一般社団法人 Prison Arts Connectionsへ寄付を行ないました

一般社団法人 Prison Arts Connectionsに84万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「リミナリティ」をテーマに推薦を募集し、「一般社団法人 Prison Arts Connections」「ひめゆりの塔/ひめゆり平和祈念資料館」「A Minor Consideration」の3候補があがり、 中村雅之・榎本大貴の推薦した一般社団法人 Prison Arts Connectionsが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

https://pac-j.com/
塀の内と外は、直接会えない。作品を見て、感想を書いて、郵送で届ける。完全に越えることはできないまま、あいだに立つ。それだけのことが、日常の秩序をいちど溶かす。

居室で描かれた絵と、余暇に書かれた俳句が、塀の外の会場に並ぶ。一般社団法人Prison Arts Connections(PAC)の刑務所アート展だ。会期が終わると、開催報告とカタログとともに、応募した一人ひとりのもとへ届く。塀の中へ返せる紙の枚数には限りがある。だから感想は、一枚に凝縮されて届く。職員やその子どもが描いた絵も混ざっているが、会場では誰が受刑者で誰が職員かを出さない。「受刑者アート展」ではなく「刑務所アート展」。呼び名も役職も、いったん脇に置かれる。誰が描いたかより先に、絵がある。絵の脇には本人の手書きの紹介が添えてある。年齢も性別も出さないかわりに、その人の言葉が残る。

すでに塀の中にいる人の声は、コンクリートの壁と「受刑者」という一語で、普段はこちらから消えている。知ってしまったら、知らなかった自分には戻れない。贈与が、こちら側の人間を、境の向こうへ連れていく。

来場者のひとりは、作品を見て「中の人と会話しているような気持ちになった」と書いていた。会ったことのない人へ、届くと信じて感想を置く。

塀の向こうでカタログを開いた人が、見知らぬ誰かの一文に触れる。その往復の郵送料や、次の展示の種に、私たちの贈与が混ざっていく姿を想像しながら、推薦したいと思います。

# 以下は推薦人Bより

書いたもの、作ったものに、感想をもらう。こんなに嬉しいことはない。

感想は人を繋ぐ。年齢性別立場を超え、一番深いところで繋がる。Web日記に感想をくれた名無しさん、自作ゲームに感想をくれた増田さん。どこのどなたか存じないが、推薦人の今世の親友だ。

刑務所は、双方向性が限られた世界だ。PAC共同代表の風間氏は言う。刑務所にもアートはあるが、社会には開かれていない。世間は受刑者の娯楽に厳しいからだ。だが、犯罪の背景には人間関係の断絶がある。そこには、アートにしかひらけない対話の回路があるのではないか、と。

推薦人は、ネットの双方向性に救われた。だから思う。きっと、壁の向こうに名無しさんが必要だ。増田が必要だ。世界の境界を曖昧にし、壁の薄さを感じさせる尊い活動を、推薦したい。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 刑務所から出たあとのスムーズな社会復帰は大事なテーマだと思いました。そのために間接的にコミュニケーションを取ることで社会からの受容感を生み出していく活動は良いなと考えました。(今 啓亮)

  • 推薦人です。作品を通じた、匿名のやり取りは境界線の存在を強く感じさせます。と、同時に「塀」としか認識していなかったそれの存在感が揺らぎ、曖昧になる。加害者支援・出所者支援のような形の手前にあるもうちょっと曖昧な活動が、なんらかの形で続いていくことを願って推薦しました。(榎本大貴)

  • 制度的な必要上、社会との繋がりが希薄にならざるを得ない受刑者に対して、アートを通じて社会からのフィードバックを得られる機会を提供するというのは興味深い試みだと思います。アートを受け取る側にとっても、刑務所で作られたアートをフラットに受け止めてそこから何か感じるものがあれば、刑務所や受刑者を取り巻く様々な問題について考える機会にもなると思います。受刑者の内側と外側の両方の社会にとって意義のある取り組みで、ぜひ応援したいと思いました。(朝野椋太)

  • 自分の中で、犯罪者に対する差別意識のようなものがあるのが正直なところです。そこには、自分の「無知」がそうさせてる部分もあると思っています。だからこそ、知るきっかけがあるならば多少なりとも関わっていけたら、と思いました。(熊谷友幸)

  • こんな活動もあるのかと嬉しい驚きを与えてくれる団体を紹介いただき有難うございます。アートは再犯率を低下させるだけでなく、対話の場として大切とする活動に共感しました。ギャラリーに掲載された絵の表現の幅の広さとエネルギーにも驚かされました。(平田仁)

  • 個人的にアウトサイダーアートに興味があり、その流れで服役囚の描く絵、も度々見た。そういった表現行為を通じて、服役をしている人が自身を見つめ直し、罪を償ったり人間性を回復・維持していることを尊いと思う。その一方で、底知れぬ悪意を抱えた人の存在もまた確実にあるのだろう、そうした人々の悪意に、自分や周囲の人間が晒されたとしたら許せるだろうか、と考え「許せないだろう」という結論に至る。Prison Arts Connectionsは、そうしたあいまいで自分でも捉えきれない領域を切り拓いていると感じました。うまく感情に名前が付けられないですが、そういう意味でも最も“リミナル”だと思い、第一希望としました。(小山田 那由他)

  • 『ケーキを切れない非行少年たち』を読んでから、刑務所の中にいる方にとても関心があります。また、作品を作り、発表して評価してもらう機会は、人が生きていく上でとても大切なものだと思います。このような活動があると知れたことも嬉しく、投票いたしました。(鈴木亜香里) 

  • 小池栄子好きの私は、刑務所の食事を美味しくしようとする栄養士さんのドラマを見ていました。ドラマでは多くの受刑者は「加害者」になる前に「被害者(虐待など)」でもあったという背景が描かれていて、人間関係を結び直すようなこの活動に一票投じたいと思いました。(神崎)

  • PACは全く知らなかったのですが、とても有意義な活動だと思いました。受刑者には様々な背景があると思いますが、その背景を解除して、作品を通して匿名的に結びつける、というありように、とても考えられたデザインを感じました。(渡辺健堂)

  • 単に「支援する側/される側」という関係をつくるのではなく、作品を通じて互いの存在や経験に触れ、刑務所の内外にいる人が双方向に関わる仕組みである点に意義を感じました。(佐藤遼平)

  • すみません。今月も余裕なく、推薦文を読み、えいやと決めました。「感想は人を繋ぐ」の言葉に(本間盛行)

  • 最も推薦したいと直感的に感じたので選ばせて頂きました。(東原大輔)

  • アートのチカラにとても可能性を感じています。年齢も立場も超えていろいろなつながりと感情を生むと思っています。PACの活動は知りませんでした。いろいろな人に知ってもらいたいし、自分自身もアート展に行ってみたいと思います(石田篤史)

  • アートの持つ力や優しさに期待しています~(小澤啓一)

  • 「受刑者アート展」ではなく「刑務所アート展」であるという企画者の意図が素晴らしいと思ったと同時に、その選択にリミナリティを感じました。(横山詩歩)

  • 地元の後輩が代表を務めている団体を、まさかこの場で目にすることになるとは、という驚きには勝てませんでした。応援!!(渡辺麗斗)

  • 刑務所の壁に象徴される境界を考えさせられました。世界の分断にアプローチしようとしている団体と思い、支援したいと感じました。(伊藤慎悟)

  • 様々な見方があることに驚きました。逆の意見にも触れた上で、希望を込めて。私のおかれている状況が変われば、真反対の選択をするだろうとも思いましたが、今の気持ちで投票します。(木下優子)

  • なかなか難しいなと感じつつ。手放しで賛同できるわけではないのですが、こちらに票を投じます。(内藤万裕)

  • 支援することが再犯防止の一助になることを祈念いたします。(家村吏慧子)

  • 自分が犯罪の被害者や被害者に近い人間である時に、加害者が社会に舞台を持つことは許せないと思う。ただ、誰でも加害者になりうる世の中でもあるとも思う。社会との繋がりを閉ざし、全てに蓋をするよりは、良いも悪いも含めて、言葉を交わせる社会の方がよいのかもしれないと思いました。色々な意見が聞けて最後まで投票するか悩みましたが、考える契機として投票します。(日比翔悟)

  • PACの推薦人です。境界の向こうを想像する、他者への漠然とした信頼感の醸成する活動を応援したい。センシティブなテーマについて、思慮深い工夫がなされた活動だと感じます。(中村雅之)

新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。