共同贈与コミュニティ新しい贈与論(代表:桂大介)は、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいに対し37万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっており、6月が9度目となります。今月はNPO法人キッズドア、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい、New Harvestの3団体が候補にあがり、中西高大の推薦したもやいが最多票を得ました。
推薦文は以下のとおりです。
もやいさんは東京で貧困や生活困窮者支援に取り組む団体です。直近では新宿での食料品の配布と相談会、生活困窮者の方の住まい確保のためにオリンピック選手村の一部を開放する署名活動などを行っています。
子どもや女性の支援といったテーマには寄付が集まりやすいのに対して、成人男性に対する支援にはあまり目が向けられていないのが現状です。これまでホームレス状態にある方に何度がお会いする機会がありましたが、やはり男性で年配の方が多いような気がしました。最近は若い男性の方も増えているそうです。
男性であるがゆえにまわりに頼れない、頼ろうとしたとしても「怠け者」「自業自得」と言われ社会から孤立してしまう。「ニート」という負のレッテルが、ほとんどの場合男性に貼られてしまうことをイメージしてもらればピンとくる方も多いのではないでしょうか。
もやいさんでは、男性に支援対象を男性に限定しているわけではありませんが、性別に関係なく広義の意味での生活困窮者の方を支援されていて、これまでの活動の実績もあることから推薦させていただくことにしました。
続いて、投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
街中でホームレスの方をみると、とてもつらい気持ちになります。なにか手助けしたいと思っても、「自尊心を傷つけてしまわないか」とか、「逆に、厄介事に巻き込まれないか」とか、個人としても行動できずに悶々としていました。(岩田宇史)
子どもや女性の支援といったテーマには寄付が集まりやすいのに対して、成人男性に対する支援にはあまり目が向けられていない。無意識的に成人男性は自立しているべき、と私自身もついつい思ってしまいます。共感性が薄くなる分、子供達の支援などに意識が移りがちですが、誰も漏れてしまうことのないよう社会のセーフティネットが作っていけたらと思います。(海野慧)
コロナ感染拡大の脅威下でのもやいさんのご活躍には注目しており、とてもすばらしい団体だと思います。支援者に寄り添った活動をしつつも、政策に訴えかけていく説得力は、平時の地道な積み重ねがあったからこそ。ただ、残念ながらその活動のすばらしさは特に平時に理解されにくく、2018年2019年と、二期連続の赤字(2019年度は約780万の赤字)と財政的には厳しいと聞いております。このタイミングでぜひ応援したい活動の一つと思い、第一希望とさせていただきます。(宮本聡)
今回はコロナ背景等を抜きにして考えてみましたが、やはり生活困窮者への確実な支援への実績と信頼があるもやいさんに一票です。グローバルかつ長期的課題に研究の切り口で援助するNew Harvestも、これまでとテイスト違って面白いので悩ましかったです…。(石田哲大)
今回は寄付先を選ぶ理由を活動内容や活動のインパクト以外の観点にしてみようというチャレンジをしました。 各団体の活動計算書やアニュアルレポートを見て、それぞれの団体が寄付金をどれくらい集めているか(国などからの助成金、事業の委託費はのぞく)を見てみました。直近でもやい:約3000万強、キッズドア:約8500万、NewHarvest:約1億円でした。寄付金の総額が少ない団体のほうが、「新しい贈与論」から寄付されたときのうれしさが大きいのではないか…という仮説に基づき、もやいさんにしました。 意外とどこも寄付いっぱい集めてるなー!と感じる一方、2019年度のレポートをHPにあげているのはキッズドアだけでした。(もやいは2018年度が最新、NewHarvestは2017年が最新)地味でもこういう情報発信をちゃんとするのは大事だなーと感じました。(石黒好美)
今回は、心理学者ポール・ブルームが言うところの「情動的共感」を出発点に、投票先を選ぶこととなりました。個人的な話になりますが、高校生の頃、もやいの設立者である湯浅誠氏のドキュメンタリーを見て、著書の『反貧困』を読み、素直に「在野で社会課題に取り組む」ことの格好良さに惹かれた過去があります。現在、貧困にまつわるテーマへの関心がものすごく高いわけではないのですが、そうした原体験もあり、無条件に応援したい気持ちが出てきてしまいました。 ただ、情動だけで決めるのは怖いため、少し時間を置いて考えてみました。すると、支援先の方々が置かれている状況の緊急度に鑑みると、もやいに投票する選択肢は合理的ではないかと思い至りました。 しかし、これも結局、哲学者デヴィッド・ヒュームが指摘する「理性は感情の奴隷」の一事例に過ぎないのかもしれません。他の皆さんの選定理由が気になります。(小池真幸)
どの団体も活動内容は素晴らしいので選ぶのが難しく、コロナ禍で注目されたホームレスの支援を第一に考えました。(南浩昭)
「STAY HOME」が叫ばれる中、家がない、あるいは不安定な方々への支援の大切さを重くみて選びました。(大豆生田笙)
日本ではCOVID-19の緊急事態宣言は解除されたものの、経済活動が停滞していた間に厳しい状況に置かれることとなった方も大勢いらっしゃると思います。コロナ禍はまだまだ尾を引き、様々な方を苦しめる事になりそうですが、そうした方々を支えてくださっているもやいさんのご支援ができたらと思いました。(大政勇作)
新しい贈与論や寄付という活動を通して毎月新しい問題に気付かされていますが、今回はそれが2つありました。 ①コロナで在宅勤務が広がりましたが、そもそも家がない人達は一体いまどうしているのかという問題に気付かされてハッとしました。ネットカフェに泊まっている人はみな外でホームレス生活をせざるを得ないのでしょうか。だとすると宿泊場所や居住環境の支援の重要性はいま高まっていると感じ、それに最も近いもやいに投票しました。 ②NPOの支援活動は対面であることが多く、それ自体がいま難しくなっているということに気づきました。この影響で活動を終了してしまうNPOも多いかもしれない。考え始めたら途方に暮れてしまいそうです。できる範囲で支援していくしかないのでしょうが、なんとかならないものかと思います。(野島優一)
>子どもや女性の支援といったテーマには寄付が集まりやすいのに対して、成人男性に対する支援にはあまり目が向けられていない
まさに直感と論理の問題ですね。もやいの活動、数年前に盛り上がったのを見てからしばらく忘れていましたが、継続的に活動する方たちへの敬意を改めて持ち、第一希望に選びました。(石田健)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。時折新規会員も募集いたしますので、ご興味をもたれた方はニュースレターへご登録ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
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「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。