NPO法人キープ・ママ・スマイリングへ寄付を行ないました

 共同贈与コミュニティ新しい贈与論(代表:桂大介)は、NPO法人キープ・ママ・スマイリングに対し54万円の寄付を行ないました。

 新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2021年01月はNPO法人トナリビト、NPO法人キープ・ママ・スマイリング、文筆家・岸田奈美氏の3候補があがり、浅井美絵の推薦したキープ・ママ・スマイリングが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

キープ・ママ・スマイリングは2014年に設立した、病気の子どもを育てるお母さんを応援するNPO法人です。「入院中の子どもに付き添う家族の生活環境の改善」を目的に、主に「食事支援」に力を入れて取り組んでいます。

■キープ・ママ・スマイリング 公式Webサイト

https://momsmile.jp/about/

この活動の背景には、理事長の光原ゆきさんの育児・看護体験があります。生まれてきた子どもに先天性の疾患が見つかったことから、いくつもの病院で子どもと共に泊まり込んで暮らす日々の中、付き添い家族の置かれる過酷な環境に気づいた光原さん。最も困難だったのが食事の調達で、栄養が偏り体調を崩してしまった自身の体験から支援の必要性を感じ団体を立ち上げました。

※キープ・ママ・スマイリングが行った独自のウェブ調査(2019年4〜5月実施)によると、子どもの入院への付き添い体験について、付き添い経験者の78%が寝不足、88%が栄養不足だったと回答しました。また1か月以上の付き添い経験者の72%が体調を崩した経験があると回答しています。

■光原ゆきさんのインタビュー記事

https://an-life.jp/article/1231

病児付き添い者の滞在施設であるドナルド・マクドナルド・ハウスでの夕食づくりのボランティア活動からスタートし、現在では聖路加国際病院、佐賀大学医学部附属病院、東京医科歯科大学医学部附属病院の小児病棟などに定期的に食事を提供する「ミール de スマイリング」事業へと発展しています。 2020 年 2 月以降は、新型コロナウイルス感染症の予防対策により小児病棟への立ち入りが制限されたことから、栄養がきちんと取れてかつ美味しいオリジナル缶詰を届けることで付き添い者への食事支援を継続しています。

■近年の主な活動

・付き添い家族を「食」で支援するミールプログラム「ミールdeスマイリング」

小児病棟にてお子さんに付き添うお母さんへ野菜たっぷりの料理を届けるために、衛生面も安全性も考慮した、シェフ監修の美味しいレトルト缶を開発。2019 年 11 ⽉より佐賀⼤学医学部附属病院の⼩児病棟へ定期的に配布スタート。2020年よりオンライン上で一般販売も開始。

・緊急アンケート「入院中の子どもと付き添い家族の困りごとや不安について」

(2020年4月20日~5月15日実施)。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、制限が多くなる医療現場。入院中のお子さんに付き添う家族の抱える不安や困り事を明らかにし、実情に即した適切な支援を行っていくための緊急アンケートを実施、調査報告書を発表。

・「付き添い生活応援パック」を1000家庭に無償提供 (2020年10月5日~2021年3月 31日実施)

新型コロナ院内感染を防止する目的から、付き添い者の交代や外出の回数・時間が制限される小児病棟。その結果、これまで以上に付き添う家族の負担が増大し、生活環境はこれまでにない厳しい状況となっている。アンケート調査の結果からも必要性が感じられた長期付き添い生活に欠かせない食品、生活・衛生用品の詰め合わせを全国に配布することで家族をサポート。

・オンライン面会環境支援(2020年11月16日~2021年3月31日)

面会制限によって会える時間が減ってしまった子どもたちとその家族へ向けて、親子分離による不安解消と経済的負担の軽減を目的に、入院している子どものいる生活困窮世帯とひとり親世帯に対してスマートフォン 300 台(1世帯につき 2 台)とオンライン面会に係る通信費を最長2か月間無償提供。さらに、入院している子どもと保護者のオンライン面会の実施を希望する小児病棟を有する医療機関にも200台提供した。

■推薦者より

私自身も幼少期、持病があり入院こそしなかったものの、病院通いをしていました。子ども心に母親の心労を垣間見ながら、「自分が病気だからお母さんに大変な思いをさせている」と申し訳なさを感じていたことを覚えています。入院をしている子どもたちにとってはなおのこと、自分を支えてくれているお母さんが精神的・身体的に追い詰められているのを見るのはつらいことでしょう。「子どもが1日も早く退院して家族揃って笑顔で暮らすためには、子どもと向き合うお母さんこそが健康でいなければいけない。」という光原さんの言葉(インタビュー記事より抜粋)には説得力があります。

医療現場への食事提供は、このコロナ禍で医療関係者へのねぎらいのために近所の飲食店が差し入れをするような活動も見受けられ、心が温まるいい話だなと思う一方で、食べきれなかったり、衛生面の問題があったりと課題も耳にしていました。そんな中、キープ・ママ・スマイリングは衛生的で保存も効く、缶詰での食事提供を行っているのは汎用性が高く、今後災害時の備蓄としての活用や、一般販売も行うことで参加のすそ野を広げられる等、今後も発展の可能性を感じています。

また、コロナ禍で影響を受ける病児家族への緊急アンケートを行い、困りごとを明るみにした行動力も素晴らしく、その後「付き添い生活応援パック無償提供」「オンライン面会環境支援」などの事業展開をされている実行力に頭の下がる思いです。

付き添い家族の代弁者として、あまり知られていないこの医療・看護課題を発信しているその存在感を力強く思い、さらに今後の事業発展への期待も込めて、寄付団体に推薦いたします。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 子を持つ親として、子供の病気は何よりも気がかりになること間違いなしです。親御さんの支援が必須な中、仕事やその他の家庭における活動がままならないことは容易に予想されます。ぜひ少しでもお子様のケアに専念ができるよう、このような団体の活動が拡大することを祈念しております。(海野慧)

  • もしかしたらわかりえないかもしれないと思うくらい、知れば知るほど課題の具体性は重さをともなうときがありハッとさせられます。自分にとってキープ・ママ・スマイリングが取り組まれている入院患者の付き添い家族の置かれる過酷な環境はそういうものでした。この課題に活動的に取り組まれている様子そのものに心打たれるところがあり、応援したいと思いました。(中島真)

  • 平時だけでなく、特にこのコロナ禍でも求められる大切な活動だと思ったので選ばせていただきました。(碇和生)

  • 入院している家族の付き添いなどの負担は経済的にも時間的にも計り知れないです。自分自身の付き添い経験はありませんが、まわりでそれに近い苦労をされている方がいます。提示されている施策もより具体的なもので、イメージが湧きました。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、より厳しい状況に置かれていて不安でいっぱいの方も多いでしょう。多くの人が救われることを願っています。(白川みちる)

  • 代表の方をよく存じ上げているキープママスマイリングを第1希望に選びました。同団体は、今年本格稼働から3年目を迎え、団体としての正念場を迎えます。新しい贈与論の皆さんの応援が、さらなる成長の原動力となることを願います。(吉見新)

  • どの候補も寄付先として魅力的で悩みました。その中でも、自分の大切な子供が病気で苦しんでいるのを側で支える親の精神的な辛さという課題が、一番共感できました。コロナ禍で生じた課題にもすでにいくつかの方法でアプローチされていて、その実行力からも寄付をしたいと思いました。(荒川陸)

  • 「キープ・ママ・スマイリング」は、以前に推薦人を担当した際に選んだ「アレルギーを考える母の会」とも重なる部分があり、推薦文とともに、一番共感した候補先でした。子供が、生まれてきたことを申し訳なく思うことなく、両親と素直に向き合い、笑い合える家庭が増えることを願います。(加藤めぐみ)

  • 理事長の光原ゆきさんの育児・看護体験ご自身のご病気を拝読させて頂き、私自身もほんの少し短期間だけど似た経験があり、それだけでもとても辛かったのに、また比較にならない壮絶な体験をされ、でもその先に考え問題解決の為行動をし団体を作られた、と。本当に温かい食事を摂れた時、ご飯ってこんなに美味しかったっけ?と私も泣きました。付き添う人の心身健康も同じくらいとても大切です。是非こちらに寄付できたら、と願います。(鈴木美香)

  • 子供は宝物。その子供を支える家族もまた宝物。(奥田直之)

  • 育児問題に関心があるため応援したいと思いました。(高橋祥子)

  • 理事長ご自身の実体験から生まれたニーズを形にしたものであり、かつデータやアンケートに基づくソリューションであること、また何よりそうした状況にある方々が苦難を乗り越える支えになることから、今回はこちらを推薦させていただきます。缶詰の話にしかり、かなり実用的な試算に基づいた考えをお持ちであり、事業としての継続性の可能性も感じました。実際にこうした課題があることになかなか気づきづらく、ご自身の体験をそのままにせずにソリューションの形に落とし込んでいっている点に感銘を受けました。それらの支援になればと思いました。(Sho T)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。時折新規会員も募集いたしますので、ご興味をもたれた方はニュースレターへご登録ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。