一般社団法人宗教2世支援センター陽だまりへ寄付を行ないました — 新しい贈与論

一般社団法人宗教2世支援センター陽だまりへ寄付を行ないました

新しい贈与論は一般社団法人宗教2世支援センター陽だまりに83.5万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「恨」をテーマに推薦を募集し、「NPO法人アクセプトインターナショナル」「特定非営利活動法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク」「一般社団法人宗教2世支援センター陽だまり」の3候補があがり、森康臣、坂本治也の推薦した陽だまりが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

かつて、私の恋人はおそらく宗教2世だった。

当時の私は新興宗教に関する知識がまるでなかったし、恋人Aさんが抱える複雑な家庭環境について深く話し合うだけの強さを、まだ10代の二人は持ち合わせていなかった。

「ハタチになったら、お見合いとかさせられるんだろうな」

“恋愛禁止”というAさん一家のルールに面食らいつつも、“両親非公認”のどこか後ろめたい交際を受け入れていた私だが、やるせなく、それも唐突に吐き出されたAさんの一言に、一体どんな反応を返せばいいか分からなかった。ちょうど今くらいの季節。肌が切れそうな寒い夜だった。

あれから何年も経って、私はその夜のことなんかすっかり忘れていた。ところが安倍元首相銃撃という凄惨な事件が起き、旧統一教会の報道を耳にするなかで、急に色々と思い出すようになる。

宗教2世に限らず、家族関係には恨みごとがついてまわる。私自身、恨みの類はそれなりに身近にあったから、怒りとか呪詛的な感覚は知っているつもりだった。その点では、Aさんから恨みの情念を感じることは少なかった。ただ代わりに、明るく笑う彼女の表情はいつもどこか哀しげで、諦めにも似た気配が漂っていた。

ある研究報告によると、「うらみ」とは、「許せなさ」「不公正感」「無力感」が同時に体験された時に起こる感情らしい。

今にして思えば、Aさんにもやはりあったのだろう。自身の人生を縛る、様々な“決まりごと”に対する怒りや無力感。しかも分かりやすい敵がいるわけでもない。矛先の定まらない、“静かな恨み”とでもいうべきものが。

「自分には彼女を救えないのかもしれない」――そんな無力感に私もまた打ちのめされた。

「宗教 2世支援センター 陽だまり」は、代表理事の秋本氏自身が宗教2世で、社会問題化するはるか以前の90年代後半から「宗教2世問題」に取り組む団体だ。宗教2世にとって最も困難な時期のひとつが、教団をやめた後、あるいはまさにやめようとしているタイミングである。「陽だまり」はそんな彼らが相談できる数少ない窓口になっている。

今年7月、クラウドファンディングで300万円強の支援金を集めることに成功し話題になったが、これまでの運営はほぼ手弁当。資金面での課題は小さくないようだ。継続的な活動を支援できればと思う。

結局、私とAさんは別れてしまった。だから彼女のその後は分からない。罪滅ぼしなどとおこがましいことを言う気もさらさらない。ただ、彼女と過ごした時代の「重さ」は心の澱のように残っている。自分にできるのは、Aさんの人生にきっと誰かが寄り添い続けていてくれること、それを願うのみだ。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 宗教2世問題、自分はその問題性についてあまり考えたことがなかったことからも長らく孤立化していたのだと心苦しくなります。国内に数百万という宗教2世がいると思うと、「宗教2世支援センター陽だまり」さんのような相談をまず受ける場所があることは、とても大切だと思いました。(中島真)

  • 解決が難しいと思った所から順位をつけて投票します。自覚なき被害者やその周りの人達を救済する(これ自体規範の押し付けかもしれませんが)のは本当に難しく、悩ましいなと思いつつ。そして世界には今もたくさんの紛争があり血が流れていることに想いを馳せます。アカデミックな場所でも紛争は尽きないでしょう。しかし世の中に解決できない問題はないと信じて、解決の一助になればと思います。(泉宏明)

  • 推薦文に惹かれ、陽だまりを第一希望としました。生まれる家は選べない。2世として生まれてきて困っている方の助けになると良いと感じます。(鈴木亜香里)

  • 誰にも信仰の自由があり、生まれながらにして信仰が束縛されている状況は、その人の生き方や価値を否定することと同義だと思います。宗教二世の問題は、自分の両親や家族を否定することとも言え、その宗教から脱会するということは相当の覚悟と決断が必要になると想像します。そんな複雑な状況にいる方々の居場所づくりをされている陽だまりさんを支援したいと思いました。旧統一教会については一時期に比べ報道は減少していますが、まだ苦しんでおられる方がたくさんいらっしゃるとのことで、継続的な資金調達ができることが理想的だとは思うのですが、、人の生を輝かせることができる宗教が人々を悪い方向に向かわせてしまっていることは悲しく、今回の支援が少しでもそういった状況を断ち切ることに繋がればうれしいです。(姜花瑛)

  • 私もかつて「宗教2世」でしたが、大学生のときに自分の力で「洗脳」を解きました。いえ、自分の力だけではないですね。当時私の周りにいた友人や知人、大学の先生やアルバイト先の仲間など、様々な人とつながり話をしていく中でその決断に到ったのだと思います。人はひとりで生きているわけではなく、人とのつながりの中で生かされているのだという事実をあらためて噛みしめています。「外の世界」の人と語り合うことが特定の価値観や世界観から一歩踏み出してみるきっかけとなることを期待して、陽だまりさんの活動を支援したいと思います。(徳久圭)

  • 近しい、もしくは近しいと感じる距離感とその中で生まれる問題というのは「恨」という概念に非常にはまると感じました。その意味で宗教二世の問題は家族という近くて遠い存在を照らし返し、時代性という意味でも改めて考えられるべきテーマだと考えますので、第1希望として投票させて頂きます。(阪本圭)

  • あらためて、各団体のWebサイトを拝見して、それぞれの活動について、とても勉強になりました。今回はお題の重たさゆえでしょうか、各団体の活動も本当に大事な取り組みだと思いました。その中で、一番、自分が知らなかった世界である宗教 2世の問題と、また支援のための団体がすでにあることに知って、「宗教 2世支援センター 陽だまり」にしました。(山田泰久)

  • 子ども時代に日本国憲法が保障しているはずの「信教の自由」を謳歌できなかった多くの人々の痛みが少しでも和らぐことを祈念し、「一般社団法人 宗教 2世支援センター 陽だまり」に投票いたしました。(松木耕)

  • 個人の懺悔という形での推薦文がなぜか心に響きましたそこを導入に活動の素晴らしさがすっと腹落ち出来ました(稲田遼太)

  • 推薦文に導かれ、普段考えなかった社会問題について考えるきっかけをいただきました。自分はそういった恨みを今は持たないからこそ、何か思うところがありました。(原拓海)

  • 今回は、私だったら選べない(見つけられない)団体順にしました。(宮本聡)

  • 3つとも素晴らしい推薦先で大変悩みました…。個人的な自分の課題意識から、そして家族関係につきやすい「恨み」というテーマがより如実にあらわれる宗教二世の課題への「無力感」から、『陽だまり』さんに投票します。(横山詩歩)

  • 居場所も逃げ場もなく、恨みごとを言うことすら許されない。それほどまでに追いつめられた人々を支援する活動を応援したいと思います。(中川瞬希)

  • これまでの投票でいちばん悩みました。どれも手放してはいけない問題だなと感じます。そのなかで、なんとか絞り出しました。辛いです。
    二世問題は広く知られたとはいえ、家族を「恨みきれない問題」というのは個人のなかに残る複雑な気持ちだと思います。解散命令なども話題になっていますが、複雑な気持ちを受け止めるには、金銭的支援だけではなく、人と心を交わすことが不可欠ではないかと思います。最後の決め手は、緊急TELの存在に背中を押されました。(東詩歩)

  • 自身の問題を克服し、そこから同じ思いをする人たちを救い出そうと行動するにはどれほどの覚悟とパワーを必要とするのだろうと。ホームページを拝見すると「適正な対応方法があるのではないか」と書かれており、今ほど宗教二世が世間から注目される以前から、知見をため、データベース化し、それを適用してブラッシュアップされてきたのだろうと、そこに「何とかするのだ」という強い重い意志を感じます。一人でも多くの方が、自分の人生を取り戻せますように。(金野潤子)

  • 「宗教2世」という言葉を知らなかった子どもの頃の記憶に、その存在は刻まれています。盆踊りの練習に参加せずに、校庭の片隅で体育座りをして授業の様子をじっと見ていたあの子も、平日の昼間に母親に連れられて家々を訪ねて歩いていたあの子も、何も知らなかった当時の私の記憶と心に、小さなトゲを残し、それは今もふとした瞬間によみがえってきます。家族という分かち難い営みのなかに生まれ、行き場のない「静かな恨み」が、必要とされたとき助けにたどりつき、解き放たれることを願っています。(吉見新)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。