特定非営利活動法人ぐるんとびーへ寄付を行ないました

共同贈与コミュニティ「新しい贈与論」は、特定非営利活動法人ぐるんとびーに71万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「山」をテーマに推薦を募集し、「特定非営利活動法人ぐるんとびー」「公益財団法人全日本スキー連盟」「公益社団法人モリウミアス」の3候補があがり、金子遥洵さん、稲田遼太さんの推薦した特定非営利活動法人ぐるんとびーが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

概要

ぐるんとびーは、株式会社とNPOという2つの法人格を持っている。
株式会社としては、神奈川県藤沢市にて、小規模多機能型居宅介護施設を中心とした事業を行っている。

その一方、NPOでは、介護施設の運営だけではまかないきれない、地域の人たちとかかわっていく予防的な取り組みなど、その他事業を不定期で運営している。
今回はNPO法人としてのぐるんとびーへの寄付を推薦したい。

推薦理由

利用者とともに「生活の中で小さな幸せを得るひとつの要因として、豊富な選択肢の中から本人が自分にとっての最適なものを自由に選」びながら、「ほどほどな幸せ」を目指すというのがぐるんとびーの根底にある考え方だ。

普段人は山から水や果物、空気等多くの恵みを享受している。山は当たり前にそこにあるものとなっており、山の中ですべてがうまく回っており、それが未来永劫続くかのような感覚を覚える。ぐるんとびーの活動は、寄付で財源を確保する前から、受益者である地域の利用者のために手を伸ばすような活動を始めていることからも、周りに色んなものを還元していく山のような存在に感じられた。団体は、一見すると山と同様、何の問題もなく存続し続けられるようでありながら、その実、資金面等、色々な課題を持っていることが多い。

地域で活動する団体は、山とそこに住まう動物の関係のようにサービスの受益者と”持ちつ持たれつ”の関係の中で、感謝されたり、興味を持ってもらったり、時にはお金をもらったりしている。その地域で暮らす人間の集まりではない団体からの贈与・寄附は、そういった双方向的な関係にないところからの働きかけであり、特別な意味を持っているように思う。

ぐるんとびーでは、ルール通りの運営から踏み込んで、96歳の利用者に深夜3時半にラーメンを提供(https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/grundtvig-ramen)したり、若手職員が朝7時半からのラジオ体操を利用者のためでもなく、自主的に続けたりする(https://note.com/yushi_5fin/n/nfb9593872496)といった通常起こらない出来事が起こっている。

また、若年認知症の方・ご家族など、行政からの手が届きにくい領域を見つけ、地道にサポート等もしている。
これらは日々の積み重ねによりかかわる人の「ほどほどに幸せな暮らし」にいたるための過程になっている。継続されることにより、異なる角度で日常をとらえなおすという態度が地域内やメディアを通じて広がってほしいと感じている。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 株式会社+NPO、の形は最近増えつつあると思うのですが、ぐるんとびーさんの活動を読み、「NPOの活動が株式会社の持続可能性を支える役割を持つ」ことの実践を垣間見た気がしました。今回のテーマの「山」も、自然の摂理、複雑性を活かしながらも人が適度に介入することで(間伐など)市場価値も生みながら持続可能性が担保される、という関係にも通ずるところがあるなと思いました。業界によってはこのような仕組みが合っている&求められることもあると思うので、更に広がっていくことを願っています。(上西雄太)

  • この中で人道的な要素が強く、より寄付を必要としている団体なのではないかと思ったため。(清水絵理)

  • ぐるんとびーは、株式会社とNPO法人で機能補完的に活動されているアイデアが面白いと感じます。公式サイト等をみると、団地のなかに小規模多機能型施設をつくることでナナメの人間関係づくりを構想したり、美容業界✕ケアでコラボしていたりと、遊び的発想にもとづく実践がすばらしく心惹かれました。(森康臣)

  • 介護を通じて、地域を、大きな一つの家族にするという街づくりコンセプトに可能性を感じました。(金均)

  • 96歳の利用者に深夜3時半にラーメンを提供の投稿と、そのTweeterでの議論の様子などを見ていて、ぐんとびーさまが良いとおもいました。理由はシンプルで、自分が高齢になった時には、こういうスタンスの人々に支えて貰えたら、きっと嬉しいと思ったためです。
    ちょうど先日個人的に「治療のために長期入院した場合」というケースの議論をしていました。誰にも未来はわかりませんが「根治」して100%回復する前提であれば、制限された食事も、家族と会えない期間も、全て100%で受け入れるでしょう。一方で、治療のために入院し、治療にコミットしたが全く改善が見込めず生命の最後の時期だけ(治らないのでしかたなく)日常的な生活に戻れたり、もしくは入院中に体調急変してそのまま亡くなるかもしれません。確かに治療しないと余命も短くなったかもしれませんが、何が良いのでしょうか。まず「何が正しい」のかは無いのかと思います。「何が本人にとって好ましかったのか」は本人希望なので有ると思います。(福原寛重)

  • 高齢化が深刻化する中で、「安全性」と「本人がどう生きたいのか」のバランスは非常に難しいところであり、今後議論を進めることは非常に大切なことだと思う。記事にも書かれていたように社会から一定の批判も浴びるため、強いポリシーがないと続けられない活動だと思う。ぜひ応援してみたいと思った。今後の日本の経済を考えるとスキー連盟も応援したいが今回はぐるんとびーに1票。(高城晃一)

  • BuzzFeedの「深夜に96歳の男性が「ラーメン食べたい」と言ったら、どうしますか?」を読んで泣けました・・。ほんとこれ。長生きするために生きたいんじゃない、やりたいことをやるために生きたいんですよね。安全が最上位ではなく、利用者の「ほどほどの幸せ」を最上位に置いて、そのためには少しリスクがあってもそれを受け入れていくという経営者やスタッフの方々の姿勢を尊敬します。(浅井美絵)

  • 高齢者住宅の再生事業に関わった経験があることもあり、ぐるんとびーさんの特殊性とすばらしさは以前から存じ上げています。言うは易し行うは難しな取り組みに挑む彼ら姿勢は尊敬に値するものであり、第一希望とします。寄付という余剰が彼らに与える余白が生み出すであろう効果には期待しかありません。(宮本聡)

  • 96歳の利用者が深夜にラーメンを食べる動画見ました。単純ないい悪いではなく、願いを叶えるためには引き受けるリスクもある。そのバランス感覚を、ケア領域だけじゃなくて地域の関係づくりの事業でも広げていってくれたら素敵だなと思いぐるんとびーに投票します。学生生活を送った地域で、こんな素敵な活動があったことも知れてよかった。(飯島拓郎)

  • 地域で必要とされていることを提供している感があり、ささやかな幸せを支える活動なんだなというのが伝わってくる。応援したい。(中村雅之)

  • ぐるんとびーの取り組みは、どうしても通常のルールからすると逸脱しているものかと思いますが、その方がよりその人らしく生きることのサポートに繋がるのだとすると、あらためての幸福追求につながるのではないかと思いました。(海野慧)

  • 助け合いの形を介護施設だけではなく地域規模で設計されていることに感銘を受けました。事業としても興味津々です。「ほどほどな幸せ」、共感します。(横山詩歩)

  • 推薦文を読んで、私も日常の小さな「ずれ」から自由か生まれるきっかけが増えたらより生きやすい世界になるのではと思い、ぐるんとびーを選択しました。(古川哲)

  • 思いと行動、自分と目の前の誰か、やろうと思えばつなげられそうなものをつなげられないでいることに気付かせてもらいました。大事なのはほんの少し思考を止めてまず体を動かし始めてみることなのかもしれないと思います。「明日からできることをやろう」、「住んでいる地域で繋がりをつくりたい」、その一歩が変わらず踏み出され続けることの一助になれたら嬉しいです。(稲垣景子)

  • ただただ直感的なものですが、それぞれのエピソードに人間味が溢れていて自分もこれくらい自然に物事に向き合いたいという気持ちでぐるんとびーに投票いたします。(藤原麻耶)

  • 皆さんのお話を聞いて最後、ちょっと揺れました。というか、第一と第二を変えました。(橋口佐紀子)

  • 単純に面白そうだと思ったのと、PLAN75という映画を見てから、いかに高齢者の生活が制限されているのかを知ったので、こんな癖の強い場所が残っていくといいなという気持ちからです。(東詩歩)

  • 自分が歳を重ね老人になっても、体力が衰えて気力に陰りが見えても、病に蝕まれるようになっても、「ほどほどの幸せ」とともにありたいと思いました。高齢者の日日増えていくこの国で、「どれだけ歳をとっても幸せを追求する権利はある」ということを大切にしたいと思い、ぐるんとびーに一票を投じます。(桂大介)

  • 推薦先を決めるmtgに参加させていただいたことで、思い入れが増したというのが大きいです。活動の世界観も応援したくなるものでした。(市村彩)

  • ぐるんとびーさんの個別に最適化した事例から最善を帰納的に考える姿勢に強く惹かれました。(これは私の生業が影響していると思われます。)Buzz Feed記事内の「介護かどうかはあとで考えるようにしていますから」とコメントがありますが、本来は多様であるはずの終末期の幸せがある中で、現場では規格化された介護がひろく実践されているのではないかと思います。そういったいわばポリコレ?にも近い道徳的で大人しい1億人の最大公約数的な寄り添い方をしない姿勢に強く共感しています。1人の幸せを考え実践し、そういった普通に考えればコストがかかってしまうやり方が増えるといいなと思い、一票を投じさせていただきます。(中村祥眼)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
メディアキット ダウンロード

 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。