることがあります。
言葉を見つけ伝えることは大変だからこそ、果敢に取り組むぷるすあるはを推薦します。
【参考記事】
https://www.researchgate.net/publication/254221761_Language_Use_of_Depressed_and_Depression-Vulnerable_College_Students
・「精神疾患の親を持つ子ども 誰にも言えない苦しみ」 https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/74/
・「親や家族がこころの病気や不調を抱えた子どもたちに、絵本や冊子を通じて「1人じゃないよ」を伝える」
https://jammin.co.jp/charity_list/pulusualuha/
・子ども情報ステーション
https://kidsinfost.net/
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
「社会的弱者」という言葉が嫌いです。あるのは「構造的弱者」だと思っています。
だから個人的に、社会構造自体を変えていきたいと思い、活動をしています。
弱者を弱者にしてしまう社会自体が、変わるべきときに来ていると思っています。
でもそのためには、気づいた人、手を差し伸べる余裕のある人、いま動ける人が、アクションを起こしたり、支援をしたり、とにかく一歩踏み出すことが必要なんだと思っています。
今回も全ての支援候補に共感をしましたが、個人的な関心の高い候補を選ばせていただきました。
人が人らしく生きられる社会を願っています。(武井浩三)特に資本が集まりづらそうな問題に対して支援したいのと、子供が親の精神状況に強く影響を受けることによって新たな社会課題への連鎖するのを身を以て感じているため、その根本から防ぐ可能性のある団体になると考えました。(中村タカ)
家族の精神疾患にどう対応するか、は非常に難しい問題と思います。少し違いますが、親が娘を精神病棟に入院させた結果、ひどい対応をされたということが話題にもなりました。
病院で診療をしていると、子供が精神疾患のある親を支えているという形もちらほら見ます。とても献身的で、いい子供さんだな、と思っていました。
が、これもおそらくは生存バイアスで親が精神疾患で家庭がうまくいかないケースが目に見えてこないのでしょう。そのことに今回気付かされました。
改めて考えると、ぷるすあるはの現状の活動内容は正直なところ必要な人に届かないのでは、という疑問があります。しかし、それは資金やさまざまな問題があっての判断だと思います。
ただ問題点としてはもっとも共感できて、今回の寄付で、より広く届くようになるといいなと思いました。(老木悠人)私自身、メンタルヘルスで苦しんだ(正確には、今も付き合い方を模索している)経験があります。個々人で経験は全く異なるとは思いますが、私自身にとっては自身や他者とどう向き合うか、それを言語化し再構築していく、というプロセスでもありました。
当時は独身だったものの、パートナーと出会ってからはその言語化の重要性を痛感しました。自分自身でもコントロールしきれない、説明しきれない自分の感情や状況は、他者にとっては不安であり、それがすれ違いを加速していく、、、親子の関係において、それがお互いにとってより重荷になってしまうことを想像すると、胸が痛みます。
言葉だけで解決できるものではないですが、少しずつでも言葉にしていくことの意味を強く感じ、NPO法人ぷるすあるはを推薦したいと思います。(上西雄太)今回は推薦文の中で一番切実さを感じた NPO法人ぷるすあるはを選びました。
伝える方(親)にも、伝えてもらう方(子ども)にも、「言葉」の切実さを感じました。今回の寄付で活動が少しでも発展することを強く願います。(山田泰久)精神障害そのものへの理解やケアは進んできたように思いますが、精神障害を持った親の子どもたちは、どのような気持ちを持って日々を生活しているのでしょうか。自分も成長期で不安定な時期に、親の障害を受け入れられない子どももいるのではないかと思います。増えるヤングケアラーの親の状況に関しては、身体障害の次に精神疾患、依存症が続くという記事も見ました。対象の子どもたちが、ぷるすあるはの絵本やコンテンツに出会うことで、家族の障害を理解でき、受け入れられるといいなと思います。(同時に、社会全体でケアできる仕組みや取り組みも必要だと思います。)(姜花瑛)
今回は本当に甲乙つけがたく悩みに悩みました。順位をつけることに罪悪感を感じるほどどの活動も素晴らしく決して比較して良いものではないと感じさせられました。
そんな中でも「ぷるすあるは」さんを第一希望とさせて頂きました。
「精神障がいを抱えた親とその“子ども”を応援する」という点に感銘を受けました。
子供はもちろん、親も合わせて乗り越えていかなければならないこの課題にこそ、その状況を理解して共にいてくれる支援者が必要だと感じました。
是非一人でも多くの方々の笑顔が生まれるよう、ご活躍を応援しております。(海野慧)親が精神障害を持った時に子どもが受ける影響は、甚大なものがあると思います。なかなか届きにくい問題に取り組んでおられること、大変意義があると感じました。(西山裕子)
説明が適切かわかりませんが「子供を教育する」という視点に共感しました。必ずしもとはいえませんが、子供の持つ世界は狭く限られているとおもいます。情報獲得にも限界があり、あらゆるケースを想像するだけの経験も練度もないとおもいます。本来ではれば子供の負担にならないように親が直接丁寧に説明すべきだとおもいますが、親自身が疾患を負っているとそれもままならないケースも多いと想像できます。(できていても、適切ではない可能性も含め)。
子供の世界や視野を広げることや、視点を提供または代理することで、子供に適切な知識や判断するための材料、証拠、理由、などが提供されるのだろうとおもいます。子供は子供であっても考えられないわけではありません、単に経験や知識や視座が足りないだけだとおもいます。補ってくれる人やサービス、支援があることは、一人で悩むこどもとって明るいものとなるとおもいました。(福原寛重)ちょうど最近、介護する子ども「ヤングケアラー」について人と話し合う機会を持ち、個人的にタイムリーな課題とリンクしたため「ぷるすあるは」さんに投票させていただきます。
血の繋がり、かつ2世代で閉じがちな現代の社会において、親の精神疾患に直面する子ども・また子どもに伝える言葉を失う親の両面に目を向け、閉じない社会を目指す取り組みを支援したいです。(稲垣景子)親を支えることが子どもの人生に大きな影響を与えると思いますし、1人を支えることが何人もを救うことになるのだなと活動内容に共感し支援したいと思いました。(高橋祥子)
ぷるすあるはが応援している「精神障がいを抱えた親の子ども」は、最近になってその支援の必要性が強く叫ばれているヤングケアラーの一つだと言えます。ヤングケアラーとは、法令上の定義はありませんが、一般に、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケアを引き受け、家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。このような状況下に置かれた子どもたちは、自分の意思で勉強したり休んだり遊んだりという当たり前の選択ができる「子どもの権利」が侵害されていることが往々にしてありますが、これが「家庭の問題」と放っておかれている現状が今の日本にはあります。このような問題にもっと光が当たるように、ぷるすあるはさんを今回の贈与先の第一希望とします。(宮本聡)
桂さんの「新しい贈与論もまた、お金とともに言葉を贈る団体です」という文章から、今回はお金だけでなく言葉をともに贈りたいと思った団体を選びました。
当事者が抱える問題には気づけても、子どもや家族など周囲が受ける影響までは想像が及びづらいというのは、前回のエスクルにも通じる重要な問題だと感じています。
不安を感じている子どもたちに、あなたたちのことをちゃんと見ている人がいるというメッセージを伝える意味を込めて「ぷるすあるは」に投票したいと思います。(広井健一郎)自分がうつ病になったら家族にどのように伝えるのか。身近な人がうつ病になったら自分はどのようにするのか。そうなってみないと分からない。でも、そうなった時には考える余裕なんてないのかもしれない。そんな時に、ぷるすあるはの絵本が、「よりよく生きる」ためのヒントになってくれるのだろうと思いました。そういうヒントをもっとたくさんつくっていってほしいです。(嶋田康平)
参加してからいままでで一番迷いました。どれも自分が今まで持たなかった視点で社会にアプローチされていた為、比較・順位付けが非常にしづらかったからです。
その中で「ぷるすあるは」さんを選んだのは、一番この活動によって支えられる人の姿を切実に感じたからです。
身近に精神疾患を抱える知人の顔が浮かび、その子供たちの顔が浮かびました。程度にも勿論よりますが、精神疾患は本人も周りにとっても付き合っていくのがとてもむずかしく、けれど長い付き合いを強いられる病だなと思っています。その病を抱える大人を庇護者とする子供は本当に困難を感じるだろうと思いました。その子どもたちに支援の手を差し出すことで、親を支えることにもなるこの活動を支援したいと感じました。(志賀響子)家族が心の病を抱えているとき、それが特に子供と親の距離が近いときは、子供の性格形成にも大きな影響を及ぼします。正直このケースは、実際に問題が起きてからでないと救えないことも多いと思いますが、それに対して向き合っている、この団体を応援したいと思います。(白川みちる)
身近にもメンタルヘルスに困難を抱えた人がいるので、活動に共感しました(碇和生)
精神疾患を抱えた親元で育てられた友人が数多くおり、とても身近な問題に感じたので、投票させていただきました。精神疾患は遺伝ではないですが、伝搬していく負の連鎖のようなものがあると感じているので、その子供を応援するというテーマに共感しました。(三上遼)
家族の前にひとりひとりの個人として個々が存在する以上親だからとかではなく、個人個人として向き合える環境づくりはとても大切だと思うので。たまたまそこに存在してしまった子もまた然りで親に頼りすぎないサポート体制が取れるのはとても良いことだと思う。(藤井宏二)
「NPO法人ぷるすあるは」さんに。今現在特にコロナ禍で孤独になりやすく、精神疾患が無かった大人も精神的に追いつめられて疾患を患ってしまったりが増えていると思っていたので。子ども達にはまず安心安全の土台が無いと全てが崩れやすくなってしまい夢も希望も持てない。親も子どもも温かく受け入れて深いケアをされている活動を応援します。(鈴木美香)
メンタルヘルスという課題は、私にとって最も身近なものでした。小児うつを患っていた幼少期、自責を繰り返す両親に対して「あなたのせいじゃないんだよ」という言葉は、もっとも伝えたくて、伝えられなかった言葉でした。親と子、立場は違っても、この取り組みによって救われる心があることを確信できます。多くの人に届いてほしいと願っています。
ぷるすあるはさんは、私も精神疾患を持っていたり、産後うつで自殺されたお母さんを持つ子が友人にいるため、個人的にも応援したい活動です。
「どのような言葉を使って私たちが自分の人生を語っているかは想像以上に私達のメンタルを形作っている」「メンタルヘルスに関わる感情と葛藤をもっと言語化する、言葉にして理解しようとする中で答えを模索し続ける」こうした抽象の地平(非難ではないです)から突然「ご自身がうつ病になったら、子どもにどのように伝えますか。」と実にリアルな言語運用の問いを突き付ける「NPO法人ぷるすあるは」を推します。書き言葉を、今、そこにいる具体的な人に語ることばと接合することは、とてもとても難しい。私自身がメンタル不調になったときもその難しさに囚われていたような気がします。素晴らしい活動を知る事が出来ました。(本間盛行)
ぷるすあるはさんの活動は、これまであまり支援を得られていなかったであろう子どもに差し伸べられた大切なサポートだと思いました。親が精神疾患を抱えているということは日常生活に色々支障をきたすこともあるでしょうし、経済的な問題につながっていることも多いと思います。そんな子ども達がこのサイトや本にたどり着けたら、どんなにほっとするだろうかと。気になる家族や子どもに出会ったときにも、頼りになる情報が沢山あると思いました。(浅井美絵)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
メディアキット ダウンロード
「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。