NPO法人風テラスへ寄付を行ないました

共同贈与コミュニティ「新しい贈与論」は、NPO法人風テラスに対し73.5万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2022年7月は「逃げる」をテーマに推薦を募集し、「NPO法人風テラス」「NPO法人スウィング」「日本脱カルト協会」の3候補があがり、白川みちるさん、今田公基さんの推薦したNPO法人風テラスが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

私たちは「NPO法人 風テラス」を推薦します。

「逃げる」という言葉単体にはマイナスイメージが付きがちです。
しかし、「問題がある現状から助けを求める」ことを「逃げる」と表現する事が多々あります。

多くのひと(成人)は想定外の出来事にあっても、「逃げる」手段を自分で調べ、ある程度適切な支援先(行政・福祉・法律家等)に相談することができます。

しかし、逃げる手段を想像できない、「逃げる方法が分からないひとたち」もいます。
では、「逃げる方法が分からないひとたち」は最終的にどこへ行きつくのでしょうか。

やはり、男性は路上生活、女性は性風俗等へという流れがあることは、論文等でも指摘されています。
参照:自治体問題研究会 月刊『住民と自治』 2017年8月号掲載
https://www.jichiken.jp/article/0055/

ここには、軽度知的障害があったり、育った環境から行政、福祉、法律と繋がり支援を受けられるということに思い当たることがない人たちが含まれています。

※必ずしも性風俗等で働いている人全員が「逃げ先」・「逃げ方が分からないひとが行き着く先」として性風俗等を選んでいる訳ではなく、矜持を持って働いている方も多くいらっしゃいます。

この「逃げる方法が分からないひとたち」の支援先として想定したのが、「NPO法人 風テラス」でした。

この団体は、性風俗業で働く人に、ソーシャルワーカーと弁護士での相談会をお店で開き、福祉と法律に繋がれるように支援をして、社会的に孤立してしまうことを防ぐ活動をしています。

「性風俗にかかわる部分」はアンタッチャブルと考える方々もいますし、新しい贈与論の支援先としてもこの領域を推薦する方は、(私たちが調べた限り)これまでいなかったのですが、だからこそ、「逃げる」という様々な支援先が想定できるテーマで、この領域に支援する意味があると思っています。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 先日、”たとえ正しく納税していたとしても、性風俗ではコロナの持続化給付金が給付対象外” というルールに対する裁判が行われ、東京地裁で判決が下りました。曰く「大多数の国民の性的道義観念に照らし相当でないとの理由と解される」とされ、問題ないとされたとのことです。”大多数の国民の性的道義観念”とされる、ふわっとしたものでルールが決められ排除するのは、はたして道義的なのでしょうか。また、この問題は性風俗業の従事者だけの問題でしょうか。これがまかり通るならば、他のマイノリティも同じロジックで排除されることにつながらないでしょうか。などと考えつつ、風テラスに入れました。(河原塚有希彦)

  • 自立とは、ちっちゃな逃げ場所をたくさんつくることだ。そんな言葉を最近目にしました。私は昔から、なんかあったらここに逃げよう、と、何もないのに逃げることばっかり考えているので、テーマ「逃げる」は共感ワードでした。「あしたの嬢」なんて、嫉妬するくらいのネーミングセンスのある、そして為になる、愛のある、マンガの連載など、性風俗で働く方への支援を行う、風テラスを第一希望にしました。「助けたい」「応援したい」と思ったとき、方法は無限にある、と感じさせてもらい、前向きな気持ちになれました。(宮崎あおな)

  • 問題/現状(性風俗で働く困窮の女性)と活動(ソーシャルワーカー)が明確でイメージしやすかった。ソーシャルワーカーについて日頃考えることはほとんどないのですが、こういった人たちの活動が必要なのだろうと思った。(Sho T)

  • 坂爪さんの書籍を読んだことがあり、とても素晴らしい活動をされていると思っていたため、風テラスを第一希望にしました。(鈴木亜香里)

  • 現代の「駆け込み寺」として1番ふさわしい団体がどこなのかを基準に考えてみました。場所を用意するのでは無く逃げ方を伝える、というところに現代らしさを感じました。(福本大吾)

  • 風俗店に勤務していてトラブルにあった人が「だけど、自分から働きにきたわけだし…」というように自責の念にかられて自分が被った損害を主張しきれなかったという記事をよんだことがあって、そうやって明らかに被害を受けた人が虐げられてしまうことがこの世に存在することがシンプルに不快だった。性風俗は名目上自由恋愛をしていることになっていたりいろいろグレー極まりないことは確かだが、それ以前に、他者を見下しぞんざいに扱おうとすればそれ相応の結果は免れないというごくごくあたりまえのことが常識であることを、ありつづけることをねがって、風テラスさんへの寄付を希望します。(根本真吾)

  • コロナにより収入が苦しくなり性風俗に流れる人が多いと聞きました。このような団体を支援することで、そこで悩む方々に少しでも希望を与えたいです。(太田睦)

  • 「逃げる方法がわからない」という言葉が響きました。逃げればいいじゃんと言うのは簡単だけど、当事者はどうしてよいかわからないケースはどこにでもありそうだなと思いました。(中西晶大)

  • わたしは当人の気付けなさ、構造として根深そう、対処可能性の3点で検討しました。風テラスを第一にしたのは、女性の選択肢が少ないという問題が最もプリミティブで、早く解消されるべきと考えたためです。(chokushanikko)

  • 風テラスの代表坂爪さんの「観念的な是非論や道徳論を唱えていても意味はない」というスタンスで、目の前の困っている人たちの相談に乗りながら課題を解決しようとしている姿が印象的で応援したくなりました。(大政勇作)

  • 風俗は社会課題の集積地というキーワードにハッとさせられました。こういった取り組みが必要になると思います。(海野慧)

  • 本人が逃げたいのにどうしていいのかわからない、そんな時に他者が適切に導くことが重要なのではないかと感じました。そのナビゲーションが明確であり、逃げることにこそ価値があると感じさせる団体を選びました。(成田好)

  • 活動内容が明確で、非常に多くの方の支えになる活動だと思ってので、風テラスに1票。
性風俗は決して楽にお金を稼ぐ手段などではなく、最後の手段として勤めている人が多くいると思う。
そんな人たちが他の逃げ道(手段)を知れたり、次の一歩を踏み出すきっかけになるといいなと思いました。(高城晃一)

  • 割と全てが重要な活動だと思ったので、直感です(高野冬馬)

  • 「風テラス」の " 風俗ではたらいている方へ " ページ末尾に<生活に困っている方に、食品を無料でお送りします>という支援の呼びかけがあります。そこに注記がありました。「現在風俗で働いている方(キャスト・内勤・ドライバー・店長)が対象になります。」この一文で決めました。(本間盛行)

  • 最後の最後まで揺れ動きましたが、風テラスがもともとデッドボールから始まったというエピソードにガツンとやられました。性風俗は楽に稼げると思われていますが、実は様々な困難があり、複合的な課題が交わる点であると感じています。性風俗産業の問題は、ある程度は知られるようになりましたが、投票日の対話を通じて、まだまだ一般的には語りづらい問題なんだなと感じました。風テラスのような団体が、もっと明るみに出ていき、当事者が頼りやすい状態になるといいなと感じました。 (東詩歩)

  • 「誰にも・どこにも相談できない」「逃げる手段を想像できない」という問題は、深刻だと思いつつ、それでいて実はつい目を背けてしまっているのかもしれないと感じた。これは、当事者以外の、社会の問題でも、自分自身の問題でもあるのかもと初めて思った。(中村雅之)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。