KIFUBARへ寄付を行ないました

共同贈与コミュニティ「新しい贈与論」は、KIFUBARに75万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「酔い」をテーマに推薦を募集し、「KIFUBAR」「Allotment」「淡路島 あめつち農園」の3候補があがり、市村彩、桂大介の推薦したKIFUBARが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。なお推薦文で触れている共催については、現在KIFUBARと協議しております。少し異なる形になりそうですが、決定し次第あらためてお知らせいたします。

寄付というのは、勇気や大義を必要とする行為だと思われています。何かしらの前向きな決意や、大胆で熱い想いや、もしくは気高い志が必要だろうと思われている。寄付をする人は、よほど徳が高いか、財産にひどく余裕のある人だと思われている。しかし、ここにいるみなさんは既にご存知のように、寄付をするのにそんなものは必要ありません。

人間というのは自分のためだけに生きて、自分のためだけに死んでいけるほど強くない。そう言ったのは三島由紀夫でしたが、まったくその通りだと思います。誰かのためになりたいというのは、人間の根源的で普遍的な欲動ではないでしょうか。であったなら、人を寄付や贈与に駆り立てるものは、そう壮大であるはずがない。いわば私有という石堤に、ちいさな穴を開けるだけでいい。そこから水は流れ出します。

しかし、世の中は絶えず強固な石堤を築き上げることを要求しています。日本経済がどうとか、国債がどうとか、年金がどうとか、恐怖ばかりを煽ります。もっともっと高く強く石を積み上げねばと、心配が募ります。人のために生きる余裕なんて、今の自分にあるのだろうか。そういう不安を吹き飛ばすには、どうすればいいでしょう。

簡単です。酒を飲めばいいのです。酔っ払えばいいのです。

好きなお酒を傾けリラックスしていると、体の奥からふつふつと幸せが湧き上がってきます。うまくいかない仕事のこととか、将来への漠然とした不安とか、誰彼との根深いトラブルとか、そういうことはすべて消え去って、純粋で全体的な陽気だけが脳髄に広がっていきます。すべてがどうでもよくなる。これでいいんだ、という気分になる。

人間にはそういう時間が必要ではないでしょうか。不確かな未来という軛から自由になって、いまここに確かに生きていることの享楽を味わう時間が。心地のよい酔いは、世俗の喧騒から人間を救出します。そういうとき、人は本来の魂を思い出し、人のためになることをしよう、損したっていいじゃないかと思えるのだと思います。

KIFUBARは、参加費やドリンクの購入金額の一部が寄付になるBARイベントです。これまでの開催は50回超。コロナで休止していましたが、2022年7月から再開が始まりました。当選した場合には、KIFUBARと新しい贈与論で共催回を開き、今月の寄合分を当日の寄付額に上乗せして寄付するイベントにしてみたいと思います(難しければ運営費として寄付します)。酔いからはじまる新しい寄付の形を、ともに見にいきましょう。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 寄付をする人はよほど高貴な人だろうと思われているという疑念と,三島由紀夫氏の言葉を引用しながら自分のためだけに生きようとしながらも誰かのために生きたいという欲望があるという主張,それをゆるく包み込んでくれるような,酒で酔いながら実は誰かのための寄付になる形の活動のご紹介.私自身も,誰かとお酒を飲みに行くという行為を通じて,「奢る」「奢られる」のような身近な贈与とも考えられるお金を媒介した何かのやり取りや駆け引きをする自分自身を深く理解したいと思い,このコミュニティに参加しました.お酒を飲みながら,当日の段取りやお会計までを含めたコミュニケーションは大変興味深く,KIFUBARさんと新しい贈与論コミュニティが関わりを持つことで,私自身の問いも少し深まるのではないかという未来も想起できました.(宮木光)

  • 僕はお酒を飲めないのでバーは普段行かないのですが、こういったイベントなら参加してみたいと思いました。一般的に関係が遠いと思われるような寄付とお酒を組み合わせるのは面白いですね。(三上遼)

  • 生きる目的、働く目的は歳を重ねるほどに「誰かのため」でありたくなります。推薦文に惹かれました。(白川みちる)

  • 寄付へのハードルを下げるというKIFUBARのコンセプトは、この「新しい贈与論」と非常に近いものがあります。寄付先の候補の中にKIFUBARを見つけたとき、そのコンセプトへのシンプルな共感もありましたが、このような"同業者"を寄付先の候補にできる「新しい贈与論」の柔軟さも感じました。「寄付のための寄付」というのは普通あまりないことかもしれませんが、投票というフォーマットだからこそ可能な寄付として、また寄付文化の広がりを願って今回はKIFUBARを選びました。(朝野椋太)

  • 寄付という行為は多くの日本人にとって身近なものではないです。ですが贈与という行為は日本文化に根付いています。寄付と贈与の違いを考える時に、「身近かどうか」というのは1つのキーワードだと感じています。KIFUBARは寄付をBARイベントと絡めることで寄付を身近にできる取り組みの一つだと思い、希望させていただきます。(山浦清透)

  • 新しい贈与論でも、参加メンバーの贈与観に小さなうねりを起こし、それがバタフライエフェクトのように社会に広がっていくことが起こせるのではないかな、社会へのインパクトにつながるかなと思っています。また、贈与につきまとう「高尚なもの」を「酒の席」という特殊な時空間により解きほぐすこともできそうで、「真面目でありながら不真面目」という心地よいミックスが巻き起こせそうだと思っています。応援したいです。(野口福太郎)

  • KIFUBARはシンプルに新しい取り組みで面白そうと思った。新しい贈与論との共催回があればぜひ参加してみたい!(高城晃一)

  • KIFUBARは、「当選した場合には、KIFUBARと新しい贈与論で共催回を開き、今月の寄合分を当日の寄付額に上乗せして寄付するイベントにしてみたい」というのが響きました。(嶋田暁文)

  • 推薦文がすばらしくてグッときました。新しい贈与論と似た部分のある活動だと思い、共感の意味も込めて寄付したくなりました。(伊藤亜紗)

  • 肩の力を抜いて、気軽に寄付をできるのがとても魅力的です。おいしいお酒を飲める、というちょうどいい理由もあります。寄付をするのに強い動機や目的なんてなくていい、むしろ目的から離れて自由に贈る豊かさを楽しめる素敵なBARだと思いました。(大政勇作)

  • 一読、KIFUBARに決めました。そう。お酒を飲めばいいんです。この世の中で最も難しいことの一つになってしまった「切断」がただちにそこに現れるから。共催会、ぜひ実現したいです。万難配して参加する意向です!(本間盛行)

  • 余白の少ない現代において、酒は余白を作り出す装置だと思います。余白と寄附は相性がいいのかなと紹介文を読んで感じました。(稲田遼太)

  • 楽しみが寄付に変わるという発想が面白いと思い、KIFUBARを第一希望にしました。新しい贈与論とのイベントも見てみたいと思います。(志賀響子)

  • 推薦文の軽やかさに惹かれたのと、以前から興味を持っていたため、KIFUBARに投票します。毎月の寄合では、どうしても集まった金額を寄付する意味合いを考えてしまいがちですが、このカジュアルさを併せ持つのが、新しい贈与論の面白さだなと改めて思いました。(広井健一郎)

  • 酒に飲まれるのが好きだから、「酔っていること」にちゃんとこだわっている推薦理由がいいなと思いました。(綿貫美紀)

  • 寄付なんてそんなものでいいんじゃないかと思えるような推薦文に共感しました。(中村雅之)

  • 自分のように寄付に興味のなかった人がReHacQで寄付に興味を持ったようにお酒の力で寄付に興味を持つ人が出てくる可能性に賭けてみたい!(茂木大輔)

  • 難しい決断でした。資本主義な東京で寄付をしながら酒を飲まないでどこで酒を飲むのだと思いました。案外お酒って地方への資本の分配が進まないんですよね。例えばビールですと国内消費の99%が大手の商品であり、地ビールやクラフトビールの消費は1%であると示す調査もあったりします。お酒を飲むという行為を通じて、地方と都市の資本格差が埋まるのであれば、これほどいい循環はないと感じました。気持ちよく酔えるのではと思い、一票投じます。(中村 祥眼)

  • 参加するのが初めてなのもあり、議論を交えていく中で、3つに序列をつける様々な指標が頭をよぎりましたが、今回は自分があったら応援したいものとして、他人と酔える場としてKIFUBARを応援したいと感じました。(小川哲兵)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。