特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETYへ寄付を行ないました

共同贈与コミュニティ「新しい贈与論」は、特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETYに71万円の寄付を行ないました。

新しい贈与論では毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与を行なっています。今月は「旅」をテーマに推薦を募集し、「特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY」「NPO法人School Voice Project」「森達也 劇映画監督作品 映画『福田村事件』」の3候補があがり、藤岡達也さん、松木耕さんの推薦した特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETYが最多票を得ました。

推薦文は以下の通りです。

 「人生と旅」は、お互いよく使われるメタファーですね。さて、100年生きることが現実的になった現代でも、その人の旅路において拠点となる「場所」は必ず存在します。私は日本に生まれましたが、将来国外に住むことがあるかもしれません。同様に、何らかの理由から日本で生活する外国人は、在留許可者のみで約300万人、それに11万人といわれる非正規の滞在者が加わります。その8割以上がアジア系です。

 特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS:http://apfs.jp/)は、おもに在住外国人の人権擁護のための調査・研究・提言・相談活動などを通じて、日本人との垣根を取り払い、文化を理解しあい、多民族・多文化社会の実現に寄与しようという団体です。

 支援の対象は現在、東南・南アジア出身者が中心で、最近アフリカ出身者も増えているとのこと。イラン、インド、韓国、スリランカ、タイ、中国、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ミャンマー、ネパール、アフリカその他各国です。

 APFSは、コロナ禍での食料援助、ワクチン接種のサポートをはじめ、在留外国人のふだんの生活への援助を行っています。さらにAPFSのウェブサイトには、「在留特別許可と非正規滞在外国人」というページ(http://apfs.jp/visa)があり、そこには、彼らが援助する対象のうちの「非正規滞在外国人」とくに1980年代以降アジア各国から日本に出稼ぎにやってきた「外国人労働者」の子どもたちについて記されています。日本で生まれたときから在留資格がなく、健康保険にも入れず、進学の夢も叶わない若者たち。自分の選択ではないのに、親の国の言葉は話せず、収容の可能性や送還の恐怖を日々感じながら生活しています。こうした若者への支援は公的にも私的にも皆無、奨学金や生活保護も使えません。APFSでは、このような非正規滞在外国人に対して、正規に在留許可が出るようサポートしています。しかしながら、在留特別許可が出るには高い壁があります。

 旅する人生において人との縁は大切なもの。同じ国、同じまちに暮らす人々への気遣いは一緒と考えます。多文化共生の時代へのひとつの答えとして、APFSへの寄付を提案いたします。

投票にあたり会員よりあがった理由の一部を抜粋し紹介いたします。

  • 「旅する人生において人との縁は大切なもの。同じ国、同じまちに暮らす人々への気遣いは一緒と考えます」を今まで感じていたものの貢献する機会がなかったため。(中村たか)

  • ファーストインプレッションとして、APFSは見るからにボラインティアで成り立っている印象をうけました。こういう団体を応援したいなと個人的にはおもいました。
    社会背景的にみても、日本は移民や外国人の移住者を本質的には嫌ってる国だとは常々思っています。入管の事件もそうでうし、そもそも外国人居住者を行政などのレベルではなく、国民ひとりひとりがあまり好意的に思っていない印象だなと個人的には思っています。
    人と接する時にバイアスを持たない様にする姿勢、人を知ろうとする姿勢、人を理解しようとする姿勢、人には善性があると信じる姿勢(悪意を無視するわけではありません)、など、人と接する時にこちら側が持つスタンスは「その人の美しさ」につながると個人的には思っています。そういう美しさを日本人として、多くの日本人にナチュラルボーンで持って欲しいと思う一方で、やはり外国人に対する心理的なバリアが高いなと思う現実を感じる次第です。教育的視点で多くは解決できると思いたい一方で、日本人しかいない学校に行き、知的障害クラスの無い学校に行き、外国人と話す機会や、仕事をする機会が少なく、海外渡航する機会も多くないと、多様性を感受できないというのは、日本人の多くにとって必然的なことかもしれません。(悲観的ではないですが、悲しいなとは思います)そのような事も踏まえ、APFSには頑張って欲しいなと思ったしだいです。(福原寛重)

  • システムの中ではなかなか支援が行き届かないところに手を差し伸べられるのが、個人による寄付のメリットだと思います。在留資格を持たない外国人も、公的な支援は受けられず、周囲の理解も得にくい中で不自由な暮らしを余儀なくされています。彼らを支えつつ、適法な在留資格を得られるように行政側にも訴えかけているAPFSの活動に共感し、この団体への寄付を選びました。(朝野椋太)

  • 自分では寄附先として思いつかなさそうな反面、推薦文が魅力的だったから(稲田遼太)

  • 現在の日本は、多くの社会課題、人権問題を抱えています。以前、中高生の人権教育の現場で講師を勤めている方から、「今のトレンドはLGBTQ。在日外国人問題はあまり興味を持たれていない」というような内容のお話を聞いて、違和感を持ったのを記憶しています。人権の問題は、常に人権を脅かされている人のそばにあり、現在進行形の問題です。にもかかわらず、その問題にトレンドがあるとは、、。わたし自身は在日韓国人で、日本の永住許可を持っていますが、日本でくらすことが難しい外国人の話を見聞きすると、とても人ごととは思えず、いつももやもやしていました。この問題に関して、わたしは特に何もできておらず、うしろめたさを感じることも多いです。APFSのことは恥ずかしながら知りませんでしたが、そのような思いを前向きなアクションにすべく、一票投じたいと思います。(姜花瑛)

  • 在住外国人の人権擁護と旅とは、どちらも異文化と触れ合うことで理解を深めていく点では同じものだと感じました。他者への理解を深め、多様性を受け入れ、共生する。それが旅であり、また在住外国人の人権擁護であり、その支援ができればと思い特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETYに投票いたします。(山浦清透)

  • 小泉義之という哲学者が「移動の自由こそ自由のすべてだ」(大意)と書いていたことがあります。旅や観光を考えるとき、いつもこの言葉が想起されます。多くの日本人が意識することなく移動の自由を享受する一方、少なからぬ非日本人が「移動の不自由」を強いられ続けています。ということで、APFSに投票します。「非正規滞在外国人」の問題にも高度経済成長の末期(バブル経済)が影をおとしていることをHPで知りました。人を単なる労働力(道具)として扱わない。少しずつですが社会はそのように変わってきているとは思います。この「人」が、すみやかに一つの例外もない『全ての人』となりますよう。(本間盛行)

  • 今後日本はますます労働人口が減る中で移民の仕組みも、在留外国人に対する制度も整っていないため、少しでも在留外国人に役立つ支援になればと思い選びました。在留資格がない状態で生まれてきた子供に罪はないだけでなく、それぞれの事情により在留が必要になった人もたくさんいるのでサポートは必要不可欠なことだと感じます。(高城晃一)

  • APFSを1位にしたのは、最も資金に困っていそうで、かつ、切実な問題に取り組んでいると思ったから。切実な想いを感じました。(嶋田暁文)

  • 日本にたどり着かれた理由は人それぞれでしょうが、何らかの縁があって日本に住むことになった方々が、生活を脅かされたり、子どもの未来が制限されたりすることは悲しいことです。海外からの旅行者に対しては「おもてなし」をアピールする日本ですが、住んでいる海外にルーツを持つ隣人に対しては、ずいぶんと冷たい国、という印象があります。短期間訪れた人ももちろんのこと、一緒に暮らしていく人にも温かく、来てよかったと思える国になりたいですね。APFSさんのご活動を応援します。(浅井美絵)

  • 外国人労働者の子どもの不遇の話には、子を持つ親として単純に何とかしてあげたいと感じるし、日本が強い国になるためにもまずこういう足元の、共生の問題に向き合うことは必要なことだろう思いました。私の日常では直接関わりがないからこそ、寄付では選択してみたいです。(中村雅之)

  • APFSのサイトを見て、昨年見た映画「マイスモールランド」のことを思い出しました。家族が施設に収容された後に残される子どもたちが、生活を制限され、進学や仕事も自由に選べない姿を見て、彼らの置かれた環境の厳しさに心が痛みました。また、APFSの事務所は、自分がこどもの頃によく通っていたエリアにあり、縁を感じるとともに、そこでの活動の難しさも感じました。会計報告を見ても厳しい状況のように見えたので、同じ場所で暮らす人達への支えになればと思い、APFSに投票したいと思います。(広井健一郎)

  • > 旅する人生において人との縁は大切なもの。同じ国、同じまちに暮らす人々への気遣いは一緒と考えます。多文化共生の時代へのひとつの答え
    という部分に共感したから。旅の楽しさは、多様な文化があるからこそ実現していると思うか(石崎智也)

  • APFSを選びました。理由は、今回のテーマが旅行ではなく「旅」だからです。旅の不思議は、計画性の無意味さと、自分の意志以上の力がはたらくことだとおもいます。そしてそれは、良い作用も悪い作用もある。そんなことを思いました。(高野冬馬)

  • この団体が作成したYoutube動画があるのですが、胸を打つものでした。贈与先がこちらに決まったら、ぜひご覧いただけたらと思います。https://www.youtube.com/watch?v=wTBvJxkOCH8(河原塚有希彦)

  • 私は旅が好きで、これまで多くの国で多くの人に助けてもらいました。人種の隔たりがなく、共に生きる社会は、我々人類が目指すべき社会であると思う一方で、日本はまだまだ外国人が住みづらいと感じる国だと感じています。少しでも日本が、出生地や人種に関わらなく、住みやすい国になりますように。応援しています。(疋田裕二)

  • 私は学位論文で「日本の労働人口の低減と対外リソース獲得施策としての技能実習制度」と題して論文を執筆いたしました。その際、実際に日本に来ている外国籍の方々と接している中で、いかに日本の受け入れ態勢が杜撰で海外籍の方が権利的に虐げられているか知りました。私にとって身近な問題です。これから日本に来てくれる海外籍の方が、十分な権利保障をされる中で日本に滞在できるように、心から願っています。(中村祥眼)

  • 皆さんのお話を聞いて、今回は「応援のしがいがあるところ」という観点で、1を1番にしました。
    更新が少ない、活動が見えづらい、など、同じ非営利団体で働く身として自分にも刺さるコメントが多く、なんとか応援したいという気持ちになりました。また、9か国の言葉で用意してある相談窓口の案内がPDFで、そのけなげな感じ(大変勝手な感想ですが…)も心に響きました。(立花香澄)

  • 国際社会の中でどんどん存在感が薄くなっていく日本。その理由の一つが外国人に対する不寛容さだと思います。そんな日本が国際社会からの信頼を回復していくためには、APFSのような在住外国人支援の活動は欠かせないものではないでしょうか。私はこの推薦文を見るまでこの団体を知りませんでした。推薦されなかったらきっと出会わなかったでしょう。つながったご縁に感謝し、第一希望とします。(宮本聡)

 新しい贈与論は今後も共同贈与という形の寄付を毎月続けて参ります。現在は新規会員も募集中ですので、ご興味ある方はトップページよりご確認ください。



運営

法人名     一般社団法人新しい贈与論
代表理事    桂大介
設立      2019年8月1日
ウェブサイト  https://theory.gift
連絡先     info@theory.gift
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 「新しい贈与論」は寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催します。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。