共同贈与コミュニティ新しい贈与論(代表:桂大介)は、NPO法人となりのかいごに対し56万円の寄付を行ないました。
新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2020年12月はNPO法人となりのかいご、NPO法人Learning for Allの2団体が候補にあがり、姜花瑛、白川みちる、太田睦の推薦したとなりのかいごが最多票を得ました。
推薦文は以下の通りです。
現在、日本は少子高齢化により家族構成のあり方が変わってきており (2030年には3分の2の人々は1〜2人で暮らすことになると言われている)、介護に対する課題が浮き彫りになってきています。
従来より「家族・家庭で介護を行うべき」という考えが浸透している中で、介護の担い手への負担は計り知れません。退職を余儀なくさせられたために、家族全体で貧困に陥ってしまったり、行き場のないストレスが被介護者に向かってしまったり、というケースも少なくありません。この「となりのかいご」という団体は「誰もが最後まで家族と自然に過ごせる社会」というビジョン、「50万通りの親孝行を一緒に考え、家族の幸せなじかんをつくる」というミッションをもとに、孤独な介護者の心境に寄り添った活動をされています。
私たちにとっては少しだけ遠く感じるかもしれない、でも誰にでも訪れる可能性のある身近な問題。だから、この団体への寄付をしたいと考えています。
投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。
恥ずかしながら、今回の推薦文を拝見するまで、コロナ状況下での介護、とくに感染リスクの高い高齢者の介護という状況の過酷さに思い至りませんでした。
人との対面が激減したこの1年には苦しさを感じていたものの、一人暮らしで、安全な環境で仕事ができている自分の状況と、大切な家族を感染の危険にさらすかもしれない、という緊張の中で外出をしたり介護をしたりする方々の苦労を引き比べ、申し訳ない気持ちになりました。種類の異なる苦しさを比較することは建設的ではなく、申し訳ないという表現も的を射てはないのですが、視野の外にあった問題に気づかせてくださった「NPO法人となりのかいご」を希望順序1位として投票します。
介護でも、子育てでも、仕事でも、高すぎる規範や理想に縛られて自分を責めてしまう人や、ひとりきりで悩みの重さに潰れてしまう人が、数多くいる社会。「NPO法人となりのかいご」様の活動が、優しいクッションとして広がっていくことを願います。(加藤めぐみ)介護が必要となる場面は家族ごとに異なるはずなのに、既存の介護関連の情報は「施設」をどう選ぶか、どう制度を活用するか、というシステムありきのものが多かったと思います。それに対し、「親孝行 / 家族孝行である」という出発点を持つことは良いアンチテーゼになっていると思いますし、今後多くの世帯が直面するであろう課題に対するあるべき姿を提示していると感じました。(上西雄太)
今回の2つの団体の活動を見て、高齢者の介護問題と貧困層の子ども支援と対照的なものですが、共通するのは家族支援ということでした。
それぞれの団体が取り組んでいる社会問題を比較することはできませんが、今回は家族を含めた支援ということに強く共感を覚えて、NPO法人となりのかいごに投票しました。同団体のHPを拝見して、あらためて介護の問題を考えるきっかけになったので、多くの方に知っていただきたいですね。(山田泰久)まだ実感はないけど暫くしたらかなりのマインドシェアになるトピックだと思いました。(太田睦)
子どもの教育と高齢介護、どちらも日本の未来を考えたときに大切なテーマで甲乙つけるのは難しいですね。ただ、子どもの貧困に関しては国内の寄付業界では最も人気カテゴリーに位置するので、ここでは新しい気づきをくれた「となりのかいご」に一票を入れます。私も今はまだ、ですが、かなり近い未来に親の介護に頭を悩ませるときが来るだろうと薄々思いながら、まだ怖くて現実を見れていない・・という世代です。でもこの団体があるということを今回はじめて知って、いざという時(いやもうちょい前の、備えておこうと思ったとき)にはここに情報がある!と知れただけでちょっとホッとしました。家族だから、自分がやらなきゃ、自分が頑張らなきゃという考えに、そうじゃないよと声をかけてくれる存在があるということに安心します。また企業への働きかけも介護離職の防止を目的とするアプローチとして非常に有効だと思いました。(浅井美絵)
私は長男で、社会通念上は家を継いで両親と暮らすことが道徳的であるとされる立場ですが、上京して離れて暮らしています。
今後自分がどのように親の介護と向き合うのが良いか、悩んだときに頼りになる存在だと感じました。NPO法人となりのかいごさんの活動を応援します。(大政勇作)どちらもとても意義がある事業だと思いました。ただ、Learning for Allは、すでに事業収入もかなり多いので、となりのかいごを寄付先に希望します。介護はこれからの日本の大きな課題でもあり、社会全体で支援しないと難しいと思います。となりのかいごのホームページを見て、家族だからできること・できないことの区別がよく分かりました。(西山裕子)
こどもの貧困と、介護を抱えるおとなの貧困、両方迷いました...個人的に、これからさらに増えていくであろう介護の問題を解決していくことで、救われるこどもがいればいいな...と思い「となりのかいご」を推します。(白川みちる)
「50万通りの親孝行を一緒に考え、家族の幸せなじかんをつくる」というミッションに惹かれました。介護のありかた、家族の関係性は、万人にひとつの正解があるわけではない。それぞれの家族にとってしっくりくる方法を探していける社会になっていけば嬉しいです。(鈴木悠平)
介護領域において、作業負担はさることながら精神的な負担を軽減することを追求しているところが面白いと感じたため。(中村多伽)
家族であってもそれぞれに捉え方が異なり、誰もにとって自分ごとながら自分ごとになりづらい「介護」に対し、まったくの他人の介護をサポートする機会が持てること自体が嬉しいと感じました。(稲垣景子)
以前介護の問題を考えたことがあり、その経験と共感からとなりのかいごを選びました。介護そのものに関してはある程度の仕組みがあるものの、家族のメンタルケアなど周辺の領域についてはまだまだ手がつけられていないのが実情だと思います。来たるべき介護社会に向けて、こうしたアプローチが増えていくことを望みます。(桂大介)
「家族・家庭で介護を行うべき」という古い常識は日本社会に強く根付いていますが、今の時代、そしてこれからの時代には合わない価値観だと思います。介護離職、老々介護、ヤングケアラー等々、あちこちで出ている問題はこのまま放置していたら今後ますます大きくなるのではないでしょうか。一方で、コロナ下において帰省が憚られる風潮もあります。家族の介護を家族以外に頼らず行うことは困難です。社会全体の意識を変えて行く必要があります。となりのかいごの推薦を支持します。(宮本聡)
介護を「チームプレイ」と捉え、家族にしかできないこと、プロフェッショナルに任せるべきことをしっかり切り分けている点に好感を持ちました。僕は親族に要介護者や介護関係の仕事に従事している人がいて、比較的身近に介護があるのですが、情緒的ケアと機能的サポートのバランスが難しいなと感じます。その難しさを踏まえたうえで、両者のバランスを取ろうとしている点に共感し、投票させていただきました。(小池真幸)
介護系のNPOは助成金や公的な資金に頼って運営しているところが多く、寄付募集をしている団体はあまり見かけない印象です。そのため、寄付先の候補として今まであまり考えたことがありませんでした。「となりのかいご」も、会費収入や寄付収入がなく、助成金や事業収入でまわしているようです。介護という、誰でも関係のある分野なのに、直面しないと考えることがあまりないように感じます。寄付することで、知るきっかけになると良いなと思いました。また、今まであまり寄付を受け付けていなかったところに寄付をすることで、どのように活用していただけるのか楽しみでもあります。(鈴木亜香里)
介護は、精神的にもとてもきついことだと思っています。親側は、自分の家族が自分のために苦しんでほしくないでしょうし、子ども側は、親を大切にもしたい。となりのかいごの、父子対談にほっこりしました。(阿曽祐子)
私の父ももうすぐ70歳だなあ、10年後には介護というワードが今よりも日常的になっているのだろうか?と考えると、遠いようで近い問題なんだなという気がしました。(中西晶大)
今回、推薦内容が高齢化に伴うテーマと、子供に伴うテーマの二方向に分かれており迷いましたが、こちらを推薦することにしました。
理由としては、未来を担う子供の方は大人たちのシェアリングにより前向きに取り組めるテーマですが、高齢化の方はなかなか前向きに取り組みづらい(誰もが目を背けたくなる)テーマだと思ったからです。人口構造的に高齢人口率が高まることは避けられず、ここにどのように向き合うかは社会にとって大きなテーマであり、そこにどのように前向きに向かい合える状況を作るかにスポットを当てて長く活動するとなりのかいごを支援したいと思いました。(Sho T)なかなか共有されにくく、当事者になるまでわからないことも多く、だからこそここまで継続的に地道な取り組みを行っているのかと思うと応援したいと思いました(中島真)
私は例年、年末年始に実家に帰省しています。この帰省が私と家族との関わり方であり、適切な距離だと考えているからです。しかし、感染症の危険を鑑みて今年は帰省を諦めました。同時に、このことが家族との関わり方をあらためて考えるきっかけとなる気がしています。
現在、家族とは介護を要する関係ではありません。一方で「家族との関わり方を再考する」という意味において、「NPO法人となりのかいご」さまの取り組みに通づるところを感じました。
以上より、今年最後の寄合においては「NPO法人となりのかいご」さまに投票させていただきます。(佐々木耀)介護関係の仕事をしている友人の話を聞くと、家族ごとに本当に様々なケースがあり、簡単に効率化といってできるものでもないことから、今後社会全体の大きな課題であると感じました。「50万通りの親孝行を一緒に考え、家族の幸せなじかんをつくる」というミッションに共感し、その活動を応援したいと思い、となりのかいごに投票します。(荒川陸)
父がここ一年で二度背骨を骨折し、遠いところにあった介護問題が、急に身近なものになりました。今は母が元気なため、自分の生活には大きな影響はありませんが、これから先、否応なく介護に直面するとき、このような団体の存在はとても心強いと感じました。(吉見新)
子供の貧困、高齢者介護の問題。いずれも切実な社会問題ですが、後者の救済については相対的に光が当たりにくい印象を持っています。国家予算上は、若い世代より老齢世代への配分がかなり大きいとしても、介護者の支援にまでその資金は回っていないのではないでしょうか。
「家族は家族にしかできないことを」「家族の老いを受け止めるために余裕を」
このコアメッセージに強く共感し、となりのかいごに一票を投じたいと思います。(森康臣)
新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。時折新規会員も募集いたしますので、ご興味をもたれた方はニュースレターへご登録ください。
運営
法人名 一般社団法人新しい贈与論
代表理事 桂大介
設立 2019年8月1日
ウェブサイト https://theory.gift
連絡先 info@theory.gift
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「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。