特定非営利活動法人WorldOpenHeartへ寄付を行ないました

 共同贈与コミュニティ新しい贈与論(代表:桂大介)は、特定非営利活動法人World Open Heartに対し55万円の寄付を行ないました。

 新しい贈与論では毎月会員の投票により決定される寄付である共同贈与を行なっています。2021年03月は認定NPO法人高木仁三郎市民科学基金、特定非営利活動法人World Open Heart、NPO法人くらしとバイオプラザ21の3候補があがり、河原塚有希彦・桂大介の推薦した特定非営利活動法人World Open Heartが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

特定非営利法人World Open Heartを推薦します。

この団体は、事件や事故の "加害者" となった人の家族を支援することを目的とし、各種相談をはじめ家族会や厚生支援などを通じて家族支援を行っています。加害者は被害者側とは違い、同情や支援の手が差し伸べられることはほとんどなく、「悪いことをした人の家族」として社会の厳しい視線にさらされ、時には誹謗・中傷の的となります。一方で、World Open Heart代表の阿部恭子氏は「家族に連帯責任を求めて犯罪を抑止しようという理論は、現実に成り立たない」と指摘します。

池袋で乗用車が暴走し11人が死傷した "池袋暴走事故" では、幼い命が亡くなったという痛ましさに加え、被告の「ブレーキを踏んだのに加速」という発言と元官僚という属性によって、ネット上に様々なバッシングがあったことが記憶に新しいと思います。阿部氏によると「バッシングは被告人だけにとどまらず、「家族も同罪」「家族も死刑」といった書き込みもあった」とのこと。連帯責任による家族バッシングの文化は今日においても色濃く残っています。一般に被害者は裁判などで賠償金を得ることが期待でき、そのお金をあてにして成果報酬型にて弁護士を雇うなどできます。一方で加害者はこうした経済的な後ろ盾がなく、600万円とも言われる裁判費用を持ち出すことも珍しくありません。精神的にも経済的にも頼れるものがなく、孤立しがちな加害者家族は自殺に追い込まれることも少なくないといいます。

「日本は親の社会的責任が一番重く、親の自殺率も高い。押しつけず、社会で分担する姿勢が大事」(阿部氏)

インターネットが普及し、加害者の名前をググれば事件のことが出てくる・忘れられることのできない今こそ、こうした活動が重要だと考えます。

公式サイト
http://www.worldopenheart.com/index2.html

「上級国民」大批判のウラで、池袋暴走事故の「加害者家族」に起きていたこと
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76274

『加害者家族』はバッシングされてもいいのか。支援団体の代表「家族をいじめても意味がない」https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d803070e4b03b5fc88872ec

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 加害者、加害者家族に一番資本が集まりづらいと考えたため(中村多伽)

  • 加害者が加害者になってしまうのはその人の問題としていいのでしょうか。私たちは、”加害者”と名付けられた状態で加害者を知ります。その時点で、「加害者に必ず因があるがあるはず」と私たちの見方まで方向づけられてしまっていないでしょうか。状況にもよると思いますが、事件や事故を挟んで、苦しんでいるのは同じかもしれません。代表の方の事実のみをシンプルに伝えるスタンスにも共感できました。(阿曽祐子)

  • WorldOpenHeartは以前から知っていました。迷わず一位とさせてもらいます。「人権」という仕様の「実装」って大きな課題ですよね。(本間盛行)

  • ちょうどこの連休にこんな記事を見たところです。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f8b6538b2d109221814cd99441ef003135fce660

    「犯罪加害者家族」という見えづらい「被害者」を支援する活動は、制度の網からこぼれ落ち、なおかつ一般の方からも理解もされにくい、大切なテーマだと思います。日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援活動を行ったNPO法人WorldOpenHeartはぜひ応援したい団体の一つ。今回の寄付先の第一希望といたします。(宮本聡)

  • 日頃私が抱いている疑念、違和感に近いこちらに投票させていただきました。以前から刑事事件等の報道で家族が謝罪しているのを見る度に、「そもそも彼らこそ一番身近な被害者なのではないか?」と感じていましたので、こういった立場にある人々を支援する団体があるのであれば、支援したいなと素直に思いました。(三上遼)

  • NPO法人WorldOpenHeartに投票します。ニュース報道だけではわからない人権侵害について、NPO活動の必要性を強く感じました。(山田泰久)

  • 普段自分は研究者として活動をしているため、科学技術の啓蒙や支援を目的とする2団体の重要性はとても馴染み深いものでした。比べてWOHの活動は自分の意識になかった重要な問題を突きつけられた思いでした。近年SNS・インターネットの発達の負の側面として、未熟な若者が犯罪に巻き込まれるケースの報告が目立ちます。その中で、加害者になってしまった場合の家族へのケアを社会として持つという活動内容に共感し、WOHに一票を投じようと考えました。(荒川陸)

  • 加害者家族の窮状は以前から関心を持っていました。SNS時代においては、「正義」の暴走によって当事者がより追い詰められる状況になりやすいのではないかと思います。万一家族が逮捕されてしまった際の相談があるという事実も、広く知られて欲しいと感じ、一票を投じます。(森康臣)

  • 加害者の家族を支援するという団体がある事に、衝撃を受けました。確かに、犯罪があった時、我々は家族を責めがちです。親の教育のせいとして、母親の責任を問う声もよく聞きます。この団体のホームページを見て、今まで意識していなかった、加害者家族の苦しみを知りました。そして、加害者というタブーとも言える領域の課題解決に取り組む意義を理解しました。(西山裕子)

  • 加害者家族という、バッシングの対象となっても仕方がないという風潮の中で誰にもサポートされず、助けを求める先が無かったであろう存在を支援されているWorldOpenHeartさんを選びました。加害者そのものの社会復帰や支援もタブー視されがちですが、自分が起こしたわけでもない罪を責め続けられる家族の辛さを考えると胸が痛いですが、このような活動をされている団体さんの存在に少し気持ちがほっとします。(浅井美絵)

  • やはり家族は血の呪いのようなものがあり、たまたま形成された関係にも関わらず、家族は一方的に被害者になってしまう。家族という単位ではなく個々人を見たときには完全にもらい事故でとても大きな課題だと思ったので。(藤井宏二)

  • 高校生の頃と記憶しているのですが、東野圭吾の手紙という小説で初めて加害者遺族の苦しみに触れました。それからいくつかの事件の加害者遺族について調べたり、本を読んだりしてきました。私の結論は、なぜ加害者遺族にまで罪を背負わせようとするのかということでした。なぜなんだろう?と思ったことに向き合ってる団体があることを今回初めて知ったので応援したくなりました。(中西晶大)

  • 加害者の家族も一種の被害者であり、支援が必要という視点はなるほどと思いました。(太田睦)

  • 加害者の家族が、不特定の人々から「正しさ」をたてに責め立てられ、新しい被害者になっていることはとても見えづらいことです。間違いをおかしても再起できる社会でありたい、家族を含めて支えていける社会になりたいという思いから、World Open Heartさんの活動を応援します。(大政勇作)

  • 人権意識が徐々に拡大している今日においても、なぜか加害者家族への社会の当たりは厳しさが衰えないように感じます。どんな凶悪犯であっても、家族に罪はありません。ご家族の方々がいわれのない批判から守られ、適切なケア・サポートが受けられることを願って、WorldOpenHeartさんに投票します。(桂大介)

  • 加害者の家族という観点は正直盲点でした。つい感情的になると、重罪を犯した親御さんやお子さんなどは、犯罪者と同様の視点で見られがちになるかと思いますが、理性的には当然切り分けて考える内容かと思います。こういったマイノリティの方々に誰かが手を差し伸べる必要があると思いますし、こういった一見目を逸らしがちな方々への支援こそ求められていると感じ、選択させて頂きました。(海野慧)

  • 心痛める犯罪や事故が起こってしまった際、被害者への同情や共感がどうしても強くなってしまう一方で、無条件に悪意のある攻撃的な目を向けられてしまうのが加害者とその家族。個人的なものやセンシティブな情報もオープンになっていく社会で、加害者の家族も犯罪者のように扱われてしまう現状があり、家族の方たちの精神的なつらさは想像し難いです。
    社会の分断が進んでいる現代ですが、育児や介護、DVなどの課題に関しては、個々の家族だけで解決しようとせずに地域や社会で支え合おうという意識や取り組みがどんどん拡がっています。起こってしまった犯罪に関しても、責任を加害者とその家族に全てを押しつけ、他人事として糾弾するのではなく、社会全体でその責任を負い支えあう姿勢を持てたらと思います。(河原塚有希彦)

  • 犯罪加害者家族の支援というテーマには以前から関心をもっていました。今回、阿部理事長が寄稿された記事をいくつか拝見し、問題の複雑さ、根深さを改めて知る機会となりました。
    記事の中の「常に攻撃や嫌がらせに怯え、安全が保障されていない環境で、罪と向き合うことはできないのだ。」という言葉が印象に残りました。加害者家族、加害者本人、バッシングをする人の心の闇など、この問題の途方のなさに立ち尽くしそうになりますが、地道で、信念と根気が必要な同団体の取組みを知り、支えとなる人が増えていくことを願っています。(吉見新)

  • 罪を犯した人の家族を守ることがタブーなのかというと、そんなことはなくて守るべきものだと思うのですが、連帯責任として考えられてしまう、とても難しくかつ辛い現実だと思います。そういった方々が、社会的にも心理的にも再び立ち上がれますように。(白川みちる)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。時折新規会員も募集いたしますので、ご興味をもたれた方はニュースレターへご登録ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。