「老いと演劇」OiBokkeShiへ寄付を行ないました

共同贈与コミュニティ「新しい贈与論」は、「老いと演劇」OiBokkeShiに対し75万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2021年12月は「老い」をテーマに推薦を募集し、メロウ倶楽部、劇団OiBokkeShi、日本医療研究開発機構の3候補があがり、中西晶大さん、古川哲さんの推薦したOiBokkeShiが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

<劇団OiBokkeShiについて>
https://oibokkeshi.net/

俳優で介護福祉士である菅原直樹さんを中心に、2014年に岡山県和気町にて設立された劇団です。
「老い」「ボケ」「死」から名前をとったこの劇団は、「老人介護の現場に演劇の知恵を、演劇の現場に老人介護の深みを」という理念のもと、高齢者や介護者と共に作る演劇公演や、認知症ケアに演劇的手法を取り入れたワークショップを実施しています。
高齢社会の課題を「演劇」というユニークな切り口でアプローチするその活動は、演劇、介護のジャンルを越え、近年多方面から注目を集めており、最近ではNHK岡山などのメディアで取り上げられたり、本劇団で作られた脚本をイギリスの地域にアレンジしたものが公演されたりしています。
過去の公演についての取材や早稲田大学で実際のワークショップの様子はYouTubeからもご覧いただけます。

・「91歳の看板俳優が熱演 介護現場の実体験を演劇に 岡山」KSB瀬戸内海放送
https://youtu.be/Ck5xjys3fmc

・「老いと演劇のワークショップ Short ver.」早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
https://youtu.be/eNEyHkG1koQ

<推薦者からのコメント1>
老いると行動を始め、あらゆることに制限がかかってくるんだろうなという漠然とした不安、恐怖感のようなものがありました。そこに人は抗えないのではないかと早くも諦めを感じる自分もいました。

オイ・ボッケ・シを見た時に最初に感じたのは老いるというのは必ずしもネガティヴなことではなく、老いたからこその楽しみが生まれる側面に自分は目がいってなかったなと感じました。社会にこのような取り組みが増えていくことで老いを楽しさだと捉え直すことができるような気がしています。

<推薦者からのコメント2>
推薦先を考えるにあたって、ネガティブなものとして捉えがちな「老いる」ことを前向きにとらえて活動されている人を探していたところ、地域でワークショップを実施しているこの団体を見つけました。そのワークショップでは「遊び」にチャレンジすることを通して、「介護を楽しむ」、「明るく老いる」ヒントを探るものでした。「老い」のための「演劇」だけでなく、「演劇」のための「老い」についても向き合うこの活動が、あらゆる人が「老いる」ことを前向きにとらえられるためのきっかけとして、広まってほしいという想いからこの団体を推薦しました。

「老い」は、生物として生きている以上生理的に起こることであり、老いを認めることは、生きることを認めることにもつながると推薦者は考えています。この団体のように「老い」が肯定されるような活動が社会に広まればいいなと思い、推薦先を考えました。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 認知症を、病とせず、常識とか、論理的とか、そういうものを超えて、人はわかりあえるし、幸せになれる、という価値観を、演劇という感情表現方法でアプローチしていることに感心しました。老いを超えて、病を超えて、普遍的な幸せの形を提示してくれている気もします。(金均)

  • サイト拝見しましたが、オンラインでの試みも手法が様々で、老いや介護の面はもちろん、これからのエンターテイメントを考える場面でも、注目に値するのではないかと大きな可能性を感じました。(宮崎あおな)

  • なるほど、「老い」をテーマで、推薦人のみなさん、まったく違った視点で選んできましたね。いずれも、まったく知らない分野、活動だったので、勉強になりました。その中で、 劇団OiBokkeShi オイ・ボッケ・シが一番面白いと感じて、投票しました。演劇という手法で、老いを前向きに捉えるのはなるほどです。推薦人の説明文にある「オイ・ボッケ・シを見た時に最初に感じたのは老いるというのは必ずしもネガティヴなことではなく、老いたからこその楽しみが生まれる側面」というのはまさにその通りですね。寄付を通じての発見、気づき、出会い、新しい贈与論らしい支援先だと思います。(山田泰久)

  • 劇団OiBokkeShiは、「老い」を高齢者だけのものとして考えるのではなく、その周りの人々をも「演劇」を通じて巻き込んで、「老い」を前向きにとらえているところに、この活動の希望を強く感じました。「老い」に関わるあらゆる人に開かれているこの活動に魅力を感じ推薦いたしました。(古川哲)

  • 演劇は、劇中のそこで起こっていることに、自分も居合わせて、一緒に思い悩んだり考えさせられてしまう力があります。OiBokkeShiさんは、劇団員・観劇者・ワークショップ参加者を巻き込んで、老人介護に向き合っていらっしゃいます。とても面白そうで私も観劇したくなりました。(大政勇作)

  • 菅原さんとおかじいのやりとり見ているとそれだけで元気になりました笑 奇を衒うわけでもなく、ある意味たまたまそこに集ったことを大切に、その自然体な姿に、高齢社会の向き合い方を教えてもらった気がします。(中島真)

  • ワークショップの動画を見て、演劇のおかげで老いをポジティブにとらえなおすことができると本当に感じられたからです。このワークショップが大きく広がるといいなと思います。実は、これまで演劇系には寄付をしたいという気持ちが湧かず、演劇系の寄付先候補が上がってきても投票したことはありませんでした。なぜなら、私自身が学生時代に演劇をやっていて、「演劇というものは、儲からなくても自分がやりたいからやるものだ」という信念を持っていたからです。小さな劇団に75万円もの金額を寄付してもうまく使えないだろうし、演劇の神聖さをお金で汚してしまうような気がしていました。今回のOiBokkeShiは、認知症の介護を明るくとらえるという点が核だと思ったので寄付したいと思いました。演劇の公演がメインではなく、アプローチの一つなんだと思います。こういう自分の価値観に気づけるのがいつも面白いです!(鈴木亜香里)

  • おもしろいアプローチだと思いました。(高橋祥子)

  • 抗うのでも、称賛するのでもなく、老いや介護と「ともにある」ためのひとつの形として、とても素敵だと感じました。今回の投票を通じ、高齢化社会が日常からは少し遠く、またやはりどこか遠ざけたい気持ちがあったことに気が付きました。恐れるよりも、ともにある方法を探していく発見をいただいたOiBokkeShiさまに投票させていただきます。(稲垣景子)

  • 今回は自分が推薦人だったということもあり、調べる過程で得た気づきや思い入れから投票しました。(中西晶大)

  • 介護・認知症については高齢化・少子化が進む日本にとっては喫緊の課題であり、今後ますます多くの方の理解が必要なトピックだと思っています。暗い話を演劇という明るくユニークな切り口でアプローチする姿に共感しました。(疋田裕二)

  • 「老い」というテーマをどう捉えるか、3者3様で面白かったです。中でも 劇団OiBokkeShiの活動は、長い人生を歩んできた人だからこそ出せる味が舞台で映えるという、若い人には絶対に敵わない円熟味に焦点を当てているところが魅力的だと思いました。また、その人の人生はもう終わりに向かっているかもしれないけれど、舞台に立って誰か他の人の人生を演じることで、まだ別の生き方を体験することができるなんて素敵だなと。スポットライトを浴び、観客に注目され、拍手をもらうのは刺激的だろうなと。

    誰もが病院のベットではなく自宅の布団で最後を迎えたい、と思っていると思いますが、この劇団の活躍で、最後はやっぱり舞台の上で迎えたい、というおじい、おばあが増えたら日本の高齢社会もちょっと明るくなるかなぁと思い、投票します。(浅井美絵)

  • 老いを否定するのではなく肯定することはひとつポイントになりました。特にOiBokkeShiを選んだのは、こういった文化活動がダイレクトに課題解決に結びつくことに感動したからです。(飯島拓郎)

  • 個人として演劇に関心があるため(宮本涼輔)

  • 老いに対しての負のイメージを演劇を通じて、明るく捉え、生きるパワーに変えている取り組みが素敵だと思うからです!(黒澤剛)

  • 老いと自己表現を融合させるアプローチが、よく考えると確かにとても相性がよさそうで物事の新しい見方を提示された気がしました。年を重ねる中でたくさんの喜びと悲しみを経験した皆さんが晩年に体を使って表現するもの、すごく興味が湧きます。(藤原麻耶)

  • 私は30代ですが、少しずつ変化を感じており、それは老いと表現できるのかもしれないと思います。しわが増えたり、眠りが浅くなったり、記憶の限界を感じる時もあれば、ゆっくり話せるようになったり、経験が増えることでいろんな気持ちが想像しやすくなったりすることもある。ルッキズムやエイジズムへの志向が強くなっている気がしますが、「オイ・ボッケ・シ」のような老いを楽しみにながら表現し楽しめる社会だと幸せかなと思い投票します。(嶋田康平)

  • 老いというと、弱い、終わりというイメージがつきまとう。誰にも等しく訪れる老いであるにもかかわらず、自分の老いは見せまいと渾身の努力をする姿も見受けます。あと少ししたら、私も同じことをしている恐ろしさを感じます。大胆に視点を変え、老いの特徴を活かして、固定観念の反転を試みる心意気を応援したいです。(阿曽祐子)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。