認定NPO法人日本雲南聯誼協会へ寄付を行ないました

新しい贈与論は、認定NPO法人日本雲南聯誼協会に79.5万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「民族」をテーマに推薦を募集し、「沖縄科学技術大学院大学(OIST) ヒト進化ゲノミクスユニット」「岡崎広樹氏」「認定NPO法人日本雲南聯誼協会」の3候補があがり、秋山福生、阿曽祐子の推薦した日本雲南聯誼協会が最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

中国雲南省の母系民族「モソ族」を支援するために日本雲南聯誼協会(https://jyfa.org/about-us/)への寄付を提案します。

◆雲南省

「民族」から、多様な民族、消えゆく民族へと連想を広げ、文化の多様性維持のためにも、ステキだと思う民族に貢献しようという方針を立てました。グローバル資本主義や覇権者による同化政策の影響で、少数民族の言語は2週間に1つのペースで消滅しているそうです。

辿り着いたのが中国雲南省に住む「モソ族」。推薦者はそれぞれ雲南省渡航経験者。雲南人に助けてもらったことがあります。緯度は熱帯なのに都市部でも標高2000mあり、過ごしやすい気候です。美味しいプーアル茶とキノコ料理に過橋米線という大胆な麺料理。雲南の人たちの明るい表情も魅力です。

◆モソ族

モソ族は最後の母系社会と言われています。世界的な課題の女性の社会的価値向上の観点でも注目を集めています。
・「おばあちゃん」が家長を務め、女性が働き男性が育児をする、
・結婚制度がなく大家族で結束し支え合って生きる。
・結婚の代わりに女性のもとに男性が通う。(走婚と呼ばれる)

数分でよいので、映像をご覧ください。美しい民族衣装を纏い力強く生きる人々の姿があります。
https://www.youtube.com/watch?v=eh7sADTOq9A

一方で、モソ族の社会にも、スマホや都市文化が流入しています。若者は漢民族との結婚、安定した生活を望み、土地を出ていくことを夢見ます。思いは様々ながらも、生きぬくモソ族の人々の姿に惹かれました。

◆寄付先選定

日本雲南聯誼協会は、雲南省の少数民族の貧困対策に取り組んでおり、モソ族も含まれています。日本からモソ族に繋がる数少ない団体です。

 ★オジサン主導の日本に生きる私には、女性主導で社会が回ってることが衝撃!この文化が成立していることに希望を持つ方も多いはず。美しい民族衣装などの文化も素敵で魅了されます。(推薦人A)

 ★そもそも人類は母系社会。命を生みだす母胎への信仰のもと自由な男女の結びつきがあった。やがて男女の争いが発生し、安定の一夫一婦制・父権社会へ移行したとのこと。私たちのマザーなるものへの恋慕を呼び覚ますモソ族の存在を知ることができてよかったです。(推薦人B)

<詳しくはこちらの記事もどうぞ>
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/17/082100199/
https://courrier.jp/news/archives/92904/

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 第一希望は、少数民族のために積極的な活動を行い民族多様性を減らさないようにしている日本雲南聯誼協会さんにしました。(金子遥洵)

  • 「民族」がテーマということで、どんな団体が推薦されるのだろうと、とても楽しみに候補団体の案内を待っていました。なるほど、三者三様で「民族」というテーマにアプローチしているのがとても勉強になりました。国内の「今」を感じさせる民族、海外の少数民族、歴史から考える民族など。その中で、以前からある活動の雲南聯誼協会を第1希望にしました。

    同団体は15年前以上に活動を知っていましたが、今でも継続して発展して活動をしているということがうれしくなり、応援したいと思いました。個人的な縁で選びました。そして、推薦文の「推薦者はそれぞれ雲南省渡航経験者。」ということもすごいご縁ですね。(山田泰久)

  • 恥ずかしながら、「モソ族」という民族の名前をはじめて知りました。日本でも家族のありかたが多様化しているとはいえ、男女逆転の働きかたがスタンダードにある社会にとても興味があります。そのくらしには、どんな喜びや悲しみ、どんな幸せがあるのだろうか。まだ見ぬ土地と文化に思いを馳せて、投票します。(姜花瑛)

  • モソ族に限った話ではなく、教育機会の平等に取り組んでいるという観点で日本雲南聯誼協会に一票。教育の機会が与えられることでモソ族のような文化は今後どんどんとなくなっていく可能性も感じ、第三者としては寂しさも感じるが、一人一人が自分で自分の人生を決められる世界になると良いなと思う。(高城 晃一)

  • 「自分では見つけられない寄付先」という観点で順位をつけさせていただきました。寄付でつながったその先にどんな気づきがあるのか、楽しみです。(宮本聡)

  • 今回もすごく面白い推薦先だった。「推薦者はそれぞれ雲南省渡航経験者」というのが説得力があるなと思い一位にしました。私もいつか行ってみたいなぁ。(綿貫美紀)

  • 贈与を通じてモソ族と繋がりができるということ自体に何かちょっとドキドキしました。相互理解を持つきっかけはこんなものでいいのかも。(中村雅之)

  • 民族という概念の多様さをまんま反映したような悩ましいラインアップでした。推薦人の叡智に感謝・困惑です!どこになっても新しい贈与論らしいなとおもいつつ。「美味しいプーアル茶とキノコ料理に過橋米線という大胆な麺料理」このパンチラインで決めました。プーアル茶もキノコも麺も大好き!(本間盛行)

  • これまでモソ族という存在は知りませんでしたが、調べていく中で、日本や西洋の社会とは大きく異なる独自の社会構造、そしてある種の現代的な価値観を中心とした文化があることに驚きました。人類全体のグローバル化に伴って、マジョリティではない文化を受け継ぐことの難易度が上がっていますが、一度文化が衰退してしまうと、復活させることは大変難しくなります。モソ族の伝統の存続と一族への敬意を示して、寄付をしたいと思いました。(疋田裕二)

  • 最初は母系民族の「モソ族」に興味を持ち、その後、ホームページから活動内容や報告がしっかりしていることに関心を持ちました。さらに「Our Mission」に記載されている「教育こそが、貧困や偏見から抜け出せる最大の武器」が決定打で、「日本雲南聯誼協会」を選びました。(熊谷友幸)

  • フシギがいっぱいの推薦でした。母系社会ってどんな社会なのか。走婚とはなんなのか。将来はどうなるのか。なぜ推薦者の二人は雲南省渡航経験者なのか。この広い世界の下で、見知らぬ民族への贈り物ができる機会に感謝して、日本雲南聯誼協会に投票します。(桂大介)

  • 国境を越えて、少数民族と連帯しようという意思が素晴らしいと思ったので、雲南協会にしました。(坂本治也)

  • 民族という概念の危険性について考えさせられました。「民族の団結」を呼びかける政府が少数者を迫害した例はあげるまでもなく皆様ご存じかと思います。とはいえ、私たちは民族という概念から逃れがたいとも感じます。今回は、皆様の意見を聞いた結果、概念を追及するというより実際に存在する「民族とされているもの」への支援を考えました。候補の中でも、その希少性からモソ族の方々への支援に一票を投じます。「あなたたちは母系社会で希少だから援助します」というのも、まるで相手を標本のように見ている暴力性を感じないのではないです。ただ、希少な形態をとる社会(あえて民族とは言わない)に援助することは、多様なヒトの在り方に資するものと考えます。(泉宏明)

  • 今までの寄合で一番悩んだような気がします。この贈与が民族と民族をつなぐ縁となりますように。(中川瞬希)

  • 雲南は、モソ族初めて知ったし、面白い。そして、ご縁を感じました。寄附を通じて、モソ族が広く知られるきっかけになったら、うれしいです。(嶋田暁文)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。