社会福祉法人日本視覚障害者団体連合へ寄付を行ないました

新しい贈与論は「社会福祉法人日本視覚障害者団体連合」に80万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「字」をテーマに推薦を募集し、「社会福祉法人日本視覚障害者団体連合」「NPO法人離島経済新聞社/有人離島専門メディア『ritokei』」「天文学振興募金」の3候補があがり、中村雅之、小澤啓一の推薦した日本視覚障害者団体連合が最多票を得ました。

推薦文はこちらの再生ボタンから、お聞きいただけます。

社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 会長 竹下義樹様、

はじめまして、一般社団法人新しい贈与論と申します。私たちは寄付や贈与について学び、実践していくコミュニティです。「新しい贈与論」のロンは、論理や議論のロンですが、年齢や職業もバラバラな会員たちが、寄付や贈与を通じて新しい社会の在り方を考えています。

私たちは毎月3つの寄付先候補を検討し、投票によって会費をまとめた寄付をお届けする団体を決めています。そして2023年9月のテーマが「字」でした。テキストを意味する文字の「字」です。このテーマをきっかけに検討を進める中で、日視連のホームぺージに出会いました。

日本の識字率はほぼ100%と言われているものの、国内には視覚に障がいがある方が約30万人いること。そんな中で日視連は設立から75年が経ち、全国各地計60の視覚障害者団体を束ねる組織であること。また、行政への働きかけや啓発活動、点字図書の制作、点字器など用品の開発支援まで、多岐にわたる活動を行っていることを知りました。

そして、そのような情報でさえ当たり前のようにインターネット上の文字情報で知った私たち推薦チームは、墨字の読み書きが困難であるという境遇にしばし思いをめぐらせました。

私たちの寄付はこれまで46回を数えます。そして寄付金のお届けとともに、団体推薦文や投票した会員のコメントをテキストデータとして寄付先にもお送りしてきました。

今回、コミュニティ内での推薦文も兼ねながら、寄付先へのご挨拶文として、さらに(このように)読み上げる音声ファイルでもお届けするのは、私たちとしても初めての試みです。

この原稿を文字として記し、読み上げて録音し、そして日視連の皆さんが受け取っているタイミングはそれぞれ異なります。でも、起こりうる未来を想像しながら時間や困難さを越えて思いを紡ぐことは、少し愉快なことでもあります。そして奇しくも、私たちが議論を交わした9/28は、ユネスコが定めた「情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー」でした。

「見える人と見えない人が、豊かに、共に生きるー。」

推薦チームが特に惹かれた、日視連ホームぺージにあった言葉です。緩やかでも多くの人たちが繋がることで、情報や物語、そしてそれぞれの思いをさらにスムースにやり取りできる ― そのような「まだ見ぬ世界を共に感じられる」ように、またその一助になればと考えて寄付をお届けいたします。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 歴史ある所には却って寄附が集まりにくいということへの抵抗として視覚障害の方への寄附に一票を入れます。人間の受ける情報の8割くらいは視覚情報だと聞きます。それが奪われているということの重大さを思う時、視覚を奪われた方へ手を差し伸べることはいつでも有意義だと思うのです。(泉宏明)

  • 日常の課題と直結するため、日本視覚障害者団体連合さまを選ばせていただきました。普段、年末調整や入社・退社の手続きなどを行なう企業向けの労務システムの開発をしていますが、デジタル化の推進≠音声読み上げツールで利用可能であることを痛感します。形と音が1:nな漢字が普通、また区切り方もさまざまな日本語の国に暮らす視覚障害者にとって、形しか持たない字から意味を読み取ったり、文書の全体像を把握することはとても困難です。また給与明細や源泉徴収票、健康診断の結果などのように、おいそれと他人に見せたくない情報も、誰かのサポートが必要な環境に置かれれば見せざるを得ない現実があります。晴眼者にとってはあまりにも身近な「字」が視覚障害者から遠ざからない一助になれればと思います。(稲垣景子)

  • 最初は何が何だかわからなくて混乱しましたが、推薦文が寄付先へのご挨拶文(音声ファイル)になっている演出にノックアウトされました!こういう遊び心というか、洒落た感じが新しい贈与論らしさだなぁと思いましたので、投票しました。(鈴木亜香里)

  • 会員が寄付先を推薦し、投票で1つに決定するという「新しい贈与論」の枠組では、「これまで知らなかった」「面白い」寄付先が選ばれることも多いですが、今回の「日本視覚障害者団体連合」さんの取り組みや活動を拝見すると、やはり全国規模の障がい当事者団体が果たす役割の大きさを感じます。これからの安定的な活動に少しでも力添えができればと思い、本団体に投票します。(朝野椋太)

  • 日本視覚障害者団体連合を推薦します。テーマとの関連としても興味深くまた、メッセージにあった、見える人と見えない人が、豊かに、共に生きる、は個人的な考え方とも合致しためです。多言語の壁はテクノロジーの発展である程度解消されつつありますが、視覚障害者との壁はまだ大きいなとおもいます。割合は忘れましたが、6割程度の方が線路に転落などの経験があるような話も聞きました。黄色い線は目の不自由な方の道だからと私は避ける様にしていますが、街を歩くとそこまで気にしてる印象はありません。あのプレートも記号であり一種の字だともおもえます。近くて遠い課題であるとおもうのと、音声読み上げへの配慮は我々のアティチュードとして良いものだとおもいました。(福原寛重)

  • 今回はちょっと消極的な理由というか、他の候補があまりピンとこなかったのでこちらに投票させていただきました。(三上遼)

  • 75年という自分の人生も優に超える期間ずっと、視覚に障がいがある人たちを支える組織があるというその歴史に畏敬の念に堪えません。(中島真)

  • 離島と迷ったのですが音声ファイルのお届けは面白そうだと思ったのでこちらにしました。あと推薦先のHPに白黒反転ボタンがあるのも興味深かったです。(茂木大輔)

  • 同じく、「見える人と見えない人が、豊かに、共に生きるー。」に共感を得たからです。ユニバーサルデザインにも興味があるため。(白川みちる)

  • 自分にとっての当たり前の大きなものの一つが、やはり五感に関わることだと思います。字というテーマからはやはりこの視覚は大きい。インターネット社会でアクセシビリティは前から問われていたけど、目先の様々なことに優先されがちなところも、改めて感じさせられました。他の2つもそんな活動もあるんだ!という気づきに溢れていましたが、最も考えさせられたという意味でこれを選ばせて頂きます。(阪本圭)

  • 国内には視覚に障がいがある方が約30万人ということに驚きました。音声で推薦文を作成する心意気も素敵です。視覚に障がいがある方も社会の構成員であり、仲間だという思いを寄付で伝えられたらなと思い、投票しました。(稲田遼太)

  • 「見える人と見えない人が、豊かに、共に生きるー。」この言葉を見えない人は見ることができないという、見える人には当たり前のことの境目がなくなり、共に豊かに生きられるよう、選択させていただきました。(海野慧)

  • 今回の推薦団体を見て、文字というものに、離れた時間、距離、前提にあるもの同士をつなぐ力があることに気がつきました。あらゆるものにアクセシビリティが求められる昨今の流れにやや億劫さを感じることもある自分自身への自戒をこめて、第一希望は日本視覚障害者団体連合さんにしました。(吉見新)

  • 小説『ハンチバック』などをきっかけに、障碍を持つ方とともに生きるということを、最近個人的に関心を持っているため。音声ファイルでもお届けするアイデアも素晴らしいと思いました。(横山詩歩)

  • 子どものころから、「字」が大好きでした。見ても、読んでも、成り立ちを調べても、新しい世界を私に見せてくれるものでした。幼き日に、表意文字と表音文字があると知ったときも、世界の表現方法がいろいろあるのだと、感動して興奮しました。自分の気持ちを表現するときに、人間は、言葉を使わざるを得ません。それをどう表すか。そして記録に残すか。方法は違えど、みんなが尽力してきたのだと思います。自宅の近所に、聾学校があります。手話で会話しながら、行き来する子どもたちと日々すれ違います。表現方法は一つではない。そこに分け隔てがなくなる方法がどこかにあると思っています。テクノロジーが、なにかが、そういった障壁を取り去ってくれる未来を夢見ています。(金野潤子)

  • 日本で視覚障害をお持ちの方は31万人ほど(人口のおよそ0.2%)いらっしゃるそうです。今まで生きてきて私は、彼らと関わる機会が全くなかったということに、推薦文を読んでいて気付きました。知っているような気がしていたのはピアニストの辻井伸行さんやパラリンピックのことだけでした。同じ社会の中に確実に存在しているのに、晴眼者(この言葉も初めて知りました)とは別の世界に暮らしているように思えるような、ちょっと遠い人たち。完全にインクルーシブな社会は難しくとも、もう少しお互いに交じり合うような社会になったらいいなと思います。(溝口奈緒美)

  • 日本は海外と比べて障害のある方に対するサポートが不足していると感じている。離島メディアもニッチながら価値のあるプロダクトだと感じたが、やはり深刻度の高い視覚障害のサポートにお金を回したい。(高城晃一)

  • 推薦人の小澤さんの話を聞いて、ダイアログ・イン・ザ・ダークに行ったときのことを思い出しました。もう十年近く前だったと思いますが、あのときの衝撃は克明に思い出すことができます。「見える人と見えない人が、豊かに、共に生きるー。」という言葉を励起すべく、一票を投じたいと思います。(桂大介)

  • 「目が見えることで見えなくなってしまうもの」が、目の見えない人と共に生きることで見えてくる。そこまでは「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」などを通じて分かっていたことでした。しかし、「視覚に頼らないことで、心が触れ合い、仲良くなれてしまう」、逆に言えば、「心の触れ合いを視覚が邪魔している」っていうのは、今回、初めて気づかされました。「目に頼らないことで、心の目が開かれる」。そんな気付きを与えてくれた「視覚障害」を1位としたいと思います。推薦文も本当に素晴らしかった!(嶋田暁文)

  • 墨字が読めるという自分の中で当たり前になっていたことを改めて気づかしてくれた推薦文から1に決めました。見える人と見えない人が共に感じられる世界にワクワクします。投票日の議論の中で話題に上がった「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」にも今度足を運んでみようと思います。(原拓海)

  • 今回、日視連の推薦者です。繰り返しとなりますが「見える人と見えない人が共に生きる」というフレーズは、さまざまな贈与がいきわたる未来像とシンクロしている気がしています。(小澤啓一)

  • 今回の推薦をきっかけにあらためて「目が見えないこと」を想像しました。話の中でダイアログ・イン・ザ・ダークなどの新しい情報も知ることで改めて今後向き合ってみたい議題、になったことに感謝です。(熊谷友幸)

  • 自チームの推薦先である「ritokei」に未練を残しつつ、寄合でうかがったお話の刺激から、第一希望を「社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合」に変更しました。視覚障害者の方の不自由さを緩和する、というところを超えて「まだ見ぬ世界を共に感じられる」ように、という展望に惹かれます。(加藤めぐみ)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。ご興味のある方はぜひご参加ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。